3話 誕生おめでとうマリア
ここ数日でわかった事を報告しよう。
この家は小さな騎士の家らしい。
母のセレシアが子爵家の出らしく相思相愛のようだ。
私の名前の基になったアマリエ様というのは、父が仕えている辺境伯の女当主、アマリエ・マイスリーの事である。
父はアマリエ様の護衛騎士であり、隊長らしい。
まだまだ数日で、この動けない体での情報収集はこんなもんだ。
暇なので魔力の訓練でもしよう。
「ばぶぅー」
意識を集中して、体の中の魔力を感じ、それを体の中心に集める。
これは魔力の訓練だ。
この魔力操作を覚えると、魔法を使うのがはるかに効率よくなるし、魔力総量も増える。
そして筋トレも欠かさない。
短い手足をパタパタと動かし、少しでも早く動けるように…。
今はまだ寝返りすらできないが…。
しかしこの体は、すぐに腹が減る。
しかも腹が減ると直ぐに体が衰弱してくるのだ。
死ぬ~、生まれたばかりだとこんなものなのか?
「うぇ、うぇー、おぎゃぁ」
(助けて、死ぬー、お母さま)
泣いていると、直ぐに母セレシアは授乳してくれる。 生れたばかりは大変だ…。
◇
そんな生活を繰り返す事1年、1歳の誕生日を迎えた。
そして私は立って歩けるようになった。
言葉も少しだけ喋れる。
「ママァ」
ほら、この通り。えっ! 普通だって。 普通が一番。
「まぁ、私の可愛いマリア。 今日も元気ね。」
そう言って私を抱き上げて頬に口付けをしてくれる。
「ほ~ら、パパにいってらっしゃいしましょ。」
アレフはセレシアを抱き寄せ情熱的な口付けを交わしてた。
そして、私のおでこに口付けをして、手を振りながら城に出勤していった。
子供の前でなんて破廉恥な父親なんだ!
父の出勤を見送った私は、直ぐに使用人のカリナに2階にある子供部屋に連れていかれた。
私は子供部屋で一通り遊び、疲れて寝てしまうと、カリナは家の中の掃除を始めるようだ。
私は起きた後、いつものように魔力操作の訓練を済ませこっそり書斎に行き、魔法などの本を読むのが最近の日課だ。
本を読んでいるのをカリナに見られたが、読んでいるとは思っていないようだ、当然だろう…。
さぁ、今日は魔法を使ってみよう。 これまでの訓練の成果を試すのだ。
火魔法は危ないので水魔法からいってみよう。
「ついちぇいよてぇあにつとえ、おーた」
(水精よ掌に集え、ウォータ)
うん、よく言えた。
皿状にした両手から水が溢れるが、小さい手では受け切れず、お漏らししたようにビタビタになってしまった。
思わず泣いた。
とたとたと走る音が聞こえ、すぐにカリナがやってきた。
「あら?お嬢様。こんなに濡れるなんて、どんだけおしっこしたのかしら?」
水は止めて風にしよう、風なら大丈夫だろう。
そう思つていたが、どの属性を使っても結局何かしらの後処理が残り、カリナに不思議られることになったのであった。
ちなみに筋トレは、たぶん普通の子並みにしかやっていない、歩いたりするだけだ。よく考えてみれば、骨格がしっかりできていない今はやめた方が良いと、昔聞いたことがある。筋骨隆々の女子も嫌だしね。




