14 アーロンの決意
「んっ、ん゙ん゙っ、こほん」
アーロンはアリシアが呟いた不穏な言葉を、咳払いで聞こえないふりをした。
(檻…?閉じ込める…??………謎は深まる一方だな。聞けない分からない、じゃなくて、出来る事を見つけないと。…何かのヒントになるかも知れないし、これらの本の翻訳版を取り寄せて読んでみるか。考えるのはそれからだ…)
アリシアが抱える本にちらりと目をやると、アーロンはすぐさま頭に叩き込む。
そして、アリシアの手に自分の手を重ねた。
「アリシアは妹でもペットでも、ましてや野生動物でもない。愛らしくて大切な僕の婚約者だ。」
何も分からないなりにアリシアを安心させたくて、しっかりと瞳を見て言う。
「大切な⋯?」
「そうだよ、僕はアリシアが一番大切なんだ。」
ハッキリと大切な存在だと言われて、嬉しいような恥ずかしいような面映ゆく感じながらアリシアは、ふと自分では解決に至らなかった疑問を思い出した。
(面倒くさい質問ついでに、聞いてもいいかなぁ…?)
「婚約者と家族の違いは、何だと思う?」
ためらいがちにアリシアが聞くと、アーロンは不思議そうな顔をして答えた。
「?それは、全然違うだろう??」
(両親と婚約者であるアリシアは全然違う。関係性も愛情の種類も度合いも何もかも、だ。)
「待てよ」と警鐘が鳴る。
婚約者もいずれは家族になる。
家族となった時、関係性や愛情の種類や度合いは家族に対するそれに変わるのか。
そういう事をアリシアは聞きたいのだろうか。
それならば答えは否だ。
ならばアリシアの事を「婚約者」と言うのは間違いだ。
僕とアリシアの関係を問われれば「婚約者」だが、僕にとってのアリシアはそんな言葉で表せられない。
愛らしい、一番大切な、家族に対する愛情とは違う、それだけでは足りない、何と言えば良い?
(もどかしいな⋯)
再び、アリシアが抱えてる本に目をやる。今度はじっくりと。
今まで手に取ったことはなかったが、これらの本を読めば、少しは気の利いた言葉を掛けてやることが出来るのか。
先程とは違った目的で、やはりこれらの本を読んでみなくては、と決意する。
タイトルの分からないものもあるから、今回購入した本のリストを見せてもらうのが良さそうだ。
またしても考え込んでしまったアーロンを見て、アリシアは思わず顔がゆるむ。
(なんか⋯ものすごく悩ませてしまってる⋯⋯)
本当、真面目なんだから。
きっと私には想像もつかない小難しいことを考えてるんだわ。と考えたところで、また疑問を思い出す。
『(それこそ胸をどうこうみたいな?)
(アーロンってそういう事考えたりするの?)』
一気に顔に熱が集まるのを感じる。
(だからダメだって!!違うこと考えて!!違うこと考えて!!!)
「アリシアは⋯」
アーロンはアリシアの抱える本の山から1冊抜き取って手に取った。
「こう言う本のセリフを言って欲しいとか思うか?」




