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分からないまま

気になる、あいつが本当に不老不死だとしてなんでそうなったのかとか全然聞いてない

まぁそもそも信じてなかったから気にもならなかったんだけどね


「いるー?」

窓を開け隣の隣人に覗きながら話しかける


「最近、荷物がごちゃごちゃしてきたな」


「最近立ちながら話を聞くのがつらくなってきてさ、折り畳みの椅子買っちゃいましたー

あとはねぇ、お酒とおつまみおけるサイドテーブルと~って私の話はいいの!」


「あんた不老不死の原因とか調べたことないの?」

私、凄い気になる。といった表情でステフを見つめる


ステフは軽く頷く

「調べた」


凛花は少し身を乗り出す。

「で?」


「分からなかった」


「過程を言え過程を」


ステフは肩をすくめる。


「色々調べたし探してみた」


「例えば?」


「体質の事」


「一族の?」


「そうだ、他にもある」

ステフは続ける。


「食べ物」


「その時代の?」


「あぁ、だが今は無いものも多い。そもそも味が全然違う」

「気候、地質の違いで全く同じ物は作れなかった」


凛花は少し考える。

「2000年も経てばそうか...」


「あと」

「微生物の関係性」



「……急にそれっぽい」

凛花は相槌を打つ


「で、結論は?」


「分からない」


「話一周したねー」

軽く突っ込む。


ステフは続ける

「調べるのを途中でやめた」


「なんで?」


「面倒になった」


「最低だな」

少し笑う。


「でもさ」

乾いた喉をビールで潤す


「気になるでしょ普通」


ステフは街灯を見つめ、思いにふけた表情を見せる

「最初はな」


「じゃあなんで」


「どうでもよくなってしまった、人が生きるにはあまりにも長すぎる」

「最早呪いにも感じる時もある」

「仮説に過ぎないが体質、幼少期からの毒の摂取、微生物。このどれかもしくは全部か

偶然こうなったとしか言えんという事に取りあえずはたどり着いた」


凛花は少し黙る。

「……それ」

少し間があき凛花はふと問う


「一人で調べてたの?」


「いや」


「一緒にやってたやつがいる」


「まさかの協力者」


「アインシュタイン」


「ほえ?」

私最近間抜けな声しか出さないな


「偶然出会ってな」


「東京歩いてても芸能人と会う事少ないのにどういう確率?」


凛花は眉間を指で揉む


「で?その大先生と何してたの」


「色々だ」


「観察したり」


「うん」


「仮説立てたり」


「おん」


「日向ぼっこしたり」


「ふむ。ん?」


「俺の細胞調べたり」


「待って今全然関係ない事してたよね?」


「問題があったんだ」


「無視すんなや」


「彼は、生物学専門じゃなかったんだ...」


「論理物理学者だからなぁ」


「そして途中で姿を消した」


「……は?」


「いつもの様に彼の元へ向かったがもの家の殻だった」」


「どこ行ったの」


「アメリカ」


凛花はスマホを出す。

(アインシュタイン アメリカ)


検索結果を見る

頷く。


「……亡命してるわ」


「不思議ではなかった」

凛花はじっとこちらを見る。


「なんかあったの?」


「あの時代のドイツは迫害がひどくてな」


なんとなく想像がつく、歴史を開けば必ずと言っていいほど名前が挙がる


「アドルフ・ヒトラー」


一瞬、空気が止まる。


「その頃俺は散髪屋で主に軍人を相手していたんだ」

散髪のポーズを取るステフ


「あんた...なんでも出来るのね」


驚くのはそこじゃないだろうという表情のステフ


「たまたま奴も切りに来たんだ」


「あんたのたまたまって絶対確変入ってるよね?」


ステフは淡々と続ける。


「ゲルマン民族がどうとか言ってた」

「他はカスだとか」

「君は純粋なゲルマン民族じゃなさそうだなとか」


「心底ゲルマンの血も入っていて良かったと思っている


「あぶねー」


「面倒だから適当に話を合わせてた」


「どの時代も美容師は同じことしてんだね」

想像するとおもろいな


「そういう所からナチスの内情を聞いていたんだ」


「ザル過ぎる、普通国家機密じゃないの?」


「うちの看板娘に、こんな仕事俺してるんだぜ、ドヤァ。ってしたかっただけだ」

当時の軍人のものまねだろうか声色を変えてくる


あんたまで顔ドヤらせてどうする

凛花はそんなステフに対し話を続ける


「意外と可愛いなそいつらも」


「だからそのことをアインシュタインに伝えてたんだ」


「そして程なくしてアインシュタインは出て行った」



「でも分かんないままって」

凛花は少し考える。


「もやもやするな」


ステフは少しだけ目を細め一言だけ


「慣れる」



凛花は笑う。


「万能な言葉だ」


今日は乾いた空気で時折吹く夜風が肌にあたって気持ちがいい

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