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7 アーロンの確信

僕はアリシアに、言語に関する秘めた才能を確信している。


割と国境に近いこの辺りは、外国人の商人もよく来る。

アリシアはどの国の商人とも会話が出来るようだ。

やり取りを少し聞いただけで、すぐ習得してしまうのではないか。


因みにアリシアの両親は気付いていないようだ。

気付いたとしても「野生の勘ってすごいわね〜」だろう。

最早、野生の勘で済まされるレベルではない。


だが誰に知らせるつもりもない。薄々気付いている者もいるかも知れないが。


あれだけ言語に長けていれば、城に抱え込まれる可能性もある。

それはアリシアも望まないだろうし、僕も嫌だ。

かわいくて純粋で言語に長けている令嬢なんて、皆に狙われるに決まっている。



狙われると言えば、アリシアはあの日、何かトラブルに巻き込まれたのではないか。


あの店は外国人客も多かった。

そこで外国語で密談していた良からぬ話を聞いてしまったのではないか。


カツラ?あのカツラが何か秘密の⋯?

そもそも、あんな簡単にズレるカツラなんておかしいだろう??

いや、それともカツラは隠語か?アリシアはなんて言っていた?

「カツラ屋さんを紹介」「それともカツラを贈ったほうが」「好みが」「サイズ」⋯


何だ?さっぱり分からない。



⋯⋯だからあの時アリシアは怒ったのか?


『え、アーロンってばヒントを与えたのに気付いてないの?』

と絶句し


『ちょ、これでも気付かないなんてどれだけ鈍感なの!?』

と吹き出し


苦悩と落胆のあまり鼻血を出したのではないか。


「すまない、アリシア…」





頑丈でガサツで大雑把なアリシアが熱を出した。


寝込み始めてから読書に浸っているという。

何という晴天の霹靂、頭でも打ったのではないか。

読書とは何だ、児童書か?絵本か?ロマンス小説だと??

恋愛に興味があったのかあの令嬢。


となればあの野生動物と飼育員のような、もとい、あの猿まわしの猿と猿使いのような、もとい、あの兄妹のようなままごと遊びの婚約者のような、アーロン様とアリシア様の関係に変化が生まれるのではないか!

仲が進展するのではないか!!

これはめでたい!お祝いだ!赤飯だ!!!


などと領民の間で噂になっている事を知らない当の本人は、ベッドの中で何冊目になるか分からないロマンス小説に付箋を貼っていた。


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