17.2 よろしくジャンヌ・ダルク2
是陽side
「イタリア人っ、作戦練るから、ちょっとタイムなーーーー?」
ブルーが両手でTの字を作り、堂々と宣言した。
「へ?」
あまりのことに、固まる。
そんな僕をよそに、二人はさも当然といった様子で、なにかヒソヒソと話し始めた。
「えぇぇぇぇ~~……」
大亀ヶ岡広場の中心でぽつねんと立つ。
ざわざわガヤガヤ……
「俺、ちょっとトイレ行ってくるっ」
「おいっ、今のうちにジュース買ってこようぜっ」
サッカーのハーフタイムが如く、観戦していた協力会員やピュア・シャイニング親衛隊、さらに一般観光客が一斉に動き出す。
ざわざわガヤガヤ……
広場の空気が、一気に弛緩した。
「えぇぇぇぇ~~……」
ぽっつーーーーーーーーん………
(こっちは痛い思いをして、頑張っているのに……)
なにか、色々やりきれない……
ポンッ
小隊専用回線と表示された。
「ふんっ、時間稼ぎに好都合ではないか。腹は立つが捨て置け」
通信でカラー1将軍が話しかけてきた。
「ま、まぁそうですよね……。あのぅ、鞭の充填は、順調ですか?」
また潜んで、[紺瑠璃のウィップ]に何かの力を注いでいるはずだ。
「まだ始めたばかりだからな、もうしばらく時間が必要だ」
充填は集中を必要とする作業なのか、カラー1将軍の返答は素っ気ない。
「そう……ですよね」
また、しばらくは二対一か……
(触伸臂があるから、何とか捌けるだろうけど、ダメージを与えても治癒するからなぁ……)
不安が頭をよぎる。
「……案ずるな。小娘たちの力にも限りがある。奴らの限界は、そう遠くないぞ」
カラー1将軍は、まるで心を読んだかのように、そう言った。
「そっ、そうですかっ!? まるでそうは見えませんけどっ」
思わぬ朗報に、気色ばんで聞き返す。
「ああ、小娘たちの戦闘力にはバラつきが大きいから、ハッキリしたことは言えんがな、比較的弱いピュア・シャイニングだったら、さっきの貴様の攻撃で、すでに撤退を始めていただろうな」
「強いピュア・シャイニングでも後の2、3回、大きな治癒を必要とするダメージを受ければ、撤退するだろう」
カラー1将軍は、丁寧に説明してくれた。
「そうですかっ、ちょっと安心しました。あのっ、集中がいる作業中に、わざわざ教えていただき、ありがとうございますっ」
「ふ、ふんっ、別に貴様が心配で教えたわけではないっ。全ては総統閣下のためだっ、勘違いするなよっ」
カラー1将軍が、ちょっと焦ったように早口で言った。
(え? 将軍ツンデレ?)
まさかこの場面で、この人からテンプレ台詞を聞くとは思わなかった。
「……ととっ……おしゃべりはここまでだ。私は少し集中する。以上」
ポポンッ
カラー1将軍はそう告げると、回線を切った。
ポンッ
間髪入れず、再び、小隊専用回線と表示された。
「ナポリタン、朗報があるわ」
総統閣下の弾んだ声が聞こえた。
「シマッ、なんでしょうかっ?」
朗報という言葉に、僕の声も弾む。
「貴方の無限触手の名前が決まったわっ」
総統閣下が嬉しそうに仰った。
「はい?」
何を言ってるのでしょうか、この方は?
「無限触手と貴方の名前から、歯ごたえのあるパスタをイメージして……」
マイペースな総統閣下が、無駄にためる。
嫌な予感しかしない。
ばばーーーーんっ
「無限触感アルデンテンよっ!!」
総統閣下が自信満々に宣言された。
「えええぇぇーーーー!?!?」
酷いネーミングに拒絶感を示す。
てか、[触感]は[食感]のダジャレだよね?
「あのですね、新しい触手にはすでに触伸臂と名前をつけまして、上から無限伸剣、無限魔弓……」
僕は必死に、すでに名前があることを伝えようとするが……
「ほら、やっぱり嫌がっただろ?」
話の途中で、Dr.が割り込んできた。
「む……」
総統閣下が黙る。
「モチベーション維持のためにも、別のにしてやった方がいいだろ」
珍しくDr.がまともなことを言う。
この人もたまには、役に立つ。
ばばーーーーんっ
「やはりここは、私が見た目から提案した、無限変態エロチンポンにするべきだ」
前言撤回、この人が役に立つことはない。
てか、それでどーやってモチベーションを維持するの? おっかないなぁ。
ばばーーーーんっ
「いや、やっぱそこぁ、無限皮被りチンポンで決まりでぃ」
江戸弁、うるさい。
あと、剥けてます。
ばばーーーーんっ
「私はC.P.A.C.が良いと思います。最後にちゃんと[ン]がつきますし」
カラー1将軍まで参戦した。
貴女はちゃんと集中してください。
「どの名前がいいの?」
「どの名めぇにするねぇ?」
「私のがいいだろ?」
「是非、歌え」
四人が一斉に問いかけてきた……
僕は今、上司たちから、ネーミングハラスメントを受けてます……
「………………………無限触感……アルデンテンでお願いします……ばば~~~~ん……」
不承不承で答える。
「ほらっ、やっぱり私のネーミングを気に入ったわっ。ふふふふふふっ、さすがはナポリタン、分かってるわねっ」
総統閣下が勝ち誇る。
「チッ、使えない粗チンだなっ」
Dr.が悪態をついた。
貴女にだけは、言われたくない。
「なんでぇ、仮性チンポンだったか」
違います。
「是非、歌え」
歌います。
(ううっ……僕の無限たちよ、さようなら……)
僕は心の中で泣きながら、快心の名前たちに別れを告げた……
てか、アルデンテンが一番まともに思えるなんて、どうなんってんだ? この悪の組織は。
第17章 「密談 ✕ 密談?」
終了まで、あと1話




