表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/94

カエデの哲学

私達は、とりあえず宿屋に戻った


「疲れた……」


三人ともぐったりとしている


「なあ、アズミ……あのマリサさんって人とよく話ができたね。俺なんか怖くてまともに話なんてできなかったよ」


ノリが聞く


「うーん。なんとなく話さないといけない気がしたの。マリサさんとはまた何処かで会うような気がして……それにしても移動は全て走るか……考えもしなかったよね」


「私なんて脚がガクガクしてるよ……ずっと震えてて……それに吸血コウモリに脚を噛まれたし……はあ……嫌な1日だったね」


カエデがため息をつく


「もう、移動は走りたくないね……」


「そうだな……」


「うん……」


「そういえば、あのゴールドゴーレムを討伐したらダメって話、アズミはどうして従ったんだ?」


「うーん。わからない。でも、何かあの人の言うことは説得力があるんだよね。魔物は憎いか? と言われたら憎いけど、魔物の実害って『赤目の獣人』くらいじゃない? まあ、行商人の商品を狙って襲う魔物も居るけど。そう考えると私達の方が……」


「アズミ……そんなことはない! 俺達は、冒険者だ。魔物を討伐するのが仕事だ。間違ってない。あの胡散臭いマリサって冒険者が間違ってる! 騙されるなよ」


「わかったよ。ノリ。そうだよね。私達は魔物を討伐する。ただそれだけだよね」


「アズミ……ノリ……どっちが間違ってるとかないと思う。どっちも正しいと私は思うよ」


「どういうこと?」


「アズミとノリは、正解と不正解の2つしか存在しないと思ってるんじゃないの?」


「うん。そうだよ」


「中間位置は?」


「そんなの、正解は1つしかないんだから不正解だよ」


「うーん……正解っていうのは全人類にとっての正解なの?」


「うん。そうだよ。それが全人類の為になる。だから、全人類の正解はだよ」


「じゃあ、魔物にとっては?」


「魔物にとっても正解だよ。だって悪いことしたんだから、罰を受けるべきなんだよ。だから正解だよ。」


私は至極当たり前の事を言った


「じゃあ、ゴールドゴーレムが悪いことをしたの?」


そこだ。そこを考えるとわからなくなる。ゴールドゴーレムは魔物だ。でも、悪いことなんてしてない。


「してない……」


「してるよ! マリサさんが農家さんの為に集めた肥料を食べた!」


ノリが答える


でも、私は疑問に思った


「私達だって、物を食べる。それって悪いことなの?」


そう。私達が物を食べるのは悪くなくて魔物が物を食べるのは悪いことというのは、それもまたおかしい。


「魔物は存在が悪なんだ!」


ノリはそう主張する。


「アズミは、どう思う?」


カエデが聞いてきた


「わからない。急にわからなくなってきた。私達が教えられてきたこと全てがわからない」


私は混乱していた。何が正しくて何が正しくないのか


「私は思うんだ。こういった事は人の数……うーん……生物の数だけ色んな考えがあるって」


「生物の数……すごいたくさん……」


「うん……だから、『これが合ってる』とか『これが間違ってる』とかはないんだと思う。ただ、『私はこう思う』『私はこうしたい』だけがある。そうじゃない?」


「たしかにそうだ!」


私は妙に納得した。


「俺とアズミとカエデだけでもこんなにも意見が違うんだね。俺もそれは納得したよ。」


「だからこそ、どっちも正解なんだよ。マリサさんが『ゴールドゴーレムを傷つけたくない』っていうのも正解だし、ノリの『仕事だから討伐する』ってのも正解。」


「なるほど……カエデって頭いいんだね」


「うーん。気にくわないけど納得したよ。でも、俺は結局マリサさんに従った」


「うん。きっとそれも正解なんだよ。Aランクに歯向かうなんて無謀だからね。自分の選択に自身を持つことが大切なんだと思う。でも、マリサさんを説得するという選択肢もあったと思う」


「カエデ……ますますわからなくなってきたよ」


「うん。それでいいんだよ。わからないからこそ悩む。それが、生きているっていう経験だから」


「「???」」


私とノリはカエデの最後に言った言葉の意味が理解できなかったが、何故かその言葉を聞くと胸のざわつきがおさまった。


そんな不思議な話をカエデから聞いて今日の1日は終わった。

えっとですね、今回の話は詳しく知りたい方は一元性を調べてみるとわかると思います。


この世界は善悪とか男女とか二元論で語られる事が多いんだけど、全ては一つだ。っていう哲学です。僕は好きです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