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【イタ☆恋!】新・江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜☆現代ラブコメ・ファンタジー☆  作者: 綿野草空希
32 新装備慣熟と新能力

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153/163

32.3 神様からの贈り物3


 訓練区画に入り、さらに地下へと下る。


ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ

 椎名君は日頃のウエイトを着けた生活が功を奏したのか、研究室からここまで歩いても、微かに息を切らす程度だ。


ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ

 ちなみに椎名君は現在、光学迷彩スーツを頭から着ているが、外を確認する[外部カメラモニター]のみを起動させている状態なので、姿は見えている。


 「ここだ……。さあ、入れ」

ギギギィィィーーーー

 Dr.が一つの、頑丈で重そうなドアを開けると、自ら中に入った。


 僕も続けて中に入る。


 「ここ……ですか?」

 僕は、十畳程度の何もない古ぼけた部屋を見渡しながら聞く。


 初めて入る[五次元防壁訓練室]は、拍子抜けするほどに狭い部屋で、奇妙なことに床が土だった。


 「そうだ」

ピッ ピッ カタカタカタ ピピッ 

 短く返事をすると、Dr.ヘッドランドは部屋にある唯一の物体である、ドア近くのコンソールパネルの前に立ち、操作を始める。


カタカタカタ ピピッ ポンッ!

 Dr.は何かをキーボードで入力して、最後に大きなスイッチを押した。


ブインンンンンンン~~~~~~~~~

 途端《とたん》に不気味な低音が、部屋を包む。


ぐにゃぁ~~ググニャ~~あぁぁりりぐにやゃあぁ~~~~

 そして突然、目の前の空気が[ぐにゃぐにゃ]と歪《ゆがみ》始めた。


 「うっ!?」

 僕は立眩《たちくら》みのような感覚に襲われて、思わず目を閉じて、足を踏ん張る。


 「おっ!? おえぇぇ~~」

 近くで、椎名君が気持ち悪そうにえずいた。


 「よし。拡張が完了したぞ」

 Dr.ヘッドランドの平然とした声が聞こえた。


 僕はゆっくりと、目を開ける……


 「!?!?」

 と、なんと目の前にあったはずの、古びた部屋の白い壁が見えなくなっていた。


 「えっ!? えっ?」

 混乱しながら上を見上げると、そこには天井が見あたらなかった。


 そこは、いくら見回しても果てが見えない、距離感が分からない、白い空間だった。


 「こっ! これはっ!?」

キョロキョロ ガチャ ガチャ

 光学迷彩スーツをすっぽり被っている椎名君は、ガチャガチャと音を立てながら、辺りを見回す。


 「なっ、なんと面妖《めんよう》なっ!?」

ぺたん

 立ち眩みが酷かったのか、一宮君は土の上に座り込んで声を上げた。


 一見すると、僕らは広大な荒野の中に取り残されたようにも見える。


 が、地面以外は白一色の空間は、経験したことのない虚無感《きょむかん》に襲われるものだった。


 方向感覚や距離感を失い、不安になる。


 「この部屋は[五次元拡張装置]を使って空間を歪めていてな、装置の性能は[壁と天井までの距離を最大100キロ]まで広げることが出来るものだ」

 説明の声に振り向くと、Dr.ヘッドランドがドア近くのコンソールパネルの前に、平然と立っていた。


 「ま、それをやると阿呆みたいに電力を喰って、各部署から――特に経理からお叱りを受けるからな、今回は短く[最小の500m]に設定した」

 Dr.ヘッドランドは軽く肩を竦めて、説明を終えた。


 「そ、そうですか……」

 後ろには、さっき入って来たドアや元々の壁があることに気がつき、ホッとする。


 が、そのまま壁の先を目で追うと、横も上も、途中から朧《おぼろ》に歪んで境目が見えず、少し不安になる。


 「拡張後、このドア近辺の壁以外は、エネルギーを無効化する[五次元防壁]に変わるからな、前方になら好きなだけ、飛び道具の発射実験が出来るぞ」

 Dr.が淡々と補足する。


 「あのぅ、明かりとかはどうなっているんですか?」

 疑問が湧いて、口に出る。


 この空間は、光源《こうげん》が見当たらないのに、かなり明るい。


 確か元の部屋では、天井に蛍光灯が点いていたと思ったが……


 「超科学の基礎知識のない人間に仕組みを説明するには、小一時間はかかるぞ? 聞きたいか?」

 Dr.ヘッドランドが、面倒臭そうに返答する。


 「いいえ、結構です」

 [こんなやり取り、マブラヴ・オルタネイティブの作中にあったなぁ]と思いつつ、断る。


 「それは良かった。私も暇じゃないんで、いやさ遠慮したかったんだ。……さて、由比里と椎名は、不具合がないかどうか、とりあえず動いてみろ」


 「了解です」

カチッ

 僕は、ベルトにあるスイッチを押して、専用パワースーツを起動させる。


ガシャン

 「光学迷彩、オン」

ブインッ

 椎名君も、音声スイッチで光学迷彩を起動させる。


 椎名君はすぐに姿が消えた――


 ――が、相変わらずガシャガシャと金属音がし、おまけにブーツは消えずに残っている。


シルシルシルシルシル……

 僕はソレを横目で見つつ、まずは脇腹から六本の触臂(インフィニティ)を伸ばしてみる。


 穴の位置はピッタリで、出し入れに、なんの違和感もなかった。


シルシル うねうね シルシル くねくね

 触臂(インフィニティ)を、伸ばしたり縮めたりしてみる。


 「六つの穴に、問題はなさそうだな? よし。なら次は一宮、ナポリタンに攻撃してみろ。なーに、手加減しなくても、当たらないはずだ」

 Dr.ヘッドランドが、一宮君に指示を出した。


 「動きの確認なんだから、ナポリタンは反撃するなよ? 当たれば最悪、一宮は大怪我では済まないからな」


 「シマァ」

 「シマァーー!!」


 こうして僕は一宮君と、軽く手合わせをすることになった……


―――――――

―――

―

 

 「いざっ、参るっ!」

バババババッ ザザッ ぶんっ シュシュ

 一宮君は、訓練で習ったキックとパンチのコンビネーションを、数種類まぜて繰り出す。


 もちろん、その技は親衛隊員などと比べられるモノではなく、なんとか形になっている、素人技だった。


タタンッ

 僕はそれをしっかりと目で追い、軽くステップを踏んで、攻撃を避けるだけだ――


 が、


 「うおおぉおっ!? おおうっ!? わわわっ!!」

ズザザザザザァァーーー……


第32章「新装備慣熟と新能力」

終了まで、あと3話



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