ハンゾー
「可哀想だから向こうの声は聞こえるようにしてやろう」
「えっ?」
ハンゾーが指を鳴らすと、ノリの居る部屋の声が聞こえてきた
ノリと男が話をしている
「おい! お前、あのアズミって女を助けたいんだろ? あいつは反逆者だ。ハンゾー様もあいつを許すつもりなんてない。でもな、ハンゾー様から唯一アズミを許す方法を提示してくださった」
「そ……それは何だ!?」
男は粉の入った袋を取り出した
「これだ!」
「そ……それは……」
「あぁ。お前が大好きな物だ。アヒンだ」
「お……俺は……」
ノリの手が震えている
「あぁ。知ってるぜ。アルソに何度も吸おうとしたのを止められたらしいな。しかし、今は吸えって命令が来ている。これを吸うとアズミの命を助けてやる」
「そ……それは……」
駄目だ……ノリ……そんなの吸ったら……本当に辞めれなくなる
「どうした? 吸いたくないのか? 吸ったら気持ちいいぜ」
「ノリー!!!! やめろー!!!! あの時私を止めてくれたじゃない! 吸わないでー!!」
私は大声で叫んだ。声が枯れるくらいの大声で。でも、私の声はノリに聞こえなかった
ノリはそのまま袋を手に取った
そして、吸った
「ははははははは……こいつ、本当に吸いやがった! 気分はどうだ?」
「あぁ。気分はいいよ。これで、アズミの命は助けてくれ」
「いいぜ。ハンゾー様に報告してやるよ」
そして、ノリはアヒンを吸ってしまった事実に私は愕然としている
ハンゾーが話し始めた
「いやぁ。仲間の友情って感動するねぇ。仲間の命を救う為に、危険な薬に手を染める。素晴らしい」
「どう言う事?」
「さあ、俺何か言ったかな? 忘れてくれ」
「忘れられるか! これ以上ノリに何かしたら許さないぞ」
「いいのか? せっかくノリが危ない薬を服用してまで助けてくれた命だろ? 今反逆したらまたノリに薬を服用して助けて貰う事になるぜ」
わたしは、このままハンゾーを殺してしまおうと思ったけど、手が出せなかった。またノリにあの薬を服用させるわけにはいかない……
「そうだな。それが良い。まあ、もし俺を殺そうとしてもお前に勝ち目なんてないんだけどな」
そう言うと、物陰から護衛の者がゾロゾロと現れた
「丁度良い。アズミ、今日からお前は俺の護衛をしろ! 命を狙いたいのならいつでも狙えるぞ。まあ、失敗したらどうなるのか楽しみだけどな」
「くっ……」
「お前ら、このアズミが新入りだ。色々と教えてやれ!」
「はっ!」
全員ハンゾーに、跪いている。
「何をしている新入り! お前も跪け!」
「はははは。そうだな。新人には教育が必要だよな。ほら、アズミ、俺に跪け!」
「はっ……はい……」
私はハンゾーに跪いた
「よろしい。では、これからアズミの教育をよろしくな」
「ちょっと待って! アルソ組はどうなったの?」
「そんな事を知って何になる?」
「それは……」
「お前が知る必要はない。お前はただ俺に従え。それだけだ」
私にはどうすることもできなかった
救いはないのですか? アズミが不憫すぎる




