14. 閑話 【幼馴染マウント】華園凛音様 応援スレ Part4【泥んこ遊びの真実】
1 名無しの探索者
実家の裏庭で神話級のヤマタノオロチを「みじん切り」にし、幼馴染(Aランク)の脳を完全に破壊した華園凛音様を温かく見守るスレですわ。
・荒らし、誹謗中傷は殲滅対象ですわ。
・マカダミアナッツに毒を吐きかけるのはマナー違反ですわ。
・次スレは>>980が宣言して立てること。
2 名無しの探索者
乙ですわ。
昨日の配信、熱血主人公ムーブで登場した新進気鋭のAランク探索者・海斗くんが、開始5分で「庭師見習い」に降格したの面白すぎたろ。
3 ケーキ大好き
>>2
海斗くんが「俺が守る!」って言った直後に、お嬢様がバールでオロチを8等分にした時の、海斗くんの「…………は?」って顔、絶対フリー素材になるよあれ。
4 考察班A
アーサー団長、氷室副隊長、レオンの絵面に、海斗が加わって、華園家の下僕カルテットが完成してしまったな。
日本のトップ層が全員エプロン着てニートの家に集結してるの、もはや国家的損失だろ。
5 Aランクの庭師見習い
お前ら、勝手なこと言うな!俺は下僕じゃない!
あいつらと一緒にすんな!俺は凛音の『幼馴染』だぞ!
あいつらみたいに最近になってすり寄ってきた連中とは歴史が違うんだよ!
6 マッスル課金
>>5
ファッ!? 本人降臨!?
7 最強無敵狂人
>>5
新入りの分際で掲示板に書き込むとは、いい度胸だなぁ!
幼馴染がなんだってんだよぉ!俺なんて、お嬢様に直接バールで物理的に叩き潰されたんだぞぉ!?この栄誉、貴様のような温室育ちに分かってたまるものかぁぁぁぁ!
8 1000万人の下僕
5 >>7
ちょっとちょっとー、二人とも争いはやめなよー!
一番お嬢様の役に立ってるのは、毎日最高の画角でカメラを回してるこの俺に決まってんじゃん!昨日もスパチャで『特選和牛』の足しに貢献したし!
9 名無しの探索者
おいおい、お嬢様スレに「Aランク探索者(海斗)」「特務部隊副隊長(氷室)」「1000万人YouTuber」が揃い踏みでマウント合戦始めてるぞwww本物かwwwwww???
だとしたら日本終わってんなwww
10 Aランクの庭師見習い
うるせえ!俺は凛音の昔の事を知ってるんだよ!
お前らが神格化してるあいつも、昔はただの泣き虫で可愛い女の子だったんだ!
7歳の時、近所の公園で泥んこ遊びをしてて、転んで泥まみれになって大泣きしてたのを、俺が慰めて手を引いて帰ってやったんだ!
俺が一番、凛音の「弱さ」を知ってるんだよ!!
11 ケーキ大好き
>>10
えっ……お嬢様が泥んこ遊びで大泣き……?
尊い……!なにそのギャップ!
12 考察班A
>>10
マジか。あの「バールで神話級をみじん切りにする覇王」にも、そんなか弱い幼少期が……。
海斗、お前すげえ特権持ってんな。
◆
その頃。
華園家の裏庭では、エプロン姿の男たちがスマホを片手に血走った目でフリック入力を続けていた。
「ふははは!見たか氷室!レオン!これが『幼馴染』という最強のカードだ!ネットの奴らも俺の特権にひれ伏しているぞ!」
海斗が軍手をした手でスマホを掲げ、高らかに笑う。
その横で、氷室がギリィッと歯を食いしばっていた。
「くっ……!泥んこ遊びで泣くお嬢様……!なんという尊さ……!私としたことが、なぜその時代にお嬢様の靴の泥を舐める係として傍にいなかったのか……ッ!」
「いや氷室さん、それは普通に事案っすよ。でも海斗さん、流石にそのマウントはずるいわー」
レオンが悔しそうに唇を尖らせる中、一人離れたところで黙々と盆栽の手入れをしていたアーサー団長が、深く感銘を受けたように頷いた。
「おお……!神にもそのような幼少期があったとは!泥にまみれて涙を流す……まさに、人の身を知るための尊き儀式!それを側でお支えしたとは、海斗君、君は真の騎士だ!」
「へっ、まぁな!俺は昔から、凛音のナイトだったってわけ――」
「あら?皆様、休憩のお茶をお持ちしましたわよ。……楽しそうにお話し中でしたけれど、泥んこ遊びがどうとか?」
縁側に、麦茶の入ったお盆を持った凛音が現れた。
「あ、凛音!いや、ちょうど昔話をしてたんだよ。お前が7歳の時、公園の泥水で転んで大泣きしてた話!俺が慰めてやっただろ?」
海斗がドヤ顔で胸を張る。
しかし、凛音は不思議そうに小首を傾げた。
「泥んこ遊び?……いいえ、そんな非生産的な遊びをした記憶はありませんわ。ああ、もしかして……あの『スライム大量発生事件』のことかしら?」
「え?スライム?」
海斗の顔が引きつる。
「ええ。あの日の公園、水たまりからDランクの『マッド・スライム』が大量に湧いていましたのよ?お気に入りだったお花のワンピースが、あの子たちの体液(泥)で汚れてしまったので、悲しくて泣きながら……持っていたお砂場用のプラスチックのスコップで、百匹ほど殲滅(みじん切り)にしていた時のことですよね?」
しんと、裏庭が静まり返った。
「え……?転んだんじゃ、なくて……?泥水じゃなくて、あれ、スライムの体液だったの……?」
「そうですわ。海斗さんが『大丈夫か!』と駆け寄ってきてくださった時には、すでにお掃除は終わっておりましたけれど……。あのスコップ、重心は悪くありませんでしたわね」
凛音は優雅に麦茶を配りながら、懐かしそうに目を細めた。
海斗のスマホが、ぽろりと芝生の上に落ちる。
「俺……7歳の頃から、すでに守られてたどころか……お前が一人でスライム100匹から街を防衛した後の、ただの事後処理班だったの……?」
「まぁ、そういうことになりますわね。……さぁ皆様、麦茶が温くならないうちに、しっかり水分補給をしてお庭の分別の続きをお願いしますわよ!」
◆
13 Aランクの庭師見習い
お前ら……俺は、幼馴染でもなんでもなかった……。
7歳の頃から、俺はただの事後処理班だった……。泥んこ遊びじゃなくて、お嬢様がプラ製のスコップでDランク魔物を100匹ソロ討伐した帰り道だった……。
14 考察班A
>>13
ファッ!?
15 マッスル課金
>>13
嘘だろwww7歳の幼女がプラスチックのスコップでスライム100匹殲滅www
もう幼少期から物理法則ジェノサイドしてんじゃねえか!!
16 ケーキ大好き
海斗くんのアイデンティティ(幼馴染)が、お嬢様の過去の真実によって完全にジェノサイドされた瞬間である。南無。
17 最強無敵狂人
>>13
ふはははは!見たか若造!貴様の安いマウントなど、お嬢様の真実の前にはただのチリよ!
18 名無しの探索者
これ、今一番平和なのは、3日間の休職中でベッドで寝てる佐藤課長だな……。
一方その頃。
自宅のベッドで療養しながら、こっそりスマホでこのスレを見ていた佐藤課長は、「7歳でDランク100匹ソロ討伐(無許可)」という事実を知り、胃薬を水なしで丸飲みしていたという。




