13.1 エロティック・セブン EROTIC SEVEN1 〜Another side〜
ちょっとだけ役割紹介 Ops Co
作戦調整官
CPオフィサーと作戦司令(今回は総統)とを繋ぐ役割を持つ。
大まかな指示は作戦司令が出し、それを現場レベルの指示に落とし込む、中間管理職的な人。
Another side
「早期警戒レーダーに感有りっ! 国道134号線片瀬東浜交差点付近っ、反応、ブルーとピンクっ! ピュア・シャイニングですっ!!」
索敵手の声で、中央作戦司令室内の人間が一斉に緊張し、息を呑み、数秒間の静寂が訪れた。
が、すぐに緑マフラーの各CPオフィサーが、それぞれ担当の部隊に命令を発して、騒がしくなった。
その中央で、CPオフィサーのまとめ役である、緑色の長マフラーを巻いたOps Co(作戦調整官)が、前面のモニターをジッと睨みつけていた。
「……くっ、相変わらず堂々と弁天橋を渡ってくる気なのかっ。馬鹿にしてるわ……」
Ops Coが歯噛みをしながら、呟く。
レーダー画面では、二体のピュア・シャイニングが、グングンと江の島に近づいてくるのが、しっかりと確認できた。
「……よしっ! 青銅の鳥居付近にいる部隊、迎撃準備は完了してい……」
ピュア・シャイニング発見から四十秒弱、Ops Coが、CPオフィサーに向かって指示を出そうとするが、途中で……
「威力偵察小隊(青銅の鳥居付近で展開していた部隊)が敵影を視認っ! 攻性接敵!!」
CPオフィサーが、すでに戦端が開かれことを告げた。
「くっ!? 速いっ!? 相変わらず出鱈目だわっ!!」
Ops Coが驚きと怒りの入り混じった声を上げる。
それもそのはず、江ノ島弁天橋の長さは389メートル程度だが、その橋を含む国道134号線の片瀬東浜交差点付近から江の島まで距離は、750mもあるのだ。
徒歩でなら十分以上かかる道のりである。
それをたったの40数秒で江の島に到達するということは、ピュア・シャイニングは乗り物にも乗らずに、時速6、70キロの速度で移動していることになる。
瞬間的なスピードが6、70キロなのではない。
巡航速度でこのスピードなのだ。
Ops Coが思わず出鱈目と言ってしまうのも、頷けるだろう。
「威力偵察小隊っ、戦闘継続不能っ!」
「青銅の鳥居、突破されましたっ!」
「ピュア・シャイニング二体、弁財天仲見世通りを移動中っ!」
CPオフィサーたちの報告が続々と入る。
江の島内は道が狭く入り組んでいて、アップダウンも激しいので、ピュア・シャイニングは先程のような速度では移動は出来ないが、それでも進撃速度はかなり速い。
「増援のために朱の鳥居を通過中の第二大隊、市寸嶋中隊が敵と遭遇っ! 攻性接敵!!」
「多紀理中隊を応援に向かわせますっ!!」
「市寸嶋中隊っ、戦闘継続不能っ! ……くそっ!!」
「足止めにすらなってないぞっ! なにしてんだよっ!!」
わずか数分で、一つの中隊が壊滅していく様に、CPオフィサーが思わず嘆く。
「アルバイト戦闘員二名が敵前に飛び出してやられたぞっ!? どこの馬鹿だっ!?」
「済みませんっ!! なんか突然、マッスルボンバーとか叫びながら突撃してしまってっ!!」
「予測経路上にいるアルバイト戦闘員を急いで退避させろっ!!」
わずかか五分強の間に、矢継ぎ早に敗北の報が入電して、中央作戦司令室内は騒然とし、混乱を極めた。
それを黙って見ていた総統が、おもむろにスクッと立ち上がる。
「狼狽えるなっ!! 想定内よっ!! 全員、落ち着きなさいっっ!!」
総統がよく通る声で一喝する。
すると中央作戦司令室内は、ピタリと静まった。
「……カラー小隊。カラー1将軍、ナポリタン、すぐにピュア・シャイニングが来ます。準備は良いですか?」
マイクを掴んで、落ち着いた声で話す。
「カラー小隊総員、戦闘準備完了しています。それと大亀ヶ岡広場内の一般人の退避もすでに完了しています。」
こちらも落ち着いた返答を、将軍が返した。
「ご苦労様。カラー1将軍、新人のナポリタンをくれぐれも頼みます。岩屋以外の出入口は完全封鎖が完了してますから、安心して戦ってください」
「御意。不惜身命を以って、命令を完遂いたします」
「それは駄目です。貴女は特別に大切な人なのだから、命は惜しんでください」
「はい、お嬢様。御心のままに」
総統は静かに頷くと、着席してジッとモニターを見つめる。
「……お願いだから初戦で再起不能にだけはならないでね、ナポリタン……」
総統は祈るように呟いた……
……………………
是陽side
初夏とはいえ、頬に当たる夜の潮風は冷たい。
ましてや、騒がしい観光客の姿が消えた広場に立っていると、いっそう強くそう感じた。
遠くで響いていた戦闘の音も今は止み、江の島は驚くほどに、ひっそりと静まりかえっている。
広場の中心にはカラー小隊六人を筆頭に、後ろには二個中隊四十八人の戦闘員たちが静かに佇み、広場の外の協力会員たちは、固唾を呑んで、遠くから注視していた。
ヒュンと海とは反対方向から風が吹き、広場の周りに生える木々が、サワサワと揺れた。
暗がりの中に人が動く気配を感じたので、そちらを見る。
「悪事はそこまでですっ!!」
「悪事はそこまでだっ!!」
突然、二つの声が大亀ヶ岡広場に響いた。
僕らはもう立って待ち構えているだけなので[そこまで]はないだろう、と思いつつも、いよいよ現れたかと体に力が入る。
パチンッと音を立て、照明が焚かれる。
逆光の中にケッタイなポーズを取った二人の女性のシルエットが、浮かび上がった……
第13章 「魔法少女ピュア・シャイニング参上!」
終了まで、あと4話




