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欠ける理由

夜は少し賑やかで星がとてもよく見える


凛花はベランダに出て空を見ながら酒を飲む

「なぁ」


ステフは相変わらず煙草を吸っている


「昔ってさ」


「星見るの流行ってたん?」


ステフは頷く。


「望遠鏡が出てきた頃はな」


凛花が笑う。

「ロマンチックだね」


「思い出した」


凛花が顔をしかめる。

「また回想入るの?」


「あれは望遠鏡が流行っていた時.....」


「あ、ほらすぐ回想入る」

横で凛花が何か言っているが気にせず続ける


人々が空を見上げている。


「見えるぞ!」


「すごいな……」


望遠鏡が流行っていた。


ステフも、適当に覗いていた。


「……ん?」


少しだけ目を細める。


「これ、面白いな」


隣にいた誰かに話す。


「これ、欠けてる日もあれば」


「丸い時もある」


凛花が言う。

「それ月の事?」


ステフは首を振る。


「違う」


「金星だ」



その会話を、横で聞いていた男が反応する。


「詳しく」


振り向く。


「今、なんと言った?」


凛花が小さく言う。

「今度は誰だぁ?」


何だこのおっさんはとびっくりするがステフは少し考える。

「日によって形が違う」


「小さく丸い時もあれば、欠けてる時もある」


男の目が変わる。

「……そんなはずはない」


凛花がツッコむ。

「否定から入るタイプや」


ステフは肩をすくめる。


「自分で見ればいい」


望遠鏡を渡す。


男は覗く。


沈黙。


長い沈黙。


「……本当だ。以前と形が違う」

声が少し震えている。


「なぜだ……」



男はその場から動かない。


「なぜ形が変わる」


「なぜ大きさも変わる」


ぶつぶつ言い始める。

「気になるンゴ,,,」


「おい脚色すんな」


飽きてきてステフはもう興味がない。

「面白いだろ」

男に適当に言う。


凛花がツッコむ。

「雑だなぁ」


だが男は止まらない。

「もし……」

「地球が太陽の周りを回っているなら……」

「あいつの提唱した天動説を否定できる!?」


凛花が思わずつっこむ

「いやいやいや、そこ?」


「てかそこまで飛ぶ!?」


ステフは煙を吐く。

「飛んだな」

「そしてやっぱ俺しか勝たんとか言ってたな」


「ドルオタかよ」


そこからは長い時間をかけ観測、記録、考える。

止まらない。

やがてそれは——


「地動説の証明に繋がる」


凛花が缶を持ったまま固まる。


「いや待て」


「お前の“おもしれー”が発端かよ」


ステフは短く答える。


「本心から出た事だ」


凛花は頭を押さえる。


「そのきっかけが毎回デカすぎるんよ」


凛花が聞く。

「でその人誰?」


ステフは空を見上げる。

「ガリレオ・ガリレイだ」


凛花はため息をつく。

「また大物.....」


凛花は空を見る。

「お前からヒント得る人どんだけいるんだよ」


ステフは答えない。


けど、最初の時よりも星空が広がって見えている気がした

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