2話 輪廻転生
僕の名前はアイディ。
アイディ・フォン・メイプル、メイプル家の長男である。
メイプル家は、ローランド王国の伯爵として、領地を頂いており管理している。
メイプルの街は、商業地であり、芋虫の魔物の使役に成功しており、絹のような織物が名産であり、特産品も柑橘系が沢山ある、豊かな領地である。
「よーし、生まれも良し! 貧乏じゃない! 前世の知識を活かして頑張るぞ!」
と、心に誓うのであった…。
時は流れた。
この世界は文明レベルがそれほど高くなく、前の世界の知識だけでも非常に重宝した。
メイプル家は僕の知識により、王国屈指の最先端な街に生まれ変わった。
その功績を称え姫を嫁にもらい、公爵まで登り詰め、孫まで含めると50人を超えた。
大往生であった。
あれ? 俺の物語って、描かれないの? 転生してきたけど、そんなに大した事してないの?
バカな? 今から描かれるって…、あと余命、何分しか無くない?
まだ死ねない、僕は主人公だー!
気がつくと真っ白な、何もない空間が広がっている、その場所に立っており、目の前に、薄い衣を纏ったエリス神が立っていた。
「大往生でしたね。 おめでとう、あなたは転生する権利を得ました。」
僕は目が点になっていた。
「はっ? あーーーー!」
僕は女神様に近づこうと、ダッシュしていたが、一向に距離が縮まらない。
「ノンノン、私に触れるには億年はやーい」
また、地面からホワイトボードが生えてきて、次の世界の説明が始まった。どうやらまた、崩壊を防ぐ事らしい。
「女神様、私はまたどこかに転生するのでしょうか?」
女神様は私の顔をよく見てから、ポンと手を打った。
「あら? 珍しいわね。 再転生なんて初めてじゃないかしら? でも、この転生システムで選ばれたのなら、間違いでは無いわ。 安心して、ちゃんと転生させるから…。」
そう言って、僕はまた5歳児に転生するのであった…。
この時は知らなかった…。
僕に不滅の能力がついていたことに…。
◇◇◇◇
何度目だろう。
また、気がつくと真っ白な、何もない空間が広がっている、その場所に立っており、目の前にいつもの女神様が居た。
色々な世界に行った。
科学が発達して空間転移などが、普通にできる世界…。
魔法が発達して移動も飛行・転移が誰でもできる世界…。
魔道具が発達して調理は魔道具、移動も転移門…、色々だ。
「あらあら?また君なのね。 なぜかしら?」
女神様は僕の周りを回りながら、目を凝らしている。
「あなた、不滅?」
「どうりで、魂が擦り減らずに耐えるわけね。 おめでとう。 神の末席に足を踏み込んでるわよ」
まさか、そんな能力が付いていたなんて…。
意識を集中していると、自分のステータスがぼんやり見えてきた。
-ステータス-
名前:
種族:-
職業:-
状態:魂魄
称号:輪廻転生せし者
能力:不滅、アイテムボックス
透けてるパネル状の画面? が見え、そこには自分のステータスが表示されている。
おぉ、もしかして女神様のステータスも見えるのでは?
そう思い、女神様のステータスが見えるのか、試すため目を細め凝視していた。
-ステータス-
名前:エリス
種族:女神
状態:顕現
○◆<∃ア?△
後半は文字化けしてて、分からない。
「へー、凄いじゃない。 私のが見えるんだ~。」
いつのまにか、僕の後ろからパネルを覗き込んでタッチしている。
「あなたはこう見えてるんだ、便利ねこのやり方。 私もそうしようかな?」
エリスは、僕のステータスパネルを持って定位置に戻っていた。
僕が出したパネルを持っていかないで…。
「それじゃ、また宜しくね。」
「少し記憶を消させていただくわ、ごめんね。」
そのまま、僕の意識は無くなったのであった。
◇◇◇◇
今度は真っ暗だ。
体に力が入らない。 喋る事もできない。 色々と考えるのも億劫だ…。 そして異常に眠い…。
でも、凄く安心感がある。
例えるなら、水の中に浮かんでいるような感覚で、非常に心地よい。
たまに壁の向こうから触られているような感じがあるので、足を動かし答えてみる。
なにかしゃべっているようだが、どうもこの体は感覚が鈍い。 うまく動けないし、しゃべることもできない。
というか、息をしている感じすらしない。 例えるなら胎児になったようだ。
◇
そのまま何日か経ったある日…、平穏だった僕の居場所は、急に荒れ始めた。
うおー! 凄い圧力だ! なんだ? 俺の平穏な生活を乱すのは? やめろー! 痛い、イタタタ。 無理やりはやめて~。 まだ全然体は動かないけど、潰さないで~。
私は観念した…。
いまいるこの場所が、狭くなっていく。
というか、最近は窮屈だったのだ。
気が付くと頭のほうに、小さな出口ができていた。 動けない体で、抵抗虚しく小さな穴に頭から押し出されていく。
うわ~、助けて神さま、女神さま!
大きな手が近づいてきて、穴から取り出されていく。
痛い、苦しい、やめて~、頭を引っ張らないでー!
久しぶりに大きな声で泣いた。 なんかすごく痛いし、苦しいので、思いっきり泣いた。
「おぎゃぁ、おぎゃぁ、おぎゃぁ」
すぐに温かく湿らせた布で顔を拭われ、おくるみに包まれて抱き上げられた。
「おめでとうございます。 セレシア様、アレフ様、元気な女の子ですよ!」
私はどうやら産まれたようだ。
体が不自由だったのは赤ん坊だったからのようだ。 初体験である。いや、意識がある状態での話である。
羊水に浮かんでいたからか、外では体が重い。 手を持ち上げるだけで一生懸命だ。頭なんか上がるわけがない。
目は、開ける事ができるが眩しいし、ぼんやりしか見えない。
赤ん坊である私は直ぐに母親のセレシアに渡され、優しく抱かれた…。
今はおなかが空いたので、セレシアの胸を吸っている。
「女の子なら、名前はマリア。 アマリエ様のお名前から3文字頂戴した。」
「お前は今日からマリア・ウェルズだ!」
私は、いつのまにか疲れ果てて、眠っていた…。




