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【イタ☆恋!】新・江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜☆現代ラブコメ・ファンタジー☆  作者: 綿野草空希
31 総統とイタリア怪人が愛した杜若

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146/163

31.4 Moon Light Lover4


 「プレゼントだ。早くアレが治るといいな? 由比里」

 そう言ってツナ缶を、まだ焼いていない豚玉のお椀の上でひっくり返し、全て投入した。


 「ほへ? ありがと?」

 僕はよく分からないけど、お礼を言う。


 「由比里君、早くアレが治るといいわねぇ~」

 ほのかさんが笑顔でいいねっ! と親指を立てると、踵《きびす》を返して戻る。


パタパタパタパタ

 その途中で


 「――はい、杜若(もりなお)さん、サービスのツナ缶でーす」

 へなちょこイケメンお兄さんにも、ツナ缶を渡していいねっ! と親指を立てた。


挿絵(By みてみん)

【挿絵 駄目な脳によく効くツナ缶 2回目】


 「――おっ!? ありがとう、ほのかちゃーん」

 「――杜若(もりなお)さんも、アレが治るといいわねぇ~」

 「――ほへ、アレっ何?」

 「――杜若(もりなお)、アレが、治ると、いいな」

 「――だからアレって何だよ?」


 そんな会話が耳に入った。


 (うーん、アレって何だろう?)

 何かは分からないが、あまり良くないことかもしれない。


 ちょっと脳を、溶かしすぎてしまったようだ。


 失敗。


 気を引き締め直して、会話が弾むように心がけよう。


 「えっと……特に他意はない質問なんだけど、青浜さん、明日の予定は?」

 会話の糸口を探るために、まずは無難な質問をする。


 「んー? 明日は練習試合。他の高校に遠征するんだ。由比里はー?」


 「僕は土日、バイトの予定だよ」

 そう、土曜日は訓練で、日曜日は――


 「バイトなぁ~。……由比里ってバイト何にしてんだっけ?」


 「タコせん――えぇと、片瀬でお土産用の縫いぐるみを作ってるよ」


 「クマ?」


 「ううん、カメ。椎名君と一宮君も一緒だよ」


 「ふーん……あっ、そうだっ、今日の帰りに学校(ガッコ)近くの坂道で、椎名と一宮に会ったけど、あいつらあんな場所で筋トレしてたぞっ。何(あん)でだ?」


 「……えーと、多分、ストーキングと筋肉トレーニングが合わさった[ストー筋トレ]かな?」


 「あにそれ? ツナ缶、追加するか?」

 青浜さんは小首を傾げて、ストローでイチゴ牛乳を美味しそうに飲む。


ジュジュゥゥ~~

 お好み焼きはいつの間にか、油が焼ける匂いから、生地が焼ける良い匂いに変わっていた。


 匂いで空腹を感じ、それを誤魔化すために、僕はアイスコーヒーのグラスを掴む。


 そして、一口飲もうとグラスを口に近づける――


 「――おいおいっ、ミルクとガムシロ、入れないのかよっ!?」

 それを見た青浜さんが、目を見開いて声を上げた。


 僕がブラックのまま飲もうとしたことに、驚いている様子だ。


 「え? さっぱりしたのを少しだけ飲みたい気分だったから、このまま一口飲もうかと思って。ミルクとガムシロは、後で入れるつもりだけど……何か、変だった?」


 「ふっ、ふーーん。別に変ではないけどさ……」

 青浜さんが、曖昧《あいまい》に答える。


 (ははーん。コレは、もしかして……)

