9話 魔道具[写真機]
大人の女性は準備がかかる、かく言う私も薄く化粧している。
カリナがしてくれた。
鏡で確認したが、びっくりするくらい可愛かった。
暇なので、お母様の準備が終わるまでに写真機を作ってみよう。 できるかな?
まず魔石を準備して、強い光をエンチャントする。
その魔石を木板の上部に付け魔力が流せるようにエンチャントする。
木板の真ん中に小さな穴を開ける。
もう一つ魔石を用意し記録できるようにして、穴の裏側につける。
次に印刷する紙を用意しよう。
ナイフで四つ折りにして切る。
そういえば、魔石って形変えれないかしら?
新しい魔石を使い、それに魔力を柔らかくなるようにイメージをしながら流してみる。
何と粘土みたいに柔らかくなったではないか。
魔力を流さなくなったら少しずつ魔力が抜けて固くなってきた。
慌てて魔力を流しながら板状になるように成形していく。
板状にした魔石を写真機の裏につける。
転写の魔法をエンチャントする。
紙を板魔石と記録用の魔石の間に挟む。
記録用の魔石も板にあった方がスッキリするな~、という事で変形させて板にする。
光の魔石も整形して整える。
よし! 試しに撮ってみよう。
鏡の前に立ち、写真機はお腹辺りに持ち、魔力を流す。
ピカッ!
「なななっ何ですか? 今の光!」
挟んでた紙を取り出してみると、写真機を持ったマリアが写っている。
「やったー! 写真機が出来たー! 見て、見て、カリナ! この紙、綺麗に写ってるでしょ!」
カリナは渡された紙と私を大きく開いた目で見ている。
「マリア様! また、なんてものを造ったんですか!」
マリアの技術革命は、これから更に磨きがかかっていくが、それは少し先の話。
「お母様! 私と一緒に写真に写りましょう!」
マリアはセレシアの部屋に駆け込んで行き、カリナに写真を撮ってもらう。
ピカッ!
「眩しい! 何ですの! この光は!」
マリアは写真機から紙を取り出しドヤ顔で見せる。
「さっき、私が作ったの! どう? 綺麗に撮れてるでしょ!」
そこには白黒だが綺麗にマリアとセレシアの姿が鮮明に写し出されていた。
「何、こんなに、鮮明に、姿絵ができるの! マリア! またあなた、凄いものを作ったわね!」
興奮して抱き合っていたが、学校の事を思い出し、カリナが慌てていた。
「マリアお嬢様! セレシア様! 早く行かないと遅刻してしまいます!」
二人は顔を見合わせて、ふふふと笑いあって楽しそうに家を出て行く。
馬車で学校に着いたら学校の入り口で写真を撮ってもらう。
訓練場で入学式をおこなうが、そこでも撮ってもらう。
色々な場面でひたすらに写真を撮らされるカリナであったが、意外と楽しそうであった。
入学式が終わった後はすぐに役所に行き技術申請する。
後日、この写真機もあっという間に広がり、肖像画家の仕事が一旦は激減したが、肖像画は絵なので誇張できることから、写真を渡して描かせるという新しい方法も流行り、また肖像画家も自分のアトリエで真剣に取り組めることから、逆に仕事が増えたのは、別の話。
入学式も終わり、私の学校生活が始まるが、今の私は話題の人。 写真機の開発者なのだ。
学校の行き帰りは、お父様の派遣した護衛付きで通っている。
何故に護衛がついたかというと、身代金目的で誘拐しようとした輩がおり、危ないという事で手配された。
学校の座学は心配するほど難しくなく、というより簡単すぎた。 しかし、体を動かす事に関しては人並み以下だった。
普通よりマシだと思っていたマリアには痛手だ。
「おかしい、家では今でも家庭教師に剣術を習っているのに、何でこんなに体力がないんだろう?」
マリアは焦っていた。
家では押し倒されたりしないと言っていたが、実際に非力だ。
まー、まだ低学年で出るとこが出ていないのでまだまだ、安心だけどね。
折角の学校なので、先生に相談しよう。
補習でも良い、何とか最低でも人並みにはしたい。
「先生。 わたし、人並みには、体力が欲しいです。 今のままだと、走っても直ぐに動けなくなっちゃいます!」
「マリアさん、良く言いました。 少しハードになりますが、授業後に特別訓練をしますか。」
先生は快く引き受けてくれた。
後で知った事だが、この先生はお父様の部下らしく、影ながらマリアを応援する父の優しさだったのだが、それはマリアに知られる事はなかった。
授業後に約束通りに先生が体力づくりを手伝ってくれた。
しかし、何日繰り返しても、あまり体力は付かず、筋力アップもほとんどしなかった。
資質が無いのは感じていたが、ここまでとは全く思っていなかったので、ショックである。
体力づくり自体は半分趣味になり、気持ちよく汗を掻いているので肥満とは縁はない。




