野生動物と人間への警戒心
雨が降っていない限りは近所を散歩するようにしているのですが、一応国道沿いなのに人がほとんどいない。田舎の集落なんてそんなもんです。
人間以外で出会う生き物として、ハトやカラス、トンビやタカ以外に蛇はよく見かけます。散歩中にすれ違う人間よりも蛇の方が多かったなんてこともたまにあります。夏から秋ではスズメバチ、アシナガバチもよく見かけるので常に警戒が必要。そしてイノシシ。
イノシシは通年警戒が必要です。国道沿いなのに。道まで出てくることはめったにありませんが、道のわきの藪から鼻息や足音がよく聞こえてきます。他には蛇。 たぶん集落に住んでいる人間よりも集落を囲む山に住んでいるイノシシの方が多い。寒くなってくると餌を探して山を歩き回るのでそこかしこから気配を感じます。年に一度か二度、道路にまで出てくるのを見かけます。遭遇したらもちろん静かに引き返す。下手すると死ぬのでできる限り刺激しないよう、可能なら見つからないよう後ずさるしかありません。
イノシシはもともとこのあたりにいなかったのですが、20年ほど前から住み着いて今や山の支配者として君臨しています。
子どもの頃はたくさんの野犬がいて正直その辺を歩くことすらちょっと怖かったのですが、イノシシの増加とともに野良犬が減ったように思います。おそらく無関係ではないでしょう。保健所の施策で全国的に野良犬が減り始めていた時期ですがうちの近所で保健所の方が犬を捕獲していたような記憶もありません。犬が減ったからイノシシが増えたのか、イノシシが増えたから犬が減ったのか、相関関係をどう解釈すればよいのか判断する手掛かりはもう残っていません。
オオカミを家畜化して生まれた犬みたいな生き物はともかく、基本的に野生動物は人間の存在を警戒しているものです。人間が住んでいて、人間の作った不自然な構造物があればそれなりに警戒してくれます。ですが、人間が減っていくと徐々に警戒心も薄れていき、畑や民家の近くに姿を現すようになります。
全国各地でクマによる被害が増えている、というニュースを聞いたとき、この辺にクマなんていませんし最初は自分には無関係な話だなと思っていました。しかし、ここ数年イノシシの気配が濃くなっているのとクマの被害は本当に無関係だろうかと考えると、結構共通する部分が多い気がしてきました。
つまり、昔はうちのような山沿いの限界集落がイノシシやクマとの間の緩衝地帯として機能していたけれど、過疎化の進行で野生動物の人間に対する警戒心が薄れ、徐々に人里に侵入するようになってきたのではないかという考えです。もちろん餌となる木の実が不作で山から下りるしかないといった別の要因も絡んできているのは間違いないでしょう。
山から下りた方がいいという本能が警戒心という本能を上回る事例が過疎化で増えた。みたいな感じじゃあなかろうかと思っています。
野生動物による被害を憂う人はインターネットで勇ましい言葉を発信するだけでなく限界集落に移住して狩猟したり農業したりしてほしいと思います。




