40話 マーレ叔母様の恐怖前夜
母に呼ばれ、遂に軟禁状態が終わると思いウキウキで向かっていた。
「お母様、マリアです。」
「お入り。」
部屋に入るとカリナが母の近くに控えていた。
こういう時は大体怒られるパターンである。
「お、お母様、また私、何かやらかしましたか?」
「あら、よくわかったわね。 カリナから報告があったわよ。クソ親父ですってね。」
「うっ! あれは冗談です!」
セレシアはバン! と強く机を叩く。
「ふふふ。 冗談でも駄目よ。 しばらくマーレ叔母様の所で教育ね。」
セレシアからもの凄いプレッシャーを感じる。
「お、お母様。マ、マーレ叔母様ってどういう方ですか?」
何とか喋る事ができた。
「あら? あなたの大叔母様ね。この街の端の方に住んでいるわよ。 礼儀作法の特別講師してるから特別に厳しいわよ。」
え゛! マジで? 今までも初中ムチで叩かれて泣いてたのに…もっと厳しいの?
「お母様! マリアはいい子にしますので! お願いします!」
マリアは90°のお辞儀を繰り返し懇願する。
「うぅ、お家で頑張るから!」
セレシアに駆け寄り泣きながら縋り付く。
「もう手紙出しちゃった。 ごめんねマリア、来週から1ヶ月頑張ってね。」
「うわーん! カリナ付いてきて〜!」
泣くしか無いマリアであった。
ちなみに外出禁止は犯人が見つかった事で解除らしい。
弟達は学校に通うが、私は大叔母様の家で過ごす事になる。
当分学校は休学して、住み込みで礼儀作法を学ぶ事になるのだが、学校の授業が遅れるわけでは無い。
向こうに行っても、しっかり家庭教師により、教育は受けるのだ。
まぁ、受けなくてもトップだろうがマリアは信じていない。 置いてかれないように必死で勉強と訓練をするだろう。
刻一刻と時間が過ぎている。
残り1日だ。
明日の朝には馬車に乗り、昼には付いてしまう。
憂鬱だ。
何で私は礼儀作法をここまで頑張らなきゃいけないんだろう。 生きるのに息が詰まってしまう。
この考えが非行なのかもしれない。
よく言えば演劇みたいなものだから頑張ろう。
他国の礼儀作法も聞いて勉強しよう。
今日は当分、行けなくなるので図書館に行こう。
持っていく荷物の中に本を持っていくためだ。本といっても本物では無い。
データとして持っていくのだ。
趣味の魔道具製作で、図書館の本をデジタル化して、検索ができるように頑張った。
まずは眼鏡型魔道具にて本を撮影。
検索は端末と眼鏡をコードで繋ぎ、文字の形を思い浮かべれば画面に該当ページが表示されるようになっている。
なので図書館の本を片っ端から保存しまくった。 多分8割は終わっている。
こういう危ない物は売り物にはしない、秘密のマリアグッズとして隠れて使用するのだ。
いつものリュックには日焼け止めや化粧品類。 魔道具は眼鏡とタブレットとネックレス。 おまけでコンデジサイズの写真機。 後は個人的にお土産で宝石箱で装飾品セット。
お風呂が無いかもしれないので、魔石を少々。 無かったら現地で許可を貰い作る。 自分の工房があるから予約なんて割り込んで作る! 着替え類はカリナが用意してくれているので馬車に積み込まれている。
色々な場面を想定するらしく結構な衣装だ。
着た事無い衣装も入っている。
最後の晩餐だ。
「お母様。 私は本日で暫くお別れです。 次に会う時はもういつものマリアで無いかもしれません。」
「今まで育ててくれてありがとうございます。」
「何を言ってるの? あなたはあなたよ。 その重く受け止め過ぎるのはあなたの悪い所よ。 今までと変わり無いから心配しなくても良いのよ。」
そう言われても怖いものは怖い。
「最後にお願いが……お母様今日は私と一緒に寝てください。」
「もう、しょうがないわね。良いわよ。」
「ずるい!私も一緒に寝るの!」
「エミーリアも一緒に寝ましょうね。」
その晩、仲良くベッドに入り眠りました。
久しぶりのお母様の匂いは心地良いものでした。




