↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【イタ☆恋!】新・江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜☆現代ラブコメ・ファンタジー☆  作者: 綿野草空希
27 湘南防衛機構サンシャイン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
115/162

27.5 潮風のエトランゼ5 〜夏音Side〜


 「何かあった?」

ててててて

 撫子ちゃんがそう言って、傍まで歩いて来た。


 「あっ、聞いてよ撫子ちゃんっ! さっきの奴がピュア――」

 あたしは撫子ちゃんに説明する途中、近くに阿呆の大和がいることを、思い出した。


 「えっと……ちょっとあの関係のトラブルでさ……」

 と、慌てて言葉を濁した。


ちらり

 そして阿呆の大和を横目で見つつ、撫子ちゃんに――


 「――阿呆に聞かれたらまずいから、今度説明するね――」

 と、小声で伝えた。 すると、


 「HEY! 夏音っ! もしかして[あの関係]ってことは、今日は[あの日]ってことなのかなっ!?」

ぬたたたたたっ

 玄関前に立っていた阿呆の大和が、キモく歩き寄ってくる。


 「それで、そんなに不機嫌なのかっ? 大変だなっ」

 最低の阿呆が、鼻を膨らませた百万ドルの笑顔で、話しかけてきた。


 「まあ、[あの日]が重くて大変でも、初潮もまだの無乳撫子に比べれば、[あの日]が来るだけマシってもんだなっ!! Hahahahahaーーーーー!!」

 そして[いいねっ!]と親指を立てて、大和が馬鹿笑いをした


 ……さすがは、モテないイケメンだ。


 笑いにしてはいけないことを、平気でネタにする。


 そこに怒れる、殺気立つ。


 (万死に値するな。よし、殺(や)ろう)

ダンッ

 成敗するために、あたしが一歩踏み出す。 と、その前に――


ヒュ!

 「おらあぁっ!!」

ブンッ!


 瞬間、撫子ちゃんの踵落としが、阿呆の脳天に向けて、夜空を両断した。


ぬひょい……

 しかし、怪人も避けられないような神速の踵落としを、阿呆の大和は、軽々とかわした。


 「らあぁっ!!」

 それでも撫子ちゃんは、初撃を避けられたことを気にせず、そのままハイキックや首刈りキックの連撃へと、移行する。


ピュン! ブンッ! ブンッ! シュンッ! ブンッ! ……

 ホットパンツから伸びた長い足が、潮の匂いがする腰越の空気を、切り裂き続ける。


ヒョイ ひょい ぬひょい

 でも大和は、この殺気を孕んだ驚異的な連撃を、ぬるぬると避け続けた。


ぬひょい ひょい ひょろろぃ

 「いや、撫子は無乳のオスだから、永遠に生理は来ないかなっ!? Hahahahahaーーーーー!!」

 しかも、避けながら、馬鹿笑いまでした。


 一応断っておくが、撫子ちゃんは極端に胸が薄いといっても女性――


 それも手足の長い、スレンダー体型のハーフで、かなりの美人だ。


ヌスルスルスル……ガチャリ

 「Hahahahahaーーーーー!!」

 大和は馬鹿笑いを続けながら後退し、蔵前家の玄関を開けた。


ヌルリ……パタン

 「Hahaha…………」

 阿保大和は、キモ素早く家に入り込み、消えた。


 「待てっ、コラらぁぁぁ!!」

ガチャン バタンッ!

 追いかける撫子ちゃんは、遠慮なく、蔵前家の玄関を乱暴に開けて、飛び込み、消えた……


シン……

 一転、腰越の路地に、静寂が訪れる。


カタン コトン……

 少し遠くで、こちらに向かって走って来る、江ノ電の音が聞こえた……


 あたしは結局、見てるだけになってしまった。


 「……なぁ、あの阿呆ってさぁ、もしかしてB.I.P.の怪人なんじゃないのかな?[オッパイ好き怪人クラマエン]とかさ……」

 思わず、桜花に向かって呟く。


 まぁ、そんな怪人、いないけどさ。


 あの男は、ちょっと色々、人間離れし過ぎている……主に脳が。


 「……うん、私も昔、そう思ったの。それで、おじいちゃんから[簡易型怪人探知機]を借りて、こっそり調べたのだけど――」


 「大和さんはただの変態……じゃなくて、ただの人だったよ」

 桜花がしみじみと、返事をした。


 「そっか。じゃあ、怪人じゃないなら、たぶん妖怪だな」

 てか、本気で調べるなよ? 桜花さん。


ドガダァーーーーン!!!!


ドサリ……


 玄関を、桜花と見るとはなく見ながら話していると、蔵前家から物凄い音がした。


 「……仕留めたみたいだな?」


 「……うん」


 「なあ、いつも最後は同じ結果になるのに、何(あん)であの阿呆は、ああして繰り返すのかな?」


 「えっと……それが阿呆の血のしからしむるところ……だからかな?」


 「あにそれ?」


 「狸さん家族の小説の台詞を、引用しました」


ガタン ゴトン ガタン ゴトン 

 江ノ電が、家の向こう側の表通りを、のんびりと走り抜ける。


 「――あっはっはっはっはっはっ、大和、生きてるかーー?」

 蔵前家から、翠さんが爆笑する声が聞こえて来た……


 阿呆のお陰で、白浪への怒りが、すっかり冷めてしまった。


 ……この後、蔵前家から一人出て来た撫子ちゃんに、白浪とのやり取りを軽く説明し、あたしと桜花は、龍巳家に戻って、夕飯を食べることにした……


 ちなみに、本日の決まり手は、ローリングソバットだったそうだ……


―――――

―――

―


 「いっただっきまーーーすっ!」

 茶の間に戻って、じっちゃん、おっちゃん、桜花とあたしで、ご飯を食べる。


 夕飯は、地下での話し合いの間に、おっちゃんが用意していたのだ。


 卓袱台に並んだメニューは、近くの腰越漁港で買ってきたアジフライ。


 地魚などの刺身。


 それに、おっちゃん謹製マカロニサラダ。


 ほうれん草と油揚げの、お味噌汁だった。


 江の島には漁港がないので、江の島で売られている海産物の多くは、腰越漁港の船が漁をして、獲ったものだ。


 つまり腰越漁港は、あの評判の江の島海産物が気軽に買える、最高の漁港なのだ。


(注。江の島で売られている海産物は、片瀬漁港産、腰越漁港産が多くを占めますが、相模湾の他の漁港や、隣の駿河湾からも、運ばれて来ています)


 まずあたしは、大好きなエビをおかずに、ご飯をかっ込んだ。


 LOVE甲殻類。


 「夏坊、おかわり、どうだ?」


 「サンキュー、おっちゃん」

 おっちゃんに、空の茶碗を渡す。


第27章「湘南防衛機構サンシャイン」

終了まで、あと4話



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。