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新江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜【第2部スタート】  作者: 綿野草空希
18 古の大魔法 戦闘和歌(歌合せ)

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18.3 よろしくジャンヌ・ダルク6

 「もっとだっ!! もっと強力な魔法を使えっ! 次で仕留めるぞっ!!」


ぐっ 

 「良候ふ(ようそろう)っ!!」

 ピンクは口元を引き締め、力強く応えた。


 「すうぅうぅ~、はぁ~~……」

 ピンクは深呼吸をして、目を閉じた。


 (ふんっ、いくらやろうが無駄だよ。何度だって妨害してやる)      

シルシルシルシル……

 健気な二人を軽く鼻で笑い、触伸臂しょくしんぴを戻しにかかる。


 「へへっ」

ガシッ

 何とブルーが、軽く笑いながら、戻り始めの触伸臂しょくしんぴを掴んだ。


タンッ

 そして掴んだまま、こちらに向かって跳躍する。


           あしひきのーーーー……


 「えっ!? えっ!? えっ!?」

ギュンシルルルルルルーーーーー!!

 ブルーの予想外の行動に戸惑い、一瞬、頭が真っ白になる。


シュルルルルルルルンンンンンーーーー!!

 ブルー自身の速度と、触伸臂しょくしんぴが戻る速度が合わさり、強烈な速度で接近してくる。


 「へへっ!! ツカマーーエタ、セニョール! って感じかなっ?」

 触伸臂を掴んだブルーが、僕の片言を小馬鹿にするように言った。


           江の山二つーーーー…… 


 (それはスペイン語だっ。……って、ちがうっ!? これはヤバいっ!?)

ビダッ!!

 慌てて、触伸臂しょくしんぴを止めた。


ガクンッ

 ブルーは掴んでいた触伸臂しょくしんぴが急停止したため、つんのめるように、前傾になる……が


クルン

 ブルーは急停止した反動を利用して、まるで平行棒のように掴んだ触伸臂しょくしんぴの上で逆立ちした。


           ひきあいてーーーー……


バンッ!

 さらに勢いを殺さずに、弾くように手を離して、空中にその身を投げ出す。


ビュン! クルッ! クルッ! クルッ!

 江の島の夜空に跳び上がったブルーは、いわゆる月面宙返り(ムーンサルト)のように、綺麗に回転する。


 「なあぁあぁあぁっ!?」

 僕は驚きのあまり、あんぐりと口を開けて、華麗に夜空を舞うブルーを見上げた。


           打ちて別るるーーーー……


シュルルルーーー……

 ブルーは低い放物線を描きながら、高速度で飛んでくる。


クルン……ビタッ!

 降下が始まると、片足を自身の頭の位置まで上げた。


 汗で光る太ももが眩しい。


ギュビュン!!

 上空から、高速でブルーの片足が落下して来る。


           沖のたつ風ーーーー……


 (なっ!? これは踵落としかっ!?)

 圧倒的な勢いで落下するブーツの意味を理解し、戦慄した。


 (ひいぃいぃいっ!?)

バババッ!

 心の中で悲鳴を上げて、本能的に、頭の上で腕をクロスさせる。


 触伸臂しょくしんぴは遥か前方で止まっている。


 「死ねぇぇぇぇっ!!」

 ブルーが容赦なく、踵を振り下ろした。


ギュンンンンンンンッッッーーーー……ドガガンッ!!

 鈍い音を立てて、スーツの腕の部分が硬化し、ブルーの踵を受け止めた。


しんっ……

 一瞬、僕とブルーは、まるで時が止まったかのように、そのまま体勢で固まる……


ミ……ミミシ……ミ………バリンッ!!

 ガラスが割れるような音を立てて、硬化した部分が破壊された。


バギミギキンッ!!

 「あがあぁあぁあぁあぁぁぁぁーーーー!?!?」

 不快な音を立てて、両腕の骨がひしゃげて砕けた。


 「あしひきのーーーー……」


 「……ピンクの魔法を使うまでもないぜ。これでお寝んねしな、イタリア人」

 グッ!

 ブルーは格好良くそう言って、最後にもう一度、足に力を入れた。


メシャァ……

 ブルーの凶悪な純白のブーツが、僕の視界を覆った。


 「ああぁあぁあぁぁっ、あっ! ……………」

ドスンッ!

