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23話 マリアの趣味

公衆浴場が完成した。

オープンまでにスタッフの教育を済ませ…、スタッフ忘れてない?募集もしてないよ。

お母様に頼まなきゃ!

親方達にお礼を言い、祝賀パーティーを開く事を約束して家に帰る事にした。

家に帰ると何か騒々しい。


「マリア様!直ぐにお父様のお部屋にいらしてください!」


カリナが来た、凄く急いでいるようだ。

仕方がないのでスカートの裾を持ち、小走りにお父様の部屋にカリナと向かう。

まずは、深呼吸。お淑やかに…、ドアをノックして。

コンコン。


「お父様、マリアです。至急来るように言われ参じました。」


中から駆けてくる足音が聞こえ、ドアが開く。


「やっと来たか!マリア、父さんを助けてくれ!」


真剣な顔をしているお父様は、すぐに私の手を掴み部屋に入れる。


「お父様!待って、マリアはどこにも行きません!」

「済まない、取り乱した。アマリエ様に呼ばれてな…。」


マリアの顔を見て、落ち着きを取り戻したアレフは、マリアが作るカップを明日までに用意して欲しい事を頼んできた。


「無理を承知で頼む。何とか明日までに20セット作って欲しいんだ!」


そうか、お父様はすぐに作れる事を知らないんだ…。ここで実力発揮しちゃうぞー。


「お父様。その位なら直ぐに用意出来ますわ。」


お嬢様教育の賜物である。まだまだ、たどたどしいけどね。

よし!気合い入れて作っちゃうぞ!


「クリエイト・クレイ!」


魔力でカップの形に整形して、脱水っと♪


「ふんふ〜ん♪アプソーブ・ウォーター。」


楽しいなぁ。あっ!装飾忘れちゃった。


「お父様、金貨と銀貨、銅貨を下さいな。」

「あぁ。」


アレフは机の引き出しから金貨、銀貨、銅貨を取り出し、私にくれた。


「鉄はこれを少し頂きますね。」


手紙開封用のナイフを手に取り、一瞬魔力を込めるとナイフから10滴ほど液体が落ちた。

それは机に当たるとパチンコ玉の大きさの鉄球になっていた。

アレフはそれを見て、目を大きく見開いている。

マリアは金貨、銀貨、銅貨も同じように溶かし固めた。


「ふふふ♪」


カップをどんどん作り、装飾していく。


「お父様、部屋に戻り材料を取ってくるわ。」


マリアは許可をもらい、部屋を出た。

机の上にはあっという間に20セットのティーカップ、ポット、皿が綺麗な装飾を施された状態で並んでいる。

アレフは知らなかったのだ。

マリアがどのようにカップを作っているのを…。

初めて間近で作っている姿を見て、ビックリしている。


「こんな風に食器って作るものか?」


暫くは呆然と見ていたが、疲れたようにソファに座り掌を組んで考えている。


今度、魔法を見せてもらおう、将来が楽しみだぞ。

アレフは笑っている。マリアの将来を想像して楽しそうである。


「お父様、戻りました。」

「あぁ。」


マリアは部屋に入り、持ってきたガラス玉をそれぞれのカップに入れ魔力を込めるとあっと言う間にガラス玉が無くなり消えた。


「後は焼成です♪」


魔法で一気に焼き入れをして…。


「完成です!木箱も作ってしまいましょう。」


机には磁器達が光っている。

マリアは部屋を出て薪を両手に抱えて戻ってきた。


「今回は時間が無いので無理やり作りますね。」


そう言うと魔力を込め始めた。


やっぱり木材は魔力が通りにくいから難しいな。

よし!今回はゆっくりと、木材の構成を変えるように、魔力が通りやすいようにしてみよう。


「うーん。木は魔力が通りにくいなぁ。」


少し黒くなったところで、変形させる事が出来たので、木箱状に加工していく。

まずは板状に切る。


「えい!」


綺麗に、均等に板が出来上がる。

それを組木しやすいように加工していく。

あっという間に彫り物が入った木箱ができていく。


アレフはこの常識的に、あり得ない現象に目を見開き見ていた。

グニュグニュと木材が変形していくのは、おかしい。

まるで、原始魔法ではないか…。

いや、これが原始魔法なのかもしれないな。

たしか魔法理論的には可能だが、魔力がとんでもなく必要だった筈だ…。


「お父様?完成しました。後は布に包んで箱に納めていくだけですのて、これで失礼してもよろしいですか?」

「あぁ…、ありがとう…。」


アレフは気のない返事をしてしまった。

「??、それでは失礼します。」

部屋から出ようとすると、アレフに呼び止められた。


「マリア。ありがとう。」

「そういえば、ガラスのコップとか、金属製のコップとかもありますので、一緒にお持ちになると良いです。」


その晩、食堂で食事をした後に、今あるグラスなど全部集める事になった。

カリナやメイリーンが私の部屋に沢山ある、マリアコレクションを机に並べていく。

家族達は唖然としている。

弟たちは私を見て、さすが姉様と褒め称え、アレフは更にビックリしている。

磁器以外にも魔石シリーズも持ってきている。プロテクション付与品だったり、クリーン付与品だったりだ。

最近はおしゃれに指輪型だったり、ネックレス型、ブレスレット型とバリエーション豊かだ。

しかも、装飾は一流の職人以上の仕上がりだ。

「なぁ、マリア。これは自分で作ってるのか?」

「はい、お父様。私が趣味で魔法で作っております。実演しましょうか?」

ガラスのものでも実演する事になった。

ガラスは建設中に割れたものなど不用品を貰ってきているので、部屋から持ってきて作る事にした。

ふふふ。

私の趣味を認めて貰うチャンスよ!

私が今できる技術の粋を集めて、グラスを作ってみせる!

黒い笑みを煌めかせながら、取り組んでいく。

まずはガラスを液状化して遠心分離。

最近は更に不純物を取り除くために炭での吸着も試している。

いわゆるカーボンフィルターだ。

そうしてできたガラス球を魔力で成形しグラス下部は虹色に輝かせるためにホログラム加工を施していく。表面はガラス内部に我が家の紋章を刻んで見た。

どうだ!会心のできだ!

マリアはみんなの顔を見るが、弟達は目をキラキラさせて尊敬の眼差しだが、父様の顔は口を開け固まっている。

母様はいつも通りマリアやり過ぎよと目で訴えている気がする。


「父様!どうですか!私の趣…作品は!これからは認めて頂けるんですか!」

「あ、あぁー、ほどほどにな。限度は大切だ。」


アレフはセレシアの顔をチラチラ見ながらはぐらかしている。

ちっ!母様の方が強いか!

マリアは母様の顔を見ると、やっぱりやり過ぎよとプレッシャーを掛けてくる。


「お、お母様。マリアは勉学共に頑張りますので、これ以上家庭教師を増やさないでください。」

「わかったわ、マリア。まだこんなに沢山、作る余裕があるのね。」

「ちゃんと、友達との仲を深めてくれるんなら考えるわ。」


最近、友達との約束を用事があると断っているのがバレているようだ。

マリンベル工務店を作ったので、暇があればそちらに篭って遊んでいる。


「あなた。マリアの作品なら自重無しで工務店に沢山置いてありますわよ。」

「ははは…。」


マリアにとぅて恐ろしい母親である。

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