50話 マーレ邸での生活9
数日間は特に変わりなく過ごしていたが、時々エルフの姿を見るようになった。
この屋敷は人が少ない為、エルフはお客様だと思っていたが、違うようだ。
少し偉そうな仮面を被った騎士もいた。
部屋にいるカリナに聞いてみよう。
「カリナ、エルフの人を屋敷で見かけるんだけど、あれ何なの?」
「え〜と、噴水とか、湯浴み場で精霊を見かけるから、調査だそうですよ。」
私は顔を引きつらせ、聞いている。
エルフのセンサー恐るべし……。きっとアンジェリーナも来てる筈だ。
今日も勉強で忙しいから、後で聞いてみよう。
今の勉強は学校で教わる内容は6学年分マスターしているとの事で、一般常識メインとなっている。
他には他国の作法と地理と歴史の勉強だ。
周りに戦争など起きそうな国は今の所なく、安全に交易出来ており平和だ。
武術訓練は……まだ講師が居ない、家にいるセリーヌでも呼んでくれれば良いのに……。
1日の勉強も終わり、調査しているエルフを捕まえて、詳しく聞こうとしていたが、勉強が終わった頃には居なくなっていた。
残念だ……。
噴水からの道がどのくらい出来ているか見にいこう。
玄関を出ると、石敷き作業が進行中だった。
前は人海戦術で敷いた為、非常に早く終わったが、今は時間がある時に作業をしている。
「ご苦労様、私の我儘で作っちゃってごめんなさいね。」
「そんな、滅相も無い。お客様が来られる前迄には砂撒きは終わらせます。」
ペコリとお辞儀をして、作業を再開した。
◇
「不審な動きはありそう?」
「そんな事より、あの噴水と、浴場は何? とんでもない代物に変わってるんですけど……。」
マーレは困った顔をしている。
「マリアちゃんがね、自由にして良いって言ったら、出来ちゃったのよ。 しかも凄い速さで……わかる? この気持ち……。 きっとセレシアも」
「流石、マリア様! やっぱり凄いわ。」
感動に目をウルウルさせてマリアの部屋の方向を見ている。アンジェリーナは殆どマリアの信者だ。
「隣って空いてるんだっけ?」
「隣って何の事?」
「この屋敷の隣よ。 私も此処に住んで、浴場使わせてもらうわ。」
「あなたねぇ……。 まぁ、良いわ。好きにおし。」
「良し‼︎ 言質は取ったわよ。うふふ、エルフの隠れ宿よ。」
アンジェリーナは余りの喜びに踊っている姿を見て、マーレは苦笑いである。
静かに暮らすはずが、煩い奴が隣に越してくる。
「まぁ、代わりに、私の花園の手入れを手伝いなさいよ。」
「おっけー‼︎ 」
アンジェリーナはVサインであった。
◇
エルフが捕まえられ無いので、マリアは部屋に籠り、前に見た時計について考えている。
この世界の1年は360日で、1ヶ月は30日だ。時間は鐘の音で知らせているが、明け方から4回目が正午だ。それから3回鳴り、最後が暗くなってからで、合計8回だ。
夜は鐘が鳴らないだけで、全部で12当分で1日だ。
「時計は歯車の組合せで、回すのは魔力でする……。 まずは大き目の置き時計を作ろう。」
時針、分針、秒針……、60進数でカウントして時針は2周で鐘1回になるように作ろう。
動力はゼンマイ式ではなく、魔力式だ。
駆動方法はゴーレムと同じで、歯車型にして回すのだ。
懐中時計を作りたいので、回す歯車は小さめだ。
問題は歯車は1日に何回、回るかが鍵だ。
ここでは時間を知る鐘がならないので、太陽で時間を知るしか無い。日の入りから次の日の日の入りまでで大体1日だ。
カウンターを作り、回っている回数を確認しよう。
いつも通り魔力で歯車を作り、ゴーレムコアの魔石を嵌めカウントを始めよう。
「命令:回転 」
カウントは窓から入る日の光による影の位置で夕方からスタートだ。
ここからは計算と実験での調整だ。




