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新江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜  作者: 綿野草空希


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2.7 遥か国神の島7

 [Dr.headland]とプレートに書かれた、個人研究室のドアの前にたどり着く。


 もちろん、この場所は以前からボンヤリとは知っていたが、部屋に入ったことは一度もない。


 緊張しつつ、控えめにノックをする。


コンコン……


 「あのぅ~、戦闘員8712号で~す、シマァ~~……」


 ドアに向かって、恐る恐る声をかける。


 「ああ、入れ。」


プシュー……


 中から女性の声が聞こえ、プシューと音を立てて自動でドアが開いた。


 途端にモアッと、煙草の煙と臭いが僕を襲った。


 (うわぁ、そうだった。Dr.ヘッドランドはヘビースモーカーだった……)


 薄暗く煙でかすむ室内を覗く。


 と、そこは科学の魔窟と呼びたくなる惨事だった。


 不可思議な機械や装置、計器類に、奇妙な標本が乱雑に置かれて、軽く狂った迷路を形成していた。


 「何してる? さっさと入れ」


 奥から声が聞こえるが、姿が見えない。


 「あのぅ、この煙でかすむ迷路に入るのですか?……プチ遭難とか、しません?」


 山の天気は変わり易い。


 霧が出たら、遭難する前に下山するものだ。

 

 「チッ、何か面倒な奴だなぁ……」


カチッ! ブォォーーー……


 声の後、カチッと何かのスイッチ音が聞こえて、室内にブォーと風が吹く。


 途端に煙が晴れた。


 「これで良いだろ? 後は一本道だから道なりに進め……と、いうか、この部屋はそこまで広くない。すぐ近くだ」


 よく見ると機械類の裏で、女性の手が[こちらに来い]といった感じで、ヒラヒラと揺れていた。


 本当に近いようだ。


 「しっ失礼します~……」


 ちょっとホッとして部屋に入り、機械の間を通る……


 時々、お腹が当たって四苦八苦しながも、なんとか間を抜ける。


 抜けた先には、少しだけ片付いた、四畳半程度の開けたスペースがあった。


 その最奥の机の前で、白衣を着た女幹部[Dr.ヘッドランド]が、椅子に座って煙草を吹かしていた。


 ヨレヨレの白衣をだらしなく着こなして、幹部用のアイマスクを装着している。


 顔はマスクで分からないが、声の感じやボサボサではないが無造作に伸ばされた長い黒髪の様子から、おそらく二十代後半の女性だと、僕は推測している。


 「ようやく来たか……って、おいおい、結構太った奴だったんだなぁ……」


 僕を見て、軽く驚きの声を出す。


 「まっ、いいか……目出し帽とアイマスクを外して、タイツを開いて、上半身裸でそこに寝ろ」


 Dr.ヘッドランドは、診察台のような狭いベットを指し示した。


 「あのぅ、健康診断で、なにか異常でも見つかりましたか?」


 ベットに腰掛ながら聞く。


 「ん?……あぁ、まあ、そんなところだな。ほれっ、さっさと外して寝ろっ」


 「チンタラしてると、無意味に光合成が出来る体に改造手術をするぞっ」


 「シマァーーーー!!」


 そんな特技は欲しくないので、慌てて従う。


 アイマスク、目出し帽と外し、タイツのチャックを開いて、上半身裸で寝転がる。


 視力を矯正してくれるアイマスクがないので、とたんに視界がぼやける。


 「お前……口元にケチャップ? がついてるぞ……」


 上から覗き込んだDr.ヘッドランドが、呆れた声を上げる。


 「えっ!? ……えへへっ……その、ナポリタンが好物でして……あ、でも、これはトマトソースなんですけどね」


 慌てて手で口元を拭って、照れ笑いを浮かべる。


 恥ずかしい……


 「んな事はどっちでもいい。けど、強化目出し帽も汚れているだろうから、今度洗濯しとけよ?」


 「……って、それこそ、どーでもいいわっ! さっさと始めるとしようっ」


 なんか、一人でのり突っ込み解決を果たしたDr.ヘッドランドは、ベットの頭側に付随した端末を覗き込んで、ポポンっとキーボードを叩いた。


シュシュン! シュシュン! シュシュン! シュシュン!


 するとベットから金属ベルトが四本伸びて、僕の体をガッチリと拘束してしまった。

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