19.2 よろしくジャンヌ・ダルク11 ~Another side~
Another side 中央作戦司令室
ブンッ! ブンッ! ブンッ! ブンッ! ブンッ! ブンッ!
「わははははははははっ!! 小娘どもはいねぇがぁぁぁぁーーー!!」
「大矢数っ!!」
ピュンッ ピュンッ ピュンッ ピュンッ ピュンッ ピュンッ
ドドドドドドンッ!!
「六弾斉射ーーーー!!」
ドシュンッ
「なで肩キックっ!!」
中央作戦司令室のモニターには、ピュア・シャイニングと戦うカラー1将軍と、怪人ナポリタンの姿が映し出されていた。
怪人ナポリタンの、スーツの機能不全による戦力ダウンの分を、カラー1将軍の妙な覚醒による戦力アップが補った結果、両勢力の戦力は拮抗し、泥臭い消耗戦の様相を見せている。
「Dr.ヘッドランド、ナポリタンをいじめるのはその辺にして、もうガイダンスを切ってあげてください」
総統閣下が、Dr.ヘッドランドを睨んで言う。
「わかった、わかった」
Dr.ヘッドランドは苦笑いをし、近くのコンソールを叩いて、ガイダンスをあっさりと止めた。
「それで、どうする? ナポリタンの戦力ダウンが痛いからな。タイムでもかけて、新しいスーツにでも着替えさせるか?」
Dr.ヘッドランドが、冗談半分に総統に聞く。
いや、戦闘和歌《歌合せ》の前にブルーが[タイム]を取ったことを考えれば、Dr.ヘッドランドの言葉は、強ち冗談とは言えないかもしれない。
「それは……」
総統は言葉につまる。
「ま、可能かもしれないが、[撤退した]と誤解されそうだな。お気楽ブルー辺りが、高々と勝利宣言をするな、きっと」
Dr.ヘッドランドが、総統の言葉を先取りするかのように、自身の問いに回答した。
総統は頷き、同意する。
「もう一歩なんです。あと一つ、決定打があれば、勝てるのに……」
総統は、先ほどから何度もくり返している言葉を、また口にした。
ここまで善戦したのだ。
どうしても勝ちたい……いや、どうしても勝たせてやりたいと思うのは、指揮官として、当然だろう。
「あと一手……なにかあと一手あれば……」
呟きながら、考える。
「植え込みに潜んでる伏兵のイソガニンとムツゴロンを、戦闘に参加させるのはどうだ? これなら4対2で、たぶん勝てる」
Dr.ヘッドランドが提案する。
「そう……ですね……それが一番、勝利の可能性が高い。……でも、万が一が起きた時、撤退の殿がいなくなってしまう……」
総統が決断を渋る。
万が一、4対2でも敗北し、怪人たちが追撃を受けながら岩屋出撃口まで退いた場合、最悪、ピュア・シャイニングのアジト侵入を許してしまうかもしれない。
それだけは、どうしても避けたかった。
たーーんっ
「弁天様よ、殿くれぇなら、俺が出てやっても良いぜぇ?」
スギヤマン将軍が、灰皿を煙管で叩いて灰を落とし、切り出した。
「ご老体、それはいくらなんでも、無茶がすぎるんじゃないのか? 自分の年を考えた方が良いと思うぞ」
なんとも無礼な物言いだが、その奥には老将軍を心配する、真摯な気持ちが見て取れた。
総統は、二人のやり取りを見つめながら、押し黙る……
ポンッ
「お嬢様、葉山で御座います。勝手にお話に割り込む無礼、どうかお許し下さい」
唐突に、壮年男性の落ち着いた声が、部隊内通信で割り込んだ。
現在、治療室にいる親衛隊員の一人、親衛隊隊長の葉山からの部隊内通信だった。
「構いません、発言を許可します。ただし、今は総統と呼んでください」
一言、注意しながらも、受け入れる。
「失礼しました、総統閣下。殿なら、我々が行います。どうか我々親衛隊四名に、再出撃の許可を」
葉山は強い意志を滲ませながら、懇願した。
やはり、格闘のプロが、格闘素人のピュア・シャイニングにあっさりと負けたのが、悔しかったのだろう。
総統は直ぐに、親衛隊員四名のバイタルデータが表示されているモニターに、目を走らせる。
確認した総統は、静かに首を振った。
「……却下します。皆さんはそのまま、安静にしていてください。これは命令です」
丁寧だが、ハッキリとした口調で命令した。
「……はっ。承知致しました。出すぎた真似をし、申し訳ございませんでした」
葉山は、素直に承服し、部隊内通信を終えようとする……
「それならっ! 拙者共っアルバイト戦闘員二名が殿――」
「同志よりっ、我らの方が役に立つことを証明してみせ――」
ブツンッ……
最後に、葉山の後ろで、何者かが叫ぶのが微かに聞こえたが、途中で途切れた。
多くの負傷戦闘員を受け入れた治療室内は、混乱を極めているようだ。
「へへっ、じゃあやっぱし、俺が行くしかねぇなっ。弁天様よ、それでいいな?」
ソフトマスクを首まで下ろしつつ、スギヤマン将軍が確認する。
総統が一瞬、逡巡した後、決意を固めて、頷いた。
「そら、よっこらせっ、とっくらぁ」
スギヤマン将軍が、のたりと立ち上がる。
「んじゃ、ちょくら行ってくらぁ」
カラン コロン カラン コロン
老将軍は、まるで近所の湯屋にでも向かうかの如く、着物に懐手をして、歩き出した。
カチッ
総統は別働隊との回線を開く。
「イソガニンさん、ムツゴロン。今からスギヤマン将軍がそちらに向かいます。到着しだい、スギヤマン将軍に殿を任せて、お二人は戦闘に参加してくだ……」
ポンッ
「総統閣下、もう一手ありますっ。かなり姑息な搦め手ですが、一つ、アイディアが浮かびましたっ……」
その時、怪人ナポリタンが通信で呼びかけてきた……
第19章 「カラー1将軍の覚醒?」
終了まで、あと1話




