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高杉

凛花はベランダに出るなり言う。


「なぁ」


ステフはいつものようにいる。


「高杉晋作ってさ」


少しだけ声が弾む。


「めっちゃかっこいいよな、私幕末の中で一番好きなんだよね」


ステフはすぐには答えない。


煙をゆっくり吐く。


「そうだな」


凛花は笑う。


「革命家って感じで良いよね」

親指を立てグッドのサインをしてくる。


「……あれは」


ステフの声が、少し低い。


「俺からすればただのテロリストだ」


凛花の表情が固まる。


「……へ?」

おいおい、好きな人の話してたらいきなり最上級のディスリが始まったんだが


「ドラマや本では、かっこよく描かれる」

「だが、住んでる側からすれば違う」


凛花はすぐに言い返す。


「いやいや待って」


「時代変えた人やん?風雲児よ?」


ステフは遮らずに続ける。


「突然、銃を持った連中が来る」


「笑いながら撃つ」


凛花の眉が寄る。

「…ぬぅ」


ステフは静かに言う。


「逃げるしかない」


「理由なんて関係ない」


沈黙。


「こっちは生活してるだけだ」


凛花は一瞬言葉に詰まる。


それでも、すぐに返す。


「でもさ」


「必要やったんやろ?そういうのも」


少し強めの声。


ステフは少しだけ苦笑する。


「来る時代を間違えた」


凛花が睨む。


「お前が言うなや」


ステフは短く言う。


「それもある」


間。


「……いたん?」


凛花の声が少し落ちる。


「その場に」


ステフは頷く。


「いた」


「なんかごめんなさい」

そう言いながら凛花は視線を逸らす。


「でもさ」


小さく言う。


「結果、変わったやん」


ステフは少し黙る。


「結果はな」


短い言葉。


「だが、やり方は選べた」


その一言が、刺さる。


凛花は黙る。


少しして、ぽつりと言う。


「……好きなんだよぉ」


ステフは何も言わない。


「かっこいいと思ってた」


少しだけ、悔しそうに笑う。


「なんかさ」


言葉を探す。


「一気に嫌いにはなれんわ」


ステフは煙草を見つめる。


「なら、それでいい」


凛花は少し驚く。


「否定せんの?」


ステフは首を振る。


「見方が増えただけだ」


少し間。


「どっちも事実だ」


夜が静かに流れる。


凛花は空を見上げる。


「英雄ってさ」


小さく呟く。


「見る場所で、全然違うんやな」


ステフは答えない。

煙だけが静かに消えていく

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