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【イタ☆恋!】新・江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜☆現代コメディ・ファンタジー☆  作者: 綿野草空希
23 横恋慕は真剣に

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99/141

23.6 最初の日射病6

シャカァ・シャカァ・シャカァ・シャカァ・シャカァ……


 トレイを持ち、プロテインをハードシェイクする音に向かって歩き出す。


 「あっ……」

 席に向かう途中、少し離れた場所で女子数名と食事(丼物)をしている、青浜さんを見つけた。



 思わず立ち止まると、目が合ってしまった。


プイッ……

 青浜さんは興味無しといった感じで視線をそらした。


カツカツカツ

 そのまま、丼に顔を埋めるように、ご飯をかっ込む。


 「どうしたの?」

クイクイ

 立ち止まっていると、芹園さんが片手で僕のシャツを引っ張って、聞いてくる。


 「えっ!? ……あ、いや……雨が降ってきたんだなぁ、と思ってさ」

 青浜さんを見ていた、とは言えず、視線を窓に向けて、そう誤魔化す。


 外は早くも、本降りになっていた。


 「そうだね。……早く行こ?」

 芹園さんが上目遣いではなく、真っ直ぐに見つめて催促《さいそく》する。


 「あ、うん」

 (どうせなら、青浜さんと一緒に、ご飯を食べたいなぁ……)

 僕は後ろ髪を引かれる想いで、歩き出した……


シャカァ・シャカァ・シャカァ・シャカァ・シャカァ……


 「感謝で御座る」

 今日は空気椅子ではなく、着席してボトルを振る椎名君の隣に、一宮君が素早く座った。


 必然的に、僕と芹園さんが並んで座ることになる。


 昨日と同じ展開なので、諦めて、四人で食事を始めた。


 一宮君は、今日もカレーライスだ。


 椎名君は一気にプロテイン入りの豆乳を飲み干すと、自作のおにぎり(玄米に鮭)を取り出して、黙々と食べ始めた。


 皆、しばし食事に集中する。


 「――同志ジェラート由比里よ。今日は傘は持ってきたか?」

 最初に食事が終了した椎名君が聞いてくる。


 「……うん。折り畳みが鞄に入っているよ。椎名君は?」

 焼きうどんを食べつつ、答える。


 「それが持って来るのを、サッパリと忘れたのだ。で、同志ジェラートは、置き傘とかはないのか? あったら貸して欲しいのだが」


 「盗まれるから、置き傘はしてないんだ」

 てか、同志ジェラートってゆーな。


 「拙者も[さかき傘](折り畳み傘の名前)のみで、御座候ふ」

 カレー臭い一宮君が、先回りで答える。


 「ううむ……では、帰りにコンビニまでダッシュをするかな……」


 「男同士、相合傘で帰れば? 二人の家って、同じ方向でしょ?」

 学食焼きうどんの、得体のしれない具を摘《つか》みながら、提案する。


 すると、提案を聞いた二人は、顔を見合わせた。


 「………………………………プイ」

 「………………………………ぷい」

 二人が顔を赤らめて、そっぽを向く。


 なんだそりゃ? 突っこむの、めんどくさい。


 「……ねえねえ? どうして由比里君をジェラートって呼ぶの?」

 芹園さんが箸を止めて、誰とはなく聞く。


 中肉中背と低身長は、まだ顔を赤らめ、ソッポを向いていて、質問を聞いてない。


 なんなの? 君たち。


 「……えっとね……」

 仕方なく自分で、不本意な呼ばれ方の説明を考える。


 当然、「魔法少女のおっぱいにジェラートをかけたからさっ! テヘ☆」とは言えない。


 「……僕はナポリタンの次に、ジェラートが好物だった。からかな?」

 超適当(てけとー)に答える。


 別にジェラート、嫌いじゃないし。


 ちなみに、本当の二番目の好物は、から揚げ、焼き肉、天ぷら、牛丼、ステーキ、とんかつ、パスタ全般、マカロニグラタン、ピッツァ、ラザニア、ハンバーグ、ハンバーガー、それから……


 「へえぇぇ、そうなんだぁ。わたしもジェラート好きだよぉ」

 超適当(てけとー)な理由を聞いた芹園さんが、テンプレな女子の反応を見せた。


 「ねえねえ、七高通りに美味しいジェラートのお店があるの知って……」


ギギィィ・ガタンッ!

 その時、騒がしい学食内に一際大きく、椅子を引く音が耳に入った。


 音のした方を見ると、青浜さんが一人で立ち上がっている姿が、目に入った。


 青浜さんは、まだ座ってる友達に軽く手を振って、トレイを持ち、歩き出す。


 とたんに、芹園さんの話が耳に入らなくなる。


ジッ

 愛しい人の姿を、目で追ってしまう。


 青浜さんはパパッと食器を返却すると、さっさと廊下に出る。


ガタタ……

 僕は思わず、追いかけようと立ち上がる。


 「どこへ行くつもりだ? 同志よ。まだ食べ終わってないし、この後、保健室に行く約束だろう?」

 男同士の甘い空気から正気に戻ってきた椎名君が、冷静に指摘してくる。


 「えっ? ……あ……うん」

 (そう……だよね。保健室に行くのは任務だもん、キャンセルは出来ないよ……)


 それに、強引に後を追いかけても、昨日の二の舞になるだけだ。


 泣く泣く、座り直す。


 「保健室? ……由比里君、どこか具合でも悪いの?」

 芹園さんが心配そうに、か細い首を傾げた。


 「ジェラート殿は無理なダイエットのせいで、貧血気味だとか」

 こちらも正気に戻った一宮君が、口を開く。


 「昨日《さくじつ》、神城岬教諭に検診《けんしん》してもらったところ、しばらくは一日一度、保健室に顔を出すよう、仰《おお》せつかったので御座るよ」

 一宮君が、実に見事なフォローを入れた。


 でも、ジェラート殿ってゆーな。


 「なーに、べつだん具合は悪くない。もし何かあっても、芹園嬢の彼氏には、我々が常についているから、心配無用だっ。モスト・マスキュラー!!」

ニカッ!

 続いて、椎名君が前傾姿勢のポージングで、芹園さんに超胡散(うさん)臭い笑顔を向けた。


 正気に戻ったと思ったが、やはり中肉中背は、正気じゃなかった。


 「やだぁ、もぅ、えぇと……中名君たらぁ~。彼氏だなんてぇ~」

 とたんに芹園さんが顔を赤らめて、甘ったるい声を出す。


 「恥ずかしいぃ~。……まだ早いよぅ……ね?」

 そう呟きながら、僕に肩を寄せてくる。


にや……

ニヤ……

 その姿を見て、二人の友人は[してやったり]と、いやらしく微笑んだ……





 って、いやいや、微笑んでないで[中名君]に突っ込みなよ? 


 てか、芹園さん、本気で椎名君の名前を覚えてないの? 


 おっかない人だなぁ……

第23章「横恋慕は真剣に」終了


第24章は「DT命令発動!!」(3話)になります


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