9 アーロンの我慢
アーロンは、アリシアから熱を理由に来ないで欲しいと言われ、3日間会いに行くのを我慢した。
昔からアリシアは、大なり小なりよく傷を作るが病気とはほぼ無縁だった。
たまにある腹痛や知恵熱なんかも、翌日にはすっかり元気になった。
3日も寝込むなど命に関わる重篤な病気に違いない。
これは婚約者である自分が会いに行くのに、充分な理由であろう。
「我ながら酷い言い訳だ。」
実はアリシアの熱は翌日には良くなっていて、この3日間はベッドでゴロゴロ読書をしている、と聞いている。
病気じゃないと安堵し、会ってもらえない事に嘆いた。
アリシアに会いに行って嫌がられたとしても、押し切る口実が必要だった。
それにしてもアリシアが読書とは、一体どう言う風の吹き回しだろう。
例のカツラ(隠語)のトラブルに関することか?と思ったが、読んでいるのはロマンス小説らしい。
流行りの作品や昔から人気の作品、色々読み耽っていると言う。
それに関する気になる報告も受けてはいるのだが、それは本人に確認するとして。
因みに報告は、アーロンがこっそりアリシアの専属に付けたメイドから受けている。
アリシアに言語の才能があるのではと疑い始めた頃、アリシアの秘密を守るためにも、信用のおける手の内の者を送り込んだ。
かねてよりアリシア、そしてアリシアの両親のポヤポヤ、もとい、人を疑うことを知らない純粋無垢な人柄には危機感を抱いていた。
密かに身辺を調査、テコ入れを計画していたから、丁度いい機会だった。
屋敷内は綺麗なものだったが、より強固なものに整え何かあればすぐ報告を受けれるようにした。
そんなこんなでアリシアが熱を出した(そして翌日から仮病をつかった)4日目。
アーロンはアリシアのもとを訪ねた。
メイドがアリシアの部屋に入った直後、悲鳴が聞こえた。
「いやぁああああああ」
「アリシア!!?」




