18.2 よろしくジャンヌ・ダルク5
ボンッ! ボンッ! ボンッ! ボンッ! ……
「どんだけタフなんだっ!? いい加減に倒れろっ!!」
ブルーが光のボールを矢継ぎ早に蹴りながら、イラだったように叫んだ。
水走る~~~~……
ビュン! ビュン! ビュン! ビュン!
ダダダッ! ピョン タタタンッ
「しっ、Signorina(お嬢さん)、たっ、倒レーータラ、目覚メノ、チュウをシテクレマーースカァ?」
軽口を叩きながら、高速で飛来する無数の光のボールを、必死に避ける。
ボンッ! ボンッ! ボンッ! ボンッ! ……
「お断りだっ、阿呆っ!! 地面にキスしてろっ」
ビシシィィ
なおもボールを蹴り出しながら、ブルーがBadと親指を下にして、サムズダウンした。
ビュン! ビュン! ビュン! ビュン!
ダダダッ! ピョン タタタンッ
「Ho! つ、ツレナーーイ、Signorina(お嬢さん)デーース」
寸前でヒラリとボールを躱しながら、軽口の応酬に応えた。
(それにしても、こんな時でも外人キャラを守る僕って偉いよね)
まあ、単なる社畜(社は秘密結社の社ね)とも言えなくないが。
垂水の落つる~~~~……
(そんなことより、またピンクが歌い始めたぞ……これは……一回目と三回目と同じか?)
このフレーズは覚えている。
[走垂龍激]と呼んでいる魔法だ。
チラリ
ピンクの頭上にある魔方陣を見る。
(……また、小さくなった……)
ビュン! ビュン! ビュン! ビュン!
ダダダッ! ピョン タタタンッ
龍口の~~~~……
対応するために、激しい攻撃を躱しながら、必死に思考を巡らせる。
今まで、攻撃魔法を三回受けた。
一回目は、強烈だったが、なぜか二回目はと三回目は威力が弱く、何とか躱すことが出来た。
(魔方陣の大きさや、威力がバラバラなのは、何でなんだ?)
簡単に大きさを表現すれば、最初の[走垂龍激]が大魔法陣で、二回目の別のヤツが小魔法陣、そして三回目の魔法となった二度目の[走垂龍激]が中魔法陣だった。
もちろん威力も、魔方陣の大きさに比例して、大、小、中と変わった。
そして今、ピンクは一回目と三回目と同じ[走垂龍激]を歌い出したのに、魔方陣がさらに小さくなったのだ。
これなら今回は小魔法になるだろう。
(疲労から徐々に弱くなった……訳では、ないよね……)
それだと、前回が中魔法になった理由の説明がつかない。
(同じ魔法は、使えば使うほど、威力が弱まっていくのか?)
そう仮定すれば一番、説明がつきそうだ。
はげしき飛沫~~~~……
ビュン! ビュン! ビュン! ビュン!
ダダダッ! ピョン タタタンッ
「外人は体力があるなっ! ホントっメンドイっ!!」
ウンザリした様子でブルーが叫ぶ。
やはり、再生するのは触手だけだと思っているようだ。
(おそらく、一度目の魔法&ブルーの跳び蹴りで僕を満身創痍にして、二回目の弱い攻撃魔法で、トドメを刺すのが、当初の作戦だったのだろう)
実際、二回目の魔法攻撃を何とか回避して見せた時、ピンクとブルーは心底驚いている様子だった。
それでも二人は気を取り直し、ピンクは三回目の魔法の準備を始め、ブルーは僕の接近を牽制するために、光のボールを乱射し始めた。
そして、三度目の魔法が放たれた時、ブルーも光のボールを乱射を止めなかったので、両方を避けることは出来なかった。
結局、僕は咄嗟に、魔法を避けて光のボールに当たる選択をした。
彼が袖濡らす~~~~……
ビュン! ビュン! ビュン! ビュン!
ダダダッ! ピョン タタタンッ
[機能32%]
アイモニターには、現在のスーツの機能が表示されている。
(このままでは、ジリ貧だっ)
改めて表示を確認し、焦りを感じる。
このままピンクの魔法攻撃を許すと、また、ブルーの光のボールに当たる選択をしなければならなくなるだろう。
(だったらっ)
ダダダダダダダッ
覚悟を決め、ボールを避けつつ、ピンクに向かって走り出す。
ビュン! ビュン! チュィィン! チュィィン!
(うおぉおぉおぉっ、おっかないっ!)
ギリギリで避けて、体をかすめる[死の羽音]を聴きながら走る。
「六弾斉射ーーーー!!」
ズドドドドンンンッ!!
