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新江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜【第2部スタート】  作者: 綿野草空希
12 出撃!! マルチロールファイター!!

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12.1 千の扉1 〜夏音side〜

新・江島縁起・第一章 ~あじさいのうた~

青浜夏音とナポリタン篇開幕


夏音side


 「ただいまぁ~……」

 あたしは部活の練習が終わり帰宅し、玄関で靴を脱ぎながら、居間に向けて声をかける。


 「…………………………」

 ……人の気配はあるが返事はない。


 「はあぁぁ~……」

 ため息をつきつつ廊下を進んで、居間のドアを開ける……


 と、モワッとお酒の臭いがした。


 「……母さん、また飲んでるのかよ……」

 居間へ入り、一人、ソファーで寝そべり、だらけている母親に小言を言う。


 「……あぁ夏音ぇ、おかえり……別に飲んだって良いでしょぉ~、毎日じゃないし……アルコール依存症ってわけでもないんだしさぁ……ふあぁぁ~……」

 母さんは起き上がることもなく、欠伸をしながら答えた。


 ソファーの前のテーブルの上には、食べかけのコンビニのお惣菜類やビール、チューハイの缶が転がっている。


 「……夕飯わぁ、自分でなんか買って来なさい……お金はそこよ」

 指差した先、テーブルの端に千円札が一枚置いてあった。


 「あっそ」

 いつものことだし、ここで母さんの相手をしてもイライラするだけなので、あたしは千円札を引っつかんで、さっさと居間を出た。


 早足で、二階の自分の部屋に向かう。


バフッ……

 階段を上がって部屋に入ると、制服のままベッドにダイブ。


 ベッドに転がっている[ぷくぷく。くまぽっちゃん](よく肥えた熊の縫いぐるみ)を抱きしめた。


 「馬鹿みたいだ……あたしはあんな風には、絶対にならないからな……」

 母さんはもう六、七年近くもあんな感じだ。


 ……そう、離婚する数年前の、浮気性の父親が家に帰って来なくなった頃から、ずっとあんな調子で怠惰たいだな生活を送っている。


 父親……馬鹿オヤジは根っからの浮気性で、あたしが物心ついた頃から、両親はいつも喧嘩をしていた。


 そしてあたしが小学校低学年の頃から、父親は次第に家に帰って来なくなり、小学六年生の時に両親は正式に離婚した。


 父親は中古車販売業を営んでいて、会社の業績は好調、お金はタンマリある。


 おかげでこの家+慰謝料はガッツリと出て、あたしの養育費とやらは、今でも滞りなく支払われているそうだ。


 この離婚であたしとしては綺麗サッパリ清々したのだが、母さんの方はそうはいかなかった。


 馬鹿みたいに落ち込んだあげく、金銭的に困らなかったことで、母さんは全ての生産的な行為を放棄してしまった。


 ただ消費するだけの半引き篭もり生活……お金も時間も人生も、ただ無意味に浪費する生活に突入した。


 仕事もせず、家事もまともにしないし、趣味も持たずに、友人と遊びに行くこともない。


 そんな生活をもう、何年も何年も続けている。


 父親……馬鹿オヤジの方は今でも時々、あたしに会いに来る。


 あの馬鹿はいい年して髪を染めて、屋根が開く派手な高級外車……


 ……よく知らないがあの馬鹿は、外車で[コンバチ]とか[スパイダー]とか呼ばれるヤツが大好きだそうで、母さんはそれを時代錯誤だと鼻で笑ってた……


 ……高級外車に乗り、呆れるほどにチャラチャラした格好で、実の娘のあたしに会いに来るのだ。


 そして、今Youtubeでバズってる動画だの、面白アプリだの、下らない話を一方的にした後で、数万円のお小遣いをあたしに渡し、自分の父性を満足させて帰って行く。


 ……まあ、たいていはお小遣いをもらう前に、あたしが腹を立てて走り出し、馬鹿をその場に置き去りにしてしまうのだけど……


 「……よく恥かしげもなく、会いに来れるよなぁ、あの馬鹿は……」


 あたしは過去に何度も、馬鹿オヤジが海沿いの国道を、オープンカーに若い女を乗せて走っているのを目撃している。


 しかも呆れたことに、毎回違う女なのだ。


 離婚してもう独身とはいえ、そんな奴が父親面をしてくるのだから、あたしが腹を立てるのも無理がないというものだ。


 あの馬鹿オヤジは、世間ではそこそこ、格好良い部類に入るらしい。


 実の子供のあたしから見れば、アレは正直、無理をしている中年オヤジにしか見えない。


 が、世の中に何%かいる阿呆女たちには、中々のイケメンに映るらしく、自分から次から次に引っかかっていくのだ。


 あの父親も馬鹿だが、そんなのと喜んで付き合う女たちはもっと馬鹿だ。


 「阿呆かっ、顔で男を選ぶなっつーのっ!」


 ボスッ! と、クマぽっちゃんの丸いお腹にチョップを入れる。


 「あたしは絶対に、顔だけの男なんかに騙されないぞっ」

 あたしは母さんや、阿呆女たちとは違う。


 顔で男を選んだりはしない……


 「…………………………しないんだ。しないんだぞっ」


 「…………………………」

 しないはずなのだ……なのに……思い出す。


 今日の学食で、芹園とイチャイチャしている由比里を見ていて、なんか無性に腹が立った。


 ムカついて外に飛び出すと、あいつが後を追ってきた。


 ……その時、由比里が手を挙げて走り寄ってくる姿を見た時……あたしは不覚にも、ドキリとしてしまったのだ……

第12章 「出撃!! マルチロールファイター!!」

 終了まで、あと1話


✾ ちなみに、今後、青浜夏音sideで、心情を和歌で詠んだりします。


【そんな和歌を中心に、集めたのがこちらです】


 鎌倉〜あじさいのうた〜

https://ncode.syosetu.com/n5799mk/

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