上から見る謎の絵
「ハロ~キティ~こんにちは~出来立てのポップコーンはいかが?」
電子レンジでポップコーンができるのを待ちながらお決まりのフレーズを口ずさむ
テレビを見るとやっていたのは世界の謎特集
「はー、誰が何のためにこんなの作ったんだろう。きっと暇人ね」
出来立てのポップコーンとビールを持ちベランダへ向かう
出るとすぐにステフに話しかけられる
「出来立てのシケモクはいかが?」
「シケモクに出来立てとかねぇだろ、てか聞こえてたんかい」
「ここ壁薄いからな」
これからは気を付けようと意識する凛花
「あのさあのさ、聞きたいんだけど」
「ナスカの地上絵ってさ、結局なんなの?さっきテレビでやってて」
「宇宙人とか言う人もいるし」
ステフは短く答える。
「違う」
凛花がちらっと見る。
「さては知ってる感じ?ステフおじはなんでも知ってるなぁ」
ステフは煙を吐く。
「書いていた」
凛花が止まる。
「おぉっと急展開、暇人とか言ってごめん」
「何の話だ?
乾いた大地、風だけが吹く。
場所は砂漠。
どこまでも何もない。
ステフはそこにいた。
地面を見ている。
「何してる」
近くの住人に聞く。
男は答える。
「雨を呼んでるんだ」
凛花が眉をひそめる。
「雨乞い?」
ステフは頷く。
「この辺は水がない」
空を見ても、雲はない。
「だから描く」
男は地面を指す。
「空から見えるように」
凛花が小さく言う。
「いや、誰が見るの」
ステフは肩をすくめる。
「知らん」
凛花が即ツッコむ。
「適当すぎるだろ」
ステフはその場に残る。
「当時暇だったんだ」
凛花が呆れる。
「やっぱ暇人じゃねーか」
住人が言う。
「君もやるかい?」
ステフは頷く。
「やることもないしやろう」
凛花が吹き出す。
「動機が軽すぎる」
作業が始まる。
砂利をどかす。
線を作る。
ただ、それだけ。
「もっと真っ直ぐだ」
「そこは曲げる」
単純な作業。
だが——
終わらない。
凛花が言う。
「どれくらいやったの?」
ステフは短く答える。
「長い、後悔した」
日が過ぎる。
年が過ぎる。
形が増える。
線、動物、奇妙な図形。
凛花が少し引く。
「ガチじゃん」
ステフは淡々と続ける。
凛花が小さく言う。
「どこから湧くのその意欲」
ステフは空を見上げる。
「上から見ると分かるらしい」
凛花はつられて空を見る。
「で?」
「意味あったの、それ」
ステフは少しだけ考える。
「詳しくは分からない」
凛花が笑う。
「結局なんも知らないじゃん」
ステフは続ける。
「今も分からないらしい」
凛花が頷く。
「色々説はあるけどね」
ステフは静かに言う。
「彼らからしたら儀式だったようだ」
凛花が顔を向ける。
「ほう」
「やったはいいが雨は降らなかったな」
風が強くなり、小雨が降る
凛花は少し考える。
そして、ふっと笑う。
「バイト感覚でやったやつが」
指を空に向ける。
「世界の謎になってるのやばすぎ」
ステフは小さく笑う。
夜空には何も描かれていない。
だが、地面には確かに残っていた。




