20.4 よろしくジャンヌ・ダルク16 第一部完
サラサラサラ……
「はうんんっっ!?!?」
その時、紺瑠璃のそよ風を感じながら、僕の頭の中に、閃光のように素晴らしい一首が浮かんだ。
あしひきの 天つ乙女の 山四つ らっきいすけべ 我が身ぞ受けそ
【現代語訳】
あぁ、おっぱいは素晴らしい。
ピンクの豊乳も、ブルーの張りのある美乳も、最高でした。ごちそうさま。
さあ、殺せ。
サラサラサラ……
ポポン……
チーーン……
絶妙なタイミングで、ピュア・シャイニング親衛隊の小鼓とトライアングルの音が鳴った。
バシッ!
白濁に汚れたピンクが、胸に挟まり脈動する無限大蛇を無言で掴んだ。
ガシッ!
白濁に汚されたブルーも無言で、ぶっとい無限大蛇を握る。
「こおおおぉぉぉののぉぉぉーーーー変態イタリア人っ!!」
グッギュンンン!!
ブルーが叫んで、引き千切らんばかりに、引っ張る。
「破廉恥犯罪者ぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!」
ブンッギュアンッ!!
ピンクも力一杯、無限大蛇を引く。
「がふっ!?」
ドギュンーーーー!!
強烈な加速Gに、一瞬、ホワイトアウトしかかる。
ぶちゅんっ!
ブルーが勢い余って、無限大蛇を握り潰した。
「死ねえぇぇえぇ!!」
ブオンッ!!
強制的に引き寄せられた僕に対して、ブルーは容赦なく、強烈なボディブローを放つ。
ドゴズン!
1Hit!
「ぐうえええぇぇぇ!?!?」
ブルーの拳が腹部にめり込む。
「最低ですっ!!」
ズドンッ!
ボディブローで九の字に折れ曲がった僕の背中に、ピンクが体重の乗ったエルボーを落とした。
メシャ
2Hit!
「あがぁ!?」
背中の何かが折れた。
「エロイタリア猿っ!!」
ズババンッ!!
背中の痛みで顔が上がった僕に、ブルーが電光アッパーを打ち上げる。
ガキンンッ!!
3Hit!
「べふっ!?」
顎が折れ、意識が飛ぶ。
ブオッ
「変態殺っ!!」
アッパーで宙に浮いた僕を、ピンクが背後でジャンプして、首に手を巻きつける。
ギリリリリリッ!!
4Hit!
「!?!?!?!?」
空中でピンクが、チョークスイーパーで僕の殺害を図る。
(せっ、背中に、おっぱいが……)
薄れる意識の中、背中の感触に集中する……が、途中でピンクが、僕をポイっと捨てた。
「シラスのエサとなれぇぇ!!」
ドビュン!
空中に捨てられた僕に、ブルーが飛び膝蹴りを放つ。
ズドンッ!
5Hit!
「助平っ!!」
バギンッ!
6Hit!
「おモンキーっ!!」
ドシャ!
7Hit!
「エロス殺っ!!」
グヂャン!
8Hit!
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
9Hit! 10Hit! 11Hit! 12Hit! 13Hit!
スーツは機能していないので、全ての攻撃が体にダメージを与えていく。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
14Hit! 15Hit! 16Hit! 17Hit! 18Hit!
あらゆる骨が折れ、治癒がまったく追いつかない。
「「シャイニーーング・アターークッ!」」
ドバババッ、ググサッ! ギリリリ! ちゅどーーーーんっ!
38Hit! 39Hit! 40Hit! Excellent!!
休み明けの平日月曜日の夜、サムエル・コッキング苑前の大亀ヶ岡広場に、二人の魔法少女の叫びが重なり響く。
二人の魔法少女の拳や足には、金色の龍がまとわりつき、無駄に輝いている。
シャイニング・アタックという名の連携技……
シャイニング・ピンクとシャイニング・ブルーの二人がかりでパンチ、キック、エルボー、アッパー、チョークスイーパーからの飛び蹴りという、魔法を一切使わない、一見するとただの暴力、二度見してもやっぱりただの暴力が、無慈悲に僕の体に決まっていく。
ずどーーーーーーーーーーんんんっ!!!
残酷な連携技でフルボッコにされた僕は、輝くシーキャンドルよりも高く、はるか上空まで放物線を描いて吹き飛ばされる……
その際、展望台の観光客と一瞬目が合った。
なんか、スマホで写真まで撮られた。
(あ……負けた時の、怪人の捨て台詞を吐かなきゃ……)
こんな時でも、社畜の鏡のような僕だった。
「Ho paura del ginecologoォぉーーーー…………(訳 産婦人科医が怖い)」
キラン☆
この前、フィリポさんのお店で偶然耳にして覚えた、意味の知らないイタリア語を魔法少女への捨て台詞にして、僕はキラリと、湘南の夜空の星になる。
「うわっ、魔法少女を白濁まみれにしてその台詞かよっ! とんだエロガキだなっ!」
「救護班っ、ナポリタンの予測落下地点へ急いでっ!」
通信では、対照的な二人の声が聞こえた。
眼下の大亀ヶ岡広場で、カラー1将軍が紺瑠璃のチェーンを拾い直して、振り回す様子がチラリと見えた。
サムエル・コッキング苑内の美しい植物、シーキャンドルと、その隣のフレンチトースト専門店のテラス席が、はるか彼方に遠ざかり、江ノ島の瓢箪みたいなシルエットの全景が、眼下に収まる。
上昇スピードが徐々に緩み、やがて0になると一瞬、無重力状態で夜空に浮かんだようになる。
戦闘後の火照った体に夜風が当たり、気持ち良い。
が、すぐに体は下降を始め、暗い相模湾に向かって、パラシュートなしの自由落下で、グングンと速度を上げていく。
「……まぁ、結構、健闘したよね? ……さすがに今日は疲れたし、こんなもんでOKでしょう。早く帰って、ゆっくりしたいよ……」
今日はあまりにも長い、怒涛の一日だった。
それになにより……
「あしひきの 天つ乙女の 山四つ らっきいすけべ 我が身ぞ受けそ」
【現代語訳】
あぁ、おっぱいは最高。満足です。
ボチャャャーーーーン!! ……………………
僕は、そんな呟きと、一首を夜空に残して、仄暗い稚児が淵沖の海に着水し、しめやかに海の底へと沈んでいった……
【新江の島縁起、第一部 完結】
第20章 「よろしくジャンヌ・ダルク」終了
& 第1部完結
読書、お疲れ様でしたっ。
やっと、プロローグのシーンにまで、たどり着きましたっ!
ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。
第1部はこれで終了となり、次からは第2部がスタートします。
第2部では、夏音視点の【湘南防衛機構サンシャイン】での日常が、そこそこ入ってきます。
是陽視点とは、まただいぶ違う味わいがあるので、ご期待下さいっ!
では、今後とも、よろしくお願いいたします。




