アヒン
「やばい。あと30分しかない」
時間を見ると、残り時間の少なさに焦りを感じ始めた。
「まだ、半分くらいしか斬れていないぞ。この魔力の糸」
ユージは魔力の糸を見てくれたが、結果は良くなかった。このペースでいけばギリギリ間に合いそうなんだけど、疲労も考えると間に合わない事も考えられる。
カエデに体力を回復してもらいながら続けているが、私達の持久力は限界に近かった。
どうすれば……
その時、ユージが冒険者の袋から粉袋を取り出した
「ユージどうしたの?」
「あぁ。ちょっとね……持久力を回復させようと思ってね……」
ユージが袋を開けようとした時
「ユージ辞めておけ。俺は、ユートさんから聞いているから知っている。それは……アヒンは……一度吸うと辞めれなくなるぞ」
「あぁ。わかってるよ。でも、この場を打破するにはこれしかない」
「やめろ!」
そう言って、ノリはユージから袋を取り上げた
私には何の事かわからない。持久力を回復できる薬なの? そのアヒンってのは……?
「ユージの変わりに俺が吸う! アズミとカエデを頼んだぞユージ!」
そう言って、ノリは袋に口と鼻を付けて吸った
「おい!! ノリ! お前が犠牲になることじゃ……」
「おおおお!!! 力が漲る! これがアヒンの力か!」
そう言ってノリは魔力の糸切断を再開した。
それも、凄いペースだ。
「どうなっても知らないからな!」
ユージはそう言いアヒンを冒険者の袋に戻す
「えっ? ノリはどうなったの?」
「後で話す。今はノリの犠牲を無駄にしたくないから糸の切断を続けるぞ!」
そう言って、私とユージも糸の切断を再開した。
ノリの頑張りもありあと少しで斬れそうな所までやってきた。
残り時間はあと20分。これなら、あと3分もすれば斬れる!
そんな時、ノリが急に泡を噴いて倒れた。そして、全身がピクピクと震えている
「やっぱりこうなった……カエデ! ノリを救護室に連れ行って。俺とアズミで残り20分で斬る!」
ユージはそうカエデに指示をした
「わかった! ノリ大丈夫?」
カエデはノリを担いで救護室の方へと消えていった
もう何が何だかわからない。
アヒン……どこかで聞いたような……そう言えば、ミスズ町に子供を連れていった時にその子供が呟いていた!
そう。その時に呟いていたのは、アイヒって人の名前ではなく、この粉の名前だったんだ! ってことはノリもあの子供のようになるって事なの?
私は恐ろしい事を考えた。




