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売れない男

疲れた、今日も残業。明日も残業。

あー!労働って気持ちいいなぁ~♪


帰宅すると服を着替えて家で一番度数の高い酒をストレートで胃に流し込む

「くそ上司がよぉ、こんな日は手っ取り早く酔うに限る」


木曜日、あと一日乗り切れば良いだけの事


「おーい、ステフ~いるんでしょ~出てきなさーい」

ベランダのパーテーションをバシバシと叩く


程なくするとガラガラと扉があきステフが姿を現す

「なんだ」


「なんだとはご挨拶だなぁ、ちょっと付き合えよー頼むよぉ

もう仕事に行きたくないよぉ、人権ほしいよぉ」


「またか、だから早く辞めろと言ってるだろう」


「うぅ~、給料結構良いし世の中の人の為にはなってる仕事だから誇りは持ってやってるんだよう」


上司は嫌いだが仕事は好きという何とも可哀想な状況で泣き叫ぶヒス女

しかし夜だからか泣き叫んでるっていうのに近所迷惑にならない程度に声量を調節している

器用なものだ...


「で俺にどうして欲しいんだ?」

本題にはいるべくステフは訊ねる


「慰めて欲しぃぃぃ.....」


「........」

心底面倒臭いといった表情を凛花に向けるステフだが

ここで恩を売っておくのも悪くないと考え慰めることにする


「まぁ、あれだ。」

「正直お前の仕事内容は知らん、けどそこまでして今の仕事をしているんだから素晴らしい仕事なんだろう。」

「誰に、かまでは分らんがきっとそれで喜んでいる人はいるはずだ。胸を張れ。

つまらん人間の為に自分を潰れさせるな、いつでも殺せるんだって気持ちでいれば幾分かは楽だ」


「メンタリストかよぉ、物騒な事言ってるよぉ」

ヒックヒックと泣きながらもお酒を飲み続ける凛花


「ここまで酷くなかったが同じような男がいてな」

「奴は売れない画家で、様々な作品を描いていた。ひょんな事から励ます様になってな

メンタルケアをしたことがあった」

そのままステフは売れない画家の話を続けた


18世紀男は描き続ける、売れないと分かっていても

最近は目まいや吐き気がする。体調は良くない

けれど、いつかはと希望をもって描き続けた


「綺麗な絵だな、一枚売ってくれないか?」

見上げると長身でがたいが良い男が立っている


「あんたも物好きだな」


「自分にとっていい作品だと思っていればそれで良い」


「運が良かったな、もう書くのを辞めようと思っていたんだ

あんたが最後の客だな」


「勿体ないな、俺は好きだぞあんたの絵。この向日葵の絵なんて良いな、太陽の様な力強さを感じる」


「向日葵は俺が一番好きな花なんだ。ユートピアの象徴だよ」

男は生き生きと語る


「その顔で辞めるって言われても納得しないな。良い笑顔で話しているよ」

「慰めになるか分らんが、売れなかったとしてもあんたの絵を好きな男が1人はいる事を忘れないで欲しい。俺から言わせればこの良さが分からん奴らの目が節穴だ。時代が追いついていないのさ」


「ありがとう、支えになるよ」


「いい話だなぁ~」

泣く、酒を飲む、喋るこのルーティーンで凛花はステフの話を聞いていた


「良い所あるよぉ、流石メンタリストぉ」


「残念なことに死んでから絵が評価されてしまったんだ」


「ゴホッ!?」

有名な画家の内容と同じで酒で咽る


「あぁ、そうだゴッホだ」


「っげほ、いや今のは、名前を言ったわけじゃ.....」


「俺の為に向日葵の絵を描いてくれたんだ」

絵を持ってきて凛花に見せびらかす


「おいおい、酔いも覚めちまったよ。それてっとぉなにかい?存在するはずのない8枚目の向日葵の絵を

あんたが所持してるって事?しかも本人から直接?」


「あぁ俺の宝物だ」


「......せ」


「ん?」


「その絵よこせぇ!なんでも鑑定団に申し込んでやる!」


結局近所迷惑で怒られる事となる




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