21.3 DIRTY OLD BOY3
月、火、木、金、土の週5日、18時10分頃に、最新話を更新しますっ!
「そうだ。そしてそれは、そのまま能力低下になる。【量産化=能力低下】これが私の、現状の推測だ」
「そうですか……旧来の手法でも、強い怪人になる適合者が少ないのが、悩みの種でしたが……強い怪人を作ろうとすればするほど、成り手がいなくなる現象はここでも起きますか……」
「いつもの難題、少数精鋭か、それとも粗製濫造で数を揃えるのか……だな」
Dr.ヘッドランドは、手で玩んでいた煙草の箱を、ポケットに仕舞った。
「歴代総統以上の能力を有した戦闘員を数百人揃える……なんて途方もない夢を私は目指してしまったが、現実はそう甘くはなかったよ」
「儘なりませんね……」
将軍はしみじみと頷く。
「まったくだ……ふっ、こんなことがあると、あの出鱈目な強さのピュア・シャイニングを作った、湘南防衛機構サンシャインの天才科学者をスカウトしたい気分になるな。まぁ、どんなヤツかは知らんのだが」
Dr.が自嘲気味に笑う。
「まあ、次は能力を欲張りすぎずに上手く中間を取って、なんとか、それなりの量産性と能力を維持したモノを作ってみせるさ。それでも成功すれば、相当な戦力アップにつながるからな」
(うーーーん、僕ってそんなに特殊体質者だったのかぁ。……なんでだろ?)
もぐもぐとおにぎりを咀嚼しながら、立ち話し中の二人を見て考える。
(実はナポリタン好きに秘密があったりねっ、部隊内通信で総統閣下が、前総統はナポリタン好きだってポロッと洩らしていたし……)
そんな馬鹿なことを、考えてしまう。
(でも、僕ってずいぶんと高評価なんだなぁ。……あんな負け方をしたから、駄目怪人の烙印を押されるかと思ってたよ……)
正直いうと、カラー1将軍がここにやって来た目的は、僕を叱責するためなのじゃないか? と思っていたので、安心する。
(……でも、僕が提案した目つぶし作戦で無様に負けたんだし、やっぱり一応、謝っておいた方が良いよね……)
そう考えていると、粗方話し終えた二人と、丁度、目が合った。
「……あのぅ……」
おにぎりを置いて、そっと立ち上がる。
「今日はあんな変な負け方をして、済みませんでした……」
深々と、二人に頭を下げる。
「んっ? 変な負け方?」
カラー1将軍が聞き返してくる。
「あの……触伸臂を胸に挟んだ挙句、ジェラートを撒き散らせて怒らせて……そのぅ……それでボコられて……」
後悔はしていないが、さすがに改めて説明するのは恥ずかしく、頭を下げたまま言葉につまる。
「……プッ! ハッハッハッハッハッハッ! アレかっ!? CPACを小娘の胸に挟んだヤツかっ!? ハッハッハッハッハッハッーーーー!!」
突然、カラー1将軍が笑い出したので、顔を上げる。
「ハッハッハッハッハッハッ! 小娘のあの無様な姿といったらっ! ハッハッハッハッハッハッ! アレは傑作だったなっ! 貴様のお陰で、胸の痞えが取れたぞっ! ハッハッハッハッハッハッーーーー!」
将軍が心の底から楽しそうに、豪快に笑う。
「くっ! くくくくくくくっ! アレは本当に馬鹿馬鹿しくて笑えたなっ。今後10年は、江の島アホ伝説として語り継がれるぞっ! くくっ! あははははっ! しかしヤツらはガキだからなっ、意外にアレがトラウマになって、再起不能になるかもなっ! くくくくくくくっ!」
Dr.ヘッドランドも馬鹿笑いをする。
「ハッハッハッ! 貴様の触手はCPPCに改名した方がいいぞっ!」
カラー1将軍は悪乗りして、そんなことまで言い出す。
(うぅ、改名って、元々そんな名前じゃないのに……)
でも、今回ばかりは的を得ているので、反論出来ない。
「あぁ可笑しい……ふうぅ~……」
カラー1将軍がアイマスクの下に指を差しこんで、涙を拭く。
「貴様は別に謝る必要はない。戦闘中は思いも寄らないアクシデントが起きるものだ。最終的には敗北はしたが、それまでは中々良い戦いぶりだったぞっ」
ぽんっ!
カラー1将軍が、僕の肩を叩いた。
「貴様は強い。歴代の怪人の中でもトップクラスの強さだ。だから自信を持て。総統閣下も貴様の働きには、満足なさっていた」
「ああっ、さすがは天才の私が開発した怪人だなっ」
Dr.が余計な一言を添えて、親指を立てた。
「そっ、そうですかっ、ありがとうございます。それであのぅ~、総統閣下も……最後のアレは、怒ってませんでしたか?」
自画自賛のマッドサイエンティストはスルーして、大事なことを将軍に質問する。
総統閣下を本気で怒らせたら、それこそ怪人などは続けられないだろう。
「総統閣下は、性的なことには疎いから、心配するな。単に、ご自身が安易に目潰し作戦を許可したつめの甘さを、悔やまれていただけだ」
「そうっ、そうですかっ、安心しましたっ。あ、……それであの、僕が敗退した後ってどうなったのですか?」
総員の撤退は、上手くいったのだろうか?
「ほぼBIPの勝利だな。ピュア・シャイニングはお前との戦闘で、かなり疲弊していたからな。あの後、戦意をなくして、戦わずに撤退していったよ」
珍しくDr.が、まともな答え返してくれた。
「ナポリタン個人は敗北だが、BIP全体としては、勝ちに等しいだろう。まあ、逃げの一手だったせいで、追撃が上手く決まらずに、仕留められなかったのは残念だがな」
カラー1将軍も、しっかりと答えてくれた。
「向こうはまだ、ナポリタンの治癒能力には気がついていないからな、おそらく、新怪人を再起不能にしたと思って、無理せず撤退したのだろうな」
Dr.ヘッドランドが、そう補足した。
「逃げる小娘を、私とイソガニン、ムツゴロンの三人を中核にして、江ノ島弁天橋を渡って国道134号線まで追って行ったからな、間違いなく小娘らの敗走と言ってもよい。まぁ世間的には、こちらが優勢の引き分けと評価されるだろうがな」
カラー1将軍が、ボンデージに包まれた豊満な胸を張る。
ちょっと目が、釘づけになる。
「くくくっ、しかし奴等、紺瑠璃のチェーンに、最後まで手を焼いていたなっ。アレも中々見ものだったよ。将軍はこれから、得物をチェーンに変更したらどうだ? くくくくくっ……」
Dr.ヘッドランドが、変な方向に覚醒した将軍をからかう。
「もうあんな恥ずかしい真似はしませんっ。全く、貴女はいつもそうですねっ。子供の頃からそうやって、年上の私をからかって……」
カラー1将軍が素の表情で、Dr.に文句を言う。
「あー、子供の頃かぁー。昔は優しくて美人な、親戚のお姉ちゃんだったよなぁ……。なのに今はこんなに、恐ろしいオバさんになってしまったか。まぁ、昔も今も、からかい甲斐があるのは、変わらないがね」
「オバっ!? そっ、そこまで言われるほどの年齢ではありませんっ! だいたい、貴女だって、もう若くは……」
二人が僕そっちのけで、姦しく言い合い、盛り上がる……
第21章「戦闘後と破廉恥ボーナス」
終了まで、あと1話
【予告】
ただのモブキャラで終わるはずのない、あの二人組が、新展開を巻き起こしますっ。
乞うご期待!