ボールが飛び交う中、何とか十数メートルまで近づき、無限触感アルデンテン……じゃなくて、触伸臂を放つ。
「チッ! ピンクっ!」
「うんっ!」
タタンッ!
ブルーに呼びかけられたピンクは詠じるのを止め、アルデン……触伸臂を回避した。
ふわっ……
最初の四分の一程度の魔方陣は、霧散した。
(遠かったから簡単に避けられたけど、何とか歌は妨害出来たっ)
上出来だ。
ダダダダダダダッ
(よしっ! このまま近づいてやるっ!!)
シルシルシルシル……
無限触感アルデンテンを戻しながら、なおも走る。
じゃない、触伸臂を戻しながら、なおも走る。
無限触……触伸臂の特性を考えれば、3、4メートル辺りが、一番有利な距離だと思われるからだ。
「させるかよっ」
ドシュンンンンッーーー……
ブルーがボールを蹴るのを放棄し、突っ込んできた。
ブルーは、触伸臂の戻るスピードより若干早い。
「チッ!」
(コレは拙ったっ! 不用意だったっ!)
ブルーの決断の早さに、してやられた。
ダダンッ!!
触伸臂が戻り切る前に、ブルーが目前まで到達した。
ドバババババババババババッ
「おららららららららららららぁぁぁぁああぁっ!!」
問答無用で、ブルーが高速の連打を放つ。
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ
ブルーの連打に襲われる。
(これ以上、スーツが壊れたらヤバいっ!!)
この際、防御力の低下はいいとして、パワーアシストの機能がイッたら、スピードもパワーも今の半分になり、ただの運動神経の良い人間になってしまう。
ガバッ!!
腕のガードを上げる。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ
ドシュン! ドカンッ! ガギンッ! バギンンッ! ゴシャァ!
腕のガードを抜けて、ブルーのパンチがヒットする。
スーツが硬化して身を守ってくれるが、今はそのスーツの方が心配なのだ。
シュルルルン!
少し遅れて戻った触伸臂を、全て防御のために前面に出す。
まるで八本腕でガードしているようだ。
「らああぁあぁあぁっ!!」
ドバッド! シュン! ガシンッ!ビュンビュン! ダバンッ!
ブルーがキックも織り交ぜながら、ラッシュを続ける。
水走る~~~~……
ピンクがまた、詠じ始めた。
ビシッ! ビチンッ! ガスッ! ガガスッ!
ほぼ全ての攻撃をガードで弾く。
(痛ってぇ……でも、もうすぐ疲れて止まるっ! 今は耐える時だっ!)
触伸臂にも痛覚があるので、かなり痛い。
それでも防御に徹して、ブルーが疲れるのを待つ。
垂水の落つる~~~~……
ガシッ ドスンッ ドンッ……
(勢いが、弱まってきたっ!)
すすす……
立ち位置を慎重に計りながら、微妙に横移動する。
すすす……す
(ここだっ!)
ダンッ!
地面を蹴り、後方に跳ぶ。
「無限触感アルデっ……六弾斉射ーーーー!!」
ドバシュユュュンンーーー!!
ブルーの攻撃が僅かに届かない位置で、ガードに使っていた触伸臂を伸ばす。
その方向は、ブルーとピンクが、触伸臂の射線上に重なる位置だった。
(さあっ、避ければピンクに当たるよっ! どうするっ? ブルーっ!)
いわゆる、王手飛車取りってやつだ。
「ちっ」
この意味を理解したブルーが、舌打ちし、腕と片足を上げて、ガードの姿勢を取った。
ドドドドドンッ
「ぐはっ!!」
無限触感アルデンテンがブルーにヒットする。
じゃない、無限変態エロチ……でもない、C.P.A.C.がヒットした。
あれ?
ズザザザザ……
ブルーがガードの体勢のまま、後方に押し飛ばされる。
(コレは……浅い……)
ブルーの体勢に乱れや、ふらつきはない。
これではおそらく、ダメージは軽微だろう。
「ブルー!!」
ピンクが詠唱を止めて、そばまで押し飛ばされたブルーに呼びかける。
ふわっ……
また、魔方陣が霧散した。
「大丈夫だっ! それよりピンクっ、覚悟を決めろっ!! 歌を止めるなっ!!」
ブルーがピンクを叱咤した。
「もっとだっ!! もっと強力な魔法を使えっ! 次で仕留めるぞっ!!」
「良候ふっ!!」
力強く、ピンクが応えた。
第18章 「古の大魔法 戦闘和歌(歌合せ)」
終了まで、あと4話
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