16.4 エロティック・セブン EROTIC SEVEN16
ダンッ!
自信満々のブルーは地面を蹴って、弾かれたように突っ込んで来る。
ドヒューーーーン……
「ヌウウゥゥ……」
僕はまるで策がないかのように、指触手を引っ込めて、ボクサーのガードのように構え、待つ。
「シャイニングゥゥゥ・クマぽっちゃんスラッーーーシューーー!!」
ビュドガガガガガガッ! ガゴンッガガガガガドヒュッガッ! ガッ! ガッ! ガッギンッ! ガガガガガ……
なぜか一昔前に流行ったゆるキャラ[クマぽっちゃん]の名前を冠したパンチラッシュが飛んで来た。
ガードなんてお構いなしの、パンチの嵐を受ける。
ズドドドドドドンッ! ドガンッ! ボゴンッ! ゴギンッ! ……
何発ものパンチがガードを突き破り、いたる所でスーツが硬化する。
「ぐはっ! ……ごふっ!? ぐっ……」
治癒するまでの瞬間的な痛みに耐え、ブルーが疲れるのを待つ。
(てか、クマぽっちゃんは、ピュア・シャイニングとは無関係だよね?)
絶対、適当につけたでしょ?
耐えながら、そんなことを考える。
ちなみに、クマぽっちゃんはよく肥えたクマで、とてもなで肩だ。
「なで肩フックっ! なで肩ブローっ! なで肩アッパァァァァーー!!」
ドガンッ! ギュバンッ! ドシュンンンン!!
ブルーがノリノリでパンチを乱舞させる。
もう、色々と突っ込みたいが、それも含めて我慢し、ジッと待つ……
「なで肩ショルダーぁ!! はぁ・ハァ・はぁ……」
ブルーは40発ほど打ち込んでくると、威勢の良いかけ声とは裏腹にパワーと勢いが徐々に衰えてきた。
チラッ……
ガードの隙間から覗くと、ブルーの可愛いおへそが、ドレスの隙間から無防備に見え隠れしていた。
頃合いだ。
すっ……
「…………Signorina Arrivederci(お嬢さん、さようなら)」
某ブチャラティのように、格好良く呟く。
「無限伸剣ーーーー!!」
ボンンッ!!
その瞬間、マントの下に隠した上段目の触伸臂を、ブルーの腹部目がけて、力強く発射した。
「なで肩っがふっ!?!?」
ズドンンンッッ!!
黒マントの隙間から飛び出した二本の太い触伸臂が、重鈍い音を立てて、細く引き締まった腹部に直撃し、めり込む。
じんっ……
触伸臂の先端に痛みを感じるほど、強い手応えだった。
やはり指触手とはパワーが桁違いだ。
「がはっ!? うっ・ぐっ……」
はらり……
目の前で鮮やかな青色の髪が、儚く揺れた。
ガクッ……
ブルーは低い呻き声を残して、背中を丸め、九の字に折れる。
シルルルルル……
触伸臂を引き抜くと、ブルーは崩れるように、アスファルトに膝をついた。
「あ…………」
その哀れな姿を見下ろした時に、一瞬だけ迷いが生じる。
「くっ…………しっ……六弾斉射ーーーー!!」
それでも迷いを振り切るように叫んだ。
ブルーは今、何が起きているのか理解してないようだが、その声でかろうじて、反射的に腕を上げてガードした。
ズドドドドンンンッ!!
戻した無限伸剣も含めて、六本全てを発射する。
「ぐあああぁぁぁあぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!」
ガガガガガズンッッ!!
三本の触伸臂がガードに弾かれ、残りの三本がガードを突き破った。
バシュンンンンーーーー……
ブルーが錐揉み状に吹っ飛んでいく。
バンッ! ガンッ! ドンッ ドサササァァ……
力なくアスファルトに叩きつけられ、バウンドし、地面に転がった。
シルシルシルシル……
次の展開を予想して、すぐに全ての触伸臂を戻す。
「ブルー!?!?」
ギュンッ!
即座にピンクが将軍との戦闘を放棄して反転した。
スタンッ!
ピンクは倒れ伏したブルーの前に飛び込んで来た。
「うっ……」
健気な二人の魔法少女の姿に、胸がチクリと痛む。
戦い勝ちたい怪人の本能を、人としての情が上回りかける……が
(……いや、彼女らは普通じゃない、出鱈目な存在なんだ)
そう自分に言い聞かせ、情を打ち消して心を鬼にする。
「…………六弾斉射ーーーー!!」
ズドドドドンンンッ!!
決意し容赦なく、二人に全ての六本の触伸臂を打ち込んだ。
「きゃあああぁぁーーーーーー!!」
ガガガガガズンッッ!!
ブルーを守るように体を丸めてガードしたピンクは、六本の触伸臂を、自ら全て受けた。
悲鳴を上げて後ろにふっ飛ばされる……
「ぐっ……くっ……ううっ……」
ふらつき、よろけながらも、何とか倒れずに、ブルーの直前に踏み止まった。
くるり……
ピンクは前触れもなく踵を返して背中を見せる。
むんずっ
痛みを堪えて倒れたブルーの衣装の背中を、両手で掴かんだ。
ダダンッ!! ビュンーーー……
運ばれる子猫のように、なすがままのブルーを持ち上げて跳躍し、逃走した。
(え? 見かけに寄らず力持ちなのね……)
「て、感心してる場合じゃないっ!」
このまま逃がすつもりはない。
かわいそうだが、このまま決めさせてもらう。
タタンッ!
僕は一瞬、カラー1将軍とアイコンタクトした後、わき目も振らずに逃走するピンクの背中を追った……
第16章 「真の覚醒」終了
読書、お疲れ様でした。この章はこれで終了となります。
次は第17章 「密談 ✕ 密談?」(3話)になります。
第1部は20章で完結(残り4章)となります。