 僕の中で、閃《ひらめ》くものがあった。


 「あれ? もしかして青浜さん、ブラック飲めないの?」

 口元がニヤけそうになるのを堪え、平然と聞く。


 「……飲める。飲めるさ。余裕だね。ブラックなんぞ、毎朝飲んでるさ。やっぱり朝はブラックコーヒーだねっ」

 青浜さんは顰《しか》めっ面でいいねっ! と親指を立てた。


 「あたしもコーヒーを頼めば良かったよ。残念」


 「なんか、凄く嫌そうな顔をしてるけど?」

 顰《しか》めっ面を指摘する。


 「してない。そう見えるのは所謂《いわゆる》、思想の違いによる認識の齟齬《そご》だ」


 どこから仕入れた言葉か知らないが、妙に取って付けたような、反論が返ってきた。


 こんな微妙な意地を張られると、好きな子にちょっと意地悪したい男心が、擡《もた》げる。


 「じゃあさ、まだ口を付けてないから、良かったらコレ、飲んでよ」

コトン

 笑顔で青浜さんの前に、ブラックコーヒーを置く。


 「うぐっ!? ……おう……それはどうも、ごっつぁんです……」

 青浜さんは、明らかに狼狽《うろた》えつつそう言って、まじまじとコーヒーを観察する。


 「ささっ、遠慮しないで、どうぞどうぞ」

 笑顔で勧める。


 「おう」

 青浜さんは短く答えると不承不承《ふしょうぶしょう》で、まるで[げっ歯類(リス)]のように両手でグラスを掴んで、口のそばまで持ち上げる……


 「………………」

 が、いつまでも飲まずに、口をアヒル口にして[もにょもにょ]と動かし、苦そうな顔をする。


 「……あ、あたし、ブラックは朝だけなんだ。夕飯には、ブラックは合わないんだぜっ! 知ってたか? 坊や」

コトン

 そう言って、グラスをテーブルに戻した。


 「なるほど、確かにそうかもねっ。じゃあ、コレを入れてあげるよ」

トクトク……

 そう答えて、ミルクを掴んで青浜さんの手元にあるグラスに注ぐ。


 「これも」

トクトク……

 さらにガムシロップも注ぐ。


カランカラン

 ストローでかき回して


 「はい、どうぞ」

 笑顔で勧める。


 「うむ……」

 青浜さんはそう答えるが、今度はグラスを持とうともしない。


 そして、口をアヒル口にして[もにょもにょ]と動かし、苦そうな顔をする。


 「……あたし通《つう》だから、冷たいコーヒーは[水浸(みずびた)しコーヒー]じゃないと飲まないんだ。アイスコーヒーはNGだ」

コトン

 そう言って、飲まずにコーヒーをこちらに返してきた。


 「……[水浸(みずびた)しコーヒー]じゃなくて[水出(みずだ)しコーヒー]でしょ?」


 「ああ、そうともゆーな。これは哲学の違いによる認識の齟齬《そご》だな。……さーて。そろそろ焼けたかなっ?」

シュタ

 青浜さんが強引に、閑話休題《かんわきゅうだい》してヘラを掴む。


 「なるほどー、青浜さんはブラックどころか、コーヒー自体が苦手なのねー」

 ちょっと微笑ましい。


 なので僕は、クマぽっちゃんを手に取り


 「ぷくぷく。ナツネはおこちゃまだねっ」

 懐かしいキャラの口調を、真似てからかった。


 「あんだとぅ~!? 駆除するぞ害獣っ」

 青浜さんは、とたんに顔を赤くして、クマぽっちゃんにヘラを突きつける。


 「大体、そんな黒くて苦い[豆汁(まめじる)]の何(あに)が美味しいんだよっ。ばーか。ばーか」

 可愛く罵倒《ばとう》してきた。


 「いや、[豆汁(まめじる)]って……」

 本当に、コーヒーが苦手だったらしい。


 こんな些細《ささい》な意地を張るなんて、本当に可愛いなぁ……


 ――ちなみに、日本のコーヒー通を自称する人たちは、日本のアイスコーヒーは不味くて、海外で一般的な[水出しコーヒー]が美味しいと言う。


 で、逆に、外国のコーヒー通を自称する人たちは[水出しコーヒー]は香りが少なくて不味く、日本のアイスコーヒーこそ、香りが良くて美味しいと言うのだ。


 なんとも、五十歩百歩で辿り着く隣の芝で団栗《どんぐり》の背比べをする裸の王様の耳はロバーとデニーロ、だね。


 自称[通人]以外から見れば、所詮《しょせん》はたかが[豆汁(まめじる)]なのにね――


 「がるるぅ」

 青浜さんは未だに、ヘラを構えてクマぽっちゃんを威嚇《いかく》し続けている。


 「まあまあ。それよりほら、焼けたっぽいよ?」


第31章「総統とイタリア怪人が愛した杜若《かきつばた》」

終了まで、あと4話



―――――――――――――――――――――――――

10月23日(金曜日)は投稿出来ず、すみませんでしたっ 

m(_ _)m

「なろう認証騒動」の中、作者がなんとかログイン出来たのは、深夜の2時半で、どうにもなりませんでした。


今は、どうやって「なろう運営」に、「駄目な脳によく効くツナ缶」を食べてもらえるか、検討中ですっ☆

てへ♡

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