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第伍歌<急>

 黄金の刀を落とした後、再び無数の刀と大薙刀が襲い掛かる。


 しかし、流徹(るてつ)達はそれらを次々乗り越える。

 刀が四方八方から迫るも、菊三十兵衛(きくさんじゅうべえ)が全てを打ち落とす。

 薙ぎ払われる大薙刀を球磨(くま)が受け流す。

 介郎(すけろう)の槍による連続突きが繰り出される。



 だが、それでも巨大な雄叫びを上げる弁慶。

 大薙刀に禍々しい妖気を纏わせ、大きく振り払う。

 すると、一行は強く吹き飛ばされた。


「まだ……まだこんな力が!」


 地面にたたきつけられた菊三十兵衛に、大薙刀を持った弁慶が迫る。

 そして、今、それが振り下ろされそうになっていた。



「……ふっ、私達に挑もうなど、千年早いさ!」


 頭だけとなった(くず)()が、口で自らの破片を咥え、弁慶の足元に投げ込む。

 完全な死角。


 弁慶は姿勢を大きく崩し、倒れこむ。


「ぐおあああああああっ!!」


 流徹はその隙を縫い、相貌を切り裂き、弁慶を暗闇へと誘った。

 だが、すぐに直感で姿勢を立て直し、再び弁慶が立ち上がる。

 そして、足元にある葛の葉の残骸を踏み砕いた。


「葛の葉!!」


 弁慶は視界を奪われながらも直感で流徹を捉え、大薙刀を振るう。

 仲間を失った悲しみを背負いながらも立ち上がる流徹。


「無明斬り!」


 流徹がそう叫ぶと、妖刀で弁慶を縦に切り裂く。



 流徹が口から血を流し、膝をつく。


「がっ……」


 暫くすると、弁慶が言った。


「見事だ……」


 それだけを言い残し、立ったまま消えていった。

 再び主君に忠を尽くして立ち往生した男の在り様は一行をも圧倒した。

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