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新江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜【第2部スタート】  作者: 綿野草空希
11 サムエル・コッキング苑での爆誕

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11.4 怪人君の空15

 「嫌ですぅぅぅぅぅううぅぅーーーーー!! シマァーーー!!!」

 畏怖いふの念を忘れて、盛大に拒絶する。


 だって絶対、変な名前の最後に[ン]がつけられるのは明白だから。


 「おいっ、歴代の総統閣下のネーミングセンスに、ケチをつけるつもりかっ!?」

 カラー1将軍までも、部隊内通信で乱入してくる。


 「貴様の股間についている貧粗ひんそな触手をちょん切って、果物に突き刺した上で[チン・パイナポー・アポー・チン]と、歌ってやろうかっ!?」

 カラー1将軍が[P◯AP]ならぬ[CPAC]を提案してきた。


 「歌ってくださいっ! シマァーーー!!!」

 サディスティックな脅しと、相変わらずのネタの古さに恐怖を覚え、前屈みで了解する。


 ちなみに、僕に変な性癖はない……と、思いたい。


 (それにしても……総統閣下って、幹部の前ではこんな感じなんだなぁ……)

 密かに驚き、考える。


 (Dr.に対して敬語なのはビックリした。……まぁ、確かに、Dr.が以前[総統閣下は高校生]と洩らしていたから、幹部より年下なんだろうけど……)

 そういえば、エレベーター内でカラー小隊に指示を出した時も、敬語は出なかったけど、口調がかなり柔らかかった気がする。


 きっとこれが、素に近い総統閣下の姿なのだろう。


 (Dr.が総統閣下に対して不遜ふそんなのは、意外じゃないけどさ)

 あの傍若無人ぼうじゃくぶじんなお姉さんなら、もう、なんでもありな気がする。


 「うーーん……なにが良いかしら……」

 総統閣下の悩む声が、頭の中に響く。


 「触手がウネウネしていて蛸のようだから、怪人[蛸センベイン]で良いんじゃないのか? さっき名刺のように煎餅を配って回っていたし」

 Dr.ヘッドランドが適当な提案をする。


 「それだと、[やられて潰された]みたいじゃないですか? とても縁起が悪いです。……怪しいマスクをしているし、[江の死魔怪人マットピエロ]なんてのはどうですか?」


 「それだとなんだか、時代遅れの暴走族グループみたいじゃないか? 最後に[ン]もついてないしな」

 すかさずDr.ヘッドランドがダメ出しをする。


 「あのぅ……無理に[ン]をつける必要はないと思いますよ?」

 やんわりと会話に入り提案する……が、完全にスルーされた。


 あきらめて、運ばれて来たシナモンアップルを、黙って食べ始める。


 「うーーん、それならBrutal Tentacle Saber(残忍な触手剣)なんてどうでしょう? 長いので、普段は頭文字を取ってBTSと呼びます」


 「それは隣国からクレームがくるから駄目だな。また[ン]もついてないし」


 (今のが良かったなぁ……)

 奇跡的にまともな名前が却下された。


 しかし[ン]をなぜ、そこまで推すのだろうか?


 「私は[蝦蟇石怪人ケロリン]が良いと思うが、どうだ?」


 「いえ、カエルの要素が一つもないのに、それはおかしいです」


 「弁天様よぅ、野郎はいっそ[皮被り小僧]で良いんじゃねぇのかい?」


 「?? 彼はソフトマスクは被ってませんよ?」


 「ご老体はそんなに、皮被り仲間を作りたいのか?」


 僕の傍若無人ティータイムの間も、グダグダの会話がひたすら続く。


 「ご馳走様でしたぁ……」

 食べ終わり立ち上がる。


 そろそろピュア・シャイニングが現れてもおかしくないので、僕は骨伝導で脳内に響くグダグタな会話を無視して、サムエル・コッキング苑内を出ることに決める。


 カフェを出て、苑内の順路に従って歩き出口から外へ……すぐ近くの大亀ヶ岡広場に向かう。


 「シマァーーー!!!」

 「シマァーーー!!!」

 「シマァーーー!!!」


 大亀ヶ岡広場にも戦闘員が展開していて、コンプライアンスを守った数々の地味な嫌がらせを繰り返していた。


 おそらく、島内のあらゆる場所に戦闘員が出現して、魔法少女を誘き寄せようとしているはずだ。


 ちなみに、一般市民へのセクハラ行為などは、特にコンプライアンス違反として堅く禁止されているので、身体への接触はとても気を使うと、前に正社員戦闘員から聞いたことがある。


 もちろん、直接拳を交える魔法少女に対しては、どんな攻撃でもコンプライアンス違反とはならないが。


 「おらっ、いいのかっ! ああんっ! コレが良いのかっ!」

 到着すると広場の真ん中でカラー1将軍が、四つん這いの観光客のおじ様のお尻を、ハイヒールでグリグリと踏みつけていた。


 「ありがとうございまーーーすっ! 入会しまーーすっ! シマァーーー!!!」

 喜色満面きしょくまんめんでお礼を言うおじ様。


 その後ろに観光客と協力会員の数人の男性が、列を作って待っている。


 「……アレって、コンプライアンス違反じゃないんですか?」

 当然の疑問を口にする。


 「いや、ファンサービスと、新たな協力会員を募集しているだけだから問題ない」

 Dr.ヘッドランドが投げ槍に返事をした。


 「そういえば、あの変わったマスクの元はなんですか?」

 総統閣下が、カラー1将軍の奇行を総スルーして、Dr.に質問された。


 「あれは元々、土産物のイタリアのカーニバルマスクだったんだ」


 「イタリアのマスク……ですか。なら、イタリア方面の名前をつけたいですね……」

 中央作戦司令室では、まだマイペースに名前を考えていらっしゃる。


 魔法少女たちはまだ来ないので、時間を持て余した僕は、変態紳士たちの列の最後尾に、しめやかに並んだ。


 「イタリアなぁ……そーいえば、この由比さ……さ……里籐さとう君はナポリタンが好物だと言っていたな」

 Dr.ヘッドランドが、なんだかとても余計なことを仰った。


 ナポリタンは日本発祥だからイタリアは関係ないのに……


 「ナポリタン!? まぁ! お父様の好物と同じですねっ。…………うんっ。良いですねっ、ナポリタン。伸びる触手がパスタのようだし、彼にピッタリ」

 総統閣下が声を弾ませた。

 「よしっ、決めましたっ。命名しますっ」


 「元戦闘員8712号っ! 貴方の怪人名は[イタリア怪人ナポリタン]よっ!」

 ビシッと総統閣下の無体な下知が下された。


 「うわぁぁあぁぁーーー!! やっぱり最後に[ン]がついたぁーーーー!!」

 この瞬間ほど、自身のナポリタン好きを恨んだことはなかった。


 こうして、平日月曜日の、夜の江の島で、イタリア怪人ナポリタンが爆誕したのだった……



第11章 「サムエル・コッキング苑での爆誕」終了


 読書、お疲れ様でした。この章はこれで終了となります。

 次は第12章 「出撃!! マルチロールファイター!!」(2話)になります。


 続けて読まれる方は、そのままページ送りを、


 ここで一旦、読書を終了する方は、是非、ページ下部の

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 では、再会出来る日を、楽しみにしてます。


 お読み下さり、ありがとうございました。



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