 全てのガードを粉砕したブルーの踵が、とうとう、僕の脳天に突き刺さった。


 「……ぁ……ぁ……」

くらぁあぁぁぁ……

 意識が飛び、立ち眩みのように、体がふらつく。


 「江の山二つーーーー……」


 「とうっ」

ピョン……スタンッ

 ブルーが頭を踏み台にして、軽くジャンプし、僕を飛び越える。


 「………あっ……くぅ……」

シュン……

 瞬時に、両腕と頭が治癒され、意識が戻る。


 (ブルーが後ろにいるっ!!)

 今、僕は無防備に、ブルーに背中を見せてしまっている。 


シルシルシルシル……

ガバッ

 放置していた触伸臂しょくしんぴを慌てて戻しつつ、振り向く。


 一瞬、ここは「俺を踏み台にした!?」という名台詞を吐くべきか、悩んだのは内緒だ。


 「ひきあいてーーーー……」


 「いやいや、お前、丈夫すぎるだろ? どうなってるんだ?」

 振り向くと、ブルーがウンザリといった様子で首を振った。


 「………………」

 「………………」

 一瞬、無言で、呆れ顔のブルーと見つめ合う……


 「六弾(Six-rouund)斉っ」

 「おらぁあぁっ!!」

 二人同時に叫ぶ。


ビュン!!

ドドンッ……


 一瞬、早かったのは、ブルーの回し蹴りの方だった。

 強烈な回し蹴りが、僕の腹部にヒットする。


ドガンッ!

 「ぐっ……」

 腹部のスーツが硬化して身を守ってくれる……が


バリンッ!!

 またガラスが割れるような音を立てて、硬化した部分が割れてしまった。


ドスンッ!

 「がはっ!?!?」

 蹴りの衝撃が生身にまで伝わり、腹筋の下の胃を押し上げた。


ドヒューーーーン 

 「うげぇえぇえぇぇえぇーーーー……」

 強烈な吐き気を感じながら、蹴り飛ばされる。


 「打ちて別るるーーーー……」


ドンッ バンッ ゴロッズザザザザ……シュン……

 地面をバウンドして、転がる……そのそばから傷が治癒される。


ビービービービー……

 [機能22%]

 警告音と共に、無情な数字がアイモニターに表示された。


 「沖のたつ風ーーーー……」

 近くから、ピンクの歌声が、ハッキリと聞こえた。

 

 「はっ!?」

パッ

 地面に這いつくばったまま顔を上げると、わずか数メートル先にピンクと、その頭上に輝く魔方陣が見えた。


すすす……すす……

 ピンクがステッキを振って、空中に見えない文字を描くと、魔方陣は輝きを増し、完成した。


 魔方陣には


 あしひきの 江の山二つ ひきあいて 打ちて別るる 沖のたつ風


 と、刻まれていた。


 (?? コレ……近いから気づくのが遅れたけど、大魔方陣じゃないぞ……)

 僕は上半身を持ち上げながら思った。


 ピンクの頭上にある魔法陣は、人の背丈ほどの大きさだった。


 (なんだ、ピンクが気合の入った返事したから心配したけど、中規模魔法じゃないか……)

 一回目の大魔方陣の半分の大きさだ。


 (どんな必殺の魔法を用意してるかと不安だったけど、こんなもんか……)

 少しホッとしながら足に力を入れる。


ぐぬうぅぅううぅ……

 緑色に輝く大龍が、中魔方陣から顔を出した。


 ギョロリ

 緑色に輝く大龍と目が合う。


 「うっ!?」

 間近で見ると、中規模の龍でも大迫力だ。

 思わず、たじろぐ。


ビシシィィ

 「打別二山だべつにざんっ、足引沖風そくいんじゅうぜ!!」

 僕が立ち上がったのと同時に、ピンクがステッキを振り下ろした。

第18章 「古の大魔法 戦闘和歌(歌合せ)」

 終了まで、あと3話


✾戦闘和歌ではありませんが、この作品に関連した和歌集を出してます。


 十一首ですので、パッと読めます。

 未読の方は是非、ご笑覧ください。


✾鎌倉〜あじさいのうた〜

https://ncode.syosetu.com/n5799mk/

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