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不老不死の謎

凛花は缶を持ってベランダに出る。


少し遅い時間、22時になってない位だ


隣を見る。


……やはりいる。


いつも通り。


ただ。


今日はタバコじゃない。あとなんか変なにおい


小さな鍋。


凛花は眉をひそめる。


「……何してんの」


ステフは気にせず、スプーンで中身をすくう。


どろっとした液体。


そのまま口に運ぶ。


「ちょっと待て」


凛花が一歩寄る。


「それ何」


「煮汁だが?」


「見りゃ分かるわ」


暫くの沈黙、なんだこの時間


「花だ」


「は?」


「その辺に咲いてたやつを煮出した」


凛花は一瞬止まる。


「……いやいやその辺て」


ベランダ越しに下を見る。


アパートの花壇。


「お前それ」


「大家のやつじゃね?」


ステフはそうだっけ?みたいな顔をしてスープ?らしき物を口に運ぶ。


「似てるんだ」


「何に」


「昔飲んでたやつに」


凛花は顔をしかめる。


「だとしても大家の花使うなし」


「何年も生きてると記憶が薄れる」


「はいはい」



「毒」


「は?」


「昔から、少しずつ飲んでた」


凛花は笑う。


「いやいやいや」


「それ死ぬやつ」


「死ななかった」


「丈夫な体なことで何より」


「そうだな」


風が抜ける。


凛花は缶を一口。


「なんでそんなことしてたの」



「祖父がに飲まされてた」

「俺は当時皆と比べると弱かったから」


「なら尚更駄目やん」


「飲まされ続けた」


「終わってんなその一族」


ステフは少し考える。


「祖父曰く荒療治らしい」


「荒療治ってレベルじゃねえ」


凛花はため息をつく。

「それで気付いたら不老不死?」


軽く言う。


ステフは少しだけ間を置く。

「クソでか溜息だな」


「ねらーかよ」


「皆死んで周りがいなくなってた」


凛花の動きが止まる。


「……」


「気付いたら知り合いは一人になってた」

「俺だけ年を取らず生きているから周りが不思議がってな」


ステフは話を静かに続ける。

「最初は一族の体質だと思っていた、個人差はあるが皆老化が遅かった

だが俺は遅いなんてもんじゃなかった」


「そして知り合いが死に、孫の代が大きくなる頃、俺は村を出た。」

少しだけ視線を落としながら言うのであった。


「……」


言葉が出ない。

嘘つくにしてもこんなに悲しい顔をできるだろうか、演じているというわけでもなく

そう、昔ばなしをする様な表情


「不老不死なんだから仕方ないんじゃない?」

我ながらなんて雑な返しだろう


ステフはフッと笑い

「そうだな」


凛花は鍋を指さす。


「てかそれさ」


「ほんとに大丈夫なん?」


「何がだ?」


「先月から掲示板に貼られてたやつ見てる?

“花壇の花を無断で採取している方へ——”ってやつ」


ステフの動きが止まり静かに頷く


「アウトやん!!大家が大事に育ててる花だからばれたら...」


ステフはもう一口飲み少しだけ目を細める。


「まずいな」


「まずいのそっちじゃねえ!!いやまずそうだけど!」


凛花は腹を抱えて笑う


「弱みできたわ」


ステフは?という顔だ


「お前の」



夜はいつも通りなのに


少しだけ


空気が変わっていた。

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