32話 4学年の適正試験
ついに適正試験の日がやってきた。
私はまだ家にいて緊張している。
「あらあら、マリア。そんなに緊張しなくても、あなたならどこの科でもすぐに合格よ。」
ギギギっと音がなりそうな位で振り返る。
「お母様!マリアは失敗したらどうなるんでしょう!」
「ふふふ。失敗しようが合格に決まっているわ。いってらっしゃい。」
セレシアは大きくなってきたマリアを抱き上げる。
「ほら。もうこんなに重くなって…。もう私が抱っこしてあげれるのも少しね。」
セレシアはマリアを抱き上げ、頰にキスをした。
「私の可愛いマリアを落とすような奴は、私が許しませんよ。」
マリアを下ろし、背中を押してあげる。
マリアは緊張しながら馬車の中で固まり続けるのである。
「着いちゃった、学校。私の順番はもうすぐ…。練習通り呼べるかな?」
緊張で手と足が揃っている。
「お!マリア。緊張してるねー。」
課外授業で喋るようになった男子のダニエルである。
「うるさいダニエル。お前は何科を受けるんだ。」
「俺か?俺は当然騎士科だ!お前みたいな魔法科連中を守ってやるんだ!」
「ふーん。なかなか良い心構えだね。でも私に負けるようじゃまだまだよ。」
3学年中ではマリアが一番だったのだ。
「今度からは専門的にやってくんだ!もう戦う事はないかもしれないが今度こそまもってやるよ!」
いつのまにか緊張がほぐれていた。
「落ちたら騎士科入れるかな?」
落ちるわけが無いのに心配している。
試験会場では、待合室で待機して内容を見せてくれない。
試験が終わった者たちは自由に見れるので、何か理不尽に感じてしまう。
私の順番は最後だ。
どんどん人が居なくなり、ついには私だけになってしまった。
残りは私だけ。これって人数制限あるのかしら?もしかして私忘れられてる?どうしよう、呼びに行った方が良いのかしら?
まだ、前の子が行ったばかりだというのに心配性だ。
コンコン。待合室にドアのノック音が響き、すぐにドアが開く。
「マリアさん、来てください。一応、実技して貰います。楽しみです。」
一応なんて言わないで!私の枠はまだあるのかしら?
「はい!すぐ行きます。」
また、手と足が揃って歩くマリアである。
「ではこの扉の向こうが実技の試験会場です。マリアさん、失敗しても大丈夫ですので、いつも通りで行くんですよ。」
先生から背中をとんっと押された。
私は緊張で耳が遠くなり、視界はズレている。
「入ります!」
試験会場は演習場だ。観戦席には魔法科を受けた生徒達が見守っている。
審査員は宮廷魔法師団の師団長である彼女はアンジェリーナである。
彼女はマリアが精霊魔法を使えるという事で無理矢理に審査員をさせてもらっている。
「それでは、始めてちょうだい。」
楽しみである。一体どのような精霊を呼んでくれるのか…。
マリアは緊張のあまり、周りが全く見えていなかった。耳も遠くなり下を見ていた。
目がぐるぐる回る〜、みんな助けて。
『みんな!来て!』
『『はい!』』
地水火風の光闇の精霊がマリアの周りに現れた。
「凄い!一気に6精霊も呼び出すなんて!信じられない!」
アンジェリーナは興奮して立ち上がっている。
確実に自分より遥かに上の精霊使いだ。
「しかも、みんな精霊として位が高くないか?」
凄まじいプレッシャーに立ち上がるのがやっとだ。
「こんなの合格どころか、学校卒業だろ!」
マリアは全く聞こえていない。目を回しながら前を見ている。
「それじゃあ、みんな行くよ!」
『『はい!』』
魔力で門の構成を創り、そこに地水火風の力を注ぎ門とし、光闇でこの世界に定着させる。
光り輝く精霊門の完成である。
「うそ?あれってまさか…門?せいれい?」
アンジェリーナは目を見開いて驚いている。
マリアは自分の腕を疑似精霊化して門を開ける。
「エターニア!いらっしゃい!」
アンジェリーナのすぐ前に虹色の蝶のような羽が生えた幼顔の少女が立っていた。
『お主がマリアを審査する者か?答えよ!!』
一瞬意識が無くなったが強制的に戻される。
アンジェリーナは穴という穴から汗が吹き出し、血の気を失っていたが、なんとか頷けた。
『ならば見てるが良い!お前如きが届く事の無い高みを!』
エターニアはマリアの側に行き、スタッフで地面を小突く。
シルフは舞い、サラマンダーは乱舞し、ウンディーネは踊る。ノームは大地を奏で、ウィスプは光り、シェイドは影を作る。
エターニアは空にスタッフを掲げる。
演習場の上に沢山の精霊達が現れ、唄い、踊り、観客を惑わす。
精霊達の賛美歌である。
街は祝福され、国にもその祝福は分けられている。
マリアはエターニアと歌に合わせ踊り神秘的だ。
やがて終わり、精霊達は消えていく。
エターニアはアンジェリーナの所に移動し、頭にスタッフをかざした。
『喜べ!お前如きだが、記念に祝福を与えてやる!一生をかけて感謝しろ小娘!』
アンジェリーナは白目を向いて倒れてしまった。
観客達は静かに見守るしか出来ない。
『マリア様。それでは戻りますね。』
「うん。ありがとう!」
エターニアに抱き着き、手を振り見送るのである。
マリアは気絶して倒れているアンジェリーナの所に向かう。
アンジェリーナの股間あたりに水溜りがあったのでこっそりクリーンの魔法をかけてあげた。
マリアはようやく周りが見えるようになり、愕然としていた。
なんと観客席はなぜか満席で、色々な学生、大人達も観ていた。
なんで適正試験にこんなに沢山の観客がいるの?
アンジェリーナを起こすことにする。
マリアは揺すっても起きないので、ある事を試すことにした。
寝ているアンジェリーナの耳元で囁くのだ。
「あの…おしっこ漏れてますよ。早く起きないと危ないですよ。」
効果抜群だった。
「えっ?お漏らし?マジで…。」
股間を触って、青ざめている。
「こんな公衆の面前で…。お嫁に行けない。」
余裕あるよね、冗談言ってるし…。
「ふっふっふっ…バラすぞ。」
ブラックマリア炸裂である。
泣いて謝り、私のスカートを引っ張られ、危うく脱がされる所だった。




