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【イタ☆恋!】新・江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜☆現代ラブコメ・ファンタジー☆  作者: 綿野草空希
27 湘南防衛機構サンシャイン

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27.4 潮風のエトランゼ4 〜夏音Side〜


 「……ふう。分かりました。話の通じない親族以外の部外者もおりますし、この話は日を改めるとして、本日はもう辞去《じきょ》致しましょう」


 「元々、戦勝のご挨拶だけのつもりでしたしね」

 ようやく折れたのか、発光眼鏡が立ち上がった。


 結局、こいつはお茶も和菓子も、一切手をつけなかったな……


 「ん……そうか。よっこいせ。……久しぶりじゃったのに、何かすまんかったのう……」

 じっちゃんは白浪を止めずに、自身も立ち上がる。


すっ

 桜花も黙って立ち上がる。


 「いえ、お気になさらずに」

ツカツカ

 そう言って白浪が、さっさと階段に向かう。


 「桜花君、また連絡します。戦闘ではどうか、お体に気をつけて下さい」

くいっ

 桜花を見て発光眼鏡を直すと、そう言って階段を上り始めた。


 「ああ、それと、菊人《あきと》がなにか桜花君に迷惑をかけたら、必ず私に伝えて下さい。きつくお灸を据《す》えますので」

ピタッ

 白浪が足を止めて言った。


 「あ、はい。大丈夫です。今年の入学時に少し言葉を交わしたきりで、その後は、学年が違うので、顔さえ合わす機会もなく……」

 桜花が苦笑いを浮かべて答える。


 「おおっ、菊人《あきと》君なっ。随分《ずいぶん》と見ておらぬが、息災にしておるかのぅ?」

 じっちゃんがニッコリ笑って聞く。


 「はあ。元気ではありますが……あの愚弟《ぐてい》はどうも、元気を向かわせる方向が、間違っておりまして……」

 白浪が言い淀み、眼鏡を曇らせた。


 「ふむ。まあ、若い頃はハメを外したくもなるじゃろ。そのうち、落ち着くわい」


 「そう願いますが……」

 白浪が呟いて、また歩き出した。


 その後ろを桜花、じっちゃん、あたしと続いて行く。


 (菊人《あきと》? 愚弟(ぐてー)? それに入学時? ……白浪の弟でも、ウチの学校にいるのか?……まあ、どーでも良いけど)


 どうせそいつも腹の立つ、嫌な発光眼鏡男なのだろう。


 白浪は本当に、嫌な奴だ。


 もう、変身してあの眼鏡をパリンと割ってやりたいところだが、生憎、スマホは学校に忘れてきて、手元にない。


 ピュア・シャイニングの変身はスマホがなくても、中央作戦司令室隣にある変身カプセルで行える。


  が、眼鏡を割るためにそこに入って変身するとは言えないし、なにより秘密アプリ(ドラゴニック・アクセレレーター)の入ったスマホを忘れたと言ったら、桜花に怒られるので、駄目だ。


 二人が玄関まで、白浪を送る。


 あたしも何となく、その後ろについていった。


 「それでは、失礼致します」

 白浪がじっちゃんに頭を下げる。


ガラガラガラ

 背中を向けて、玄関を開ける。


ささっ

 と、桜花がサンダルを突っかけて、見送りに立とうとした――


 「――それから、戦闘員の君っ」

 白浪は背中を向けたまま、あたしに呼びかけた。


 「これ以上、戦闘で身勝手に振舞って、桜花君の足を引っ張るのは止めたまえ。非常に迷惑だ」

ギラリ

 横顔にかかった、縁無し眼鏡が光る。


 「昨晩は君の浅慮《せんりょ》な行動の積み重ねが、最後、桜花君への触手怪人の[卑猥な攻撃]に繋がったのだっ」

 白浪は、怒りのこもった声でそう言い、玄関の外に踏み出す。


 「君のようなガサツな輩《やから》には、あのような下品な戦いが好みだろうが、桜花君は、君とは違うのだよっ」


 「下らない[卑猥な行為]がしたいのなら、即刻ピュア・シャイニングを辞めて、下品な繁華街にでも繰り出したら如何《いかが》かね?」

くいっ


 「持ち前の猪突猛進《ちょとつもうしん》ぶりを発揮してね。猪女《いのししおんな》君」

ツカツカツカ

 そう吐き捨てて、行ってしまう。


ブチッ!!

 「なっ!? あっ、何《あん》だとおぉおぉ!? コのぉ、発光眼鏡があぁっ!!」

 あたしは瞬間的にブチ切れて、背中に怒鳴りつける。


 この身も心も純真純潔な乙女に対して、なんたる暴言だろうっ!!


 脳内の害獣も[猪ではなく熊だっ。ぷくっ!]と、キレて爪を尖らした。


 「はっ、遥さんっ! それは違いますっ!!」

 さすがに桜花が、怒気を含んだ声を上げた。


ツカツカツカ

 しかし発光眼鏡は、振り向きもせずに、路地を歩き出している。


 「桜花っ、塩撒けっ! 塩をっ!」

ダダダダダダッ

 あたしはそう言って靴も履かずに、玄関を飛び出すっ。


 そして、夜道を歩く発光眼鏡の背中に、昭和頑固親父風の台詞を叫んだっ。


 「眼鏡なんて飾りだっ! 偉い人には分からんのだっ!」

ビシリ

 親指を下に向けるポーズも決める。


すたたっ

 スリッパの桜花も飛び出して、あたしの横に並んだ。


ツカツカツカ……

 発光眼鏡は、全く歩調を変えず、歩き続け、去っていく。


 「うちの桜花は嫁にやらんぞっ! コンタクトに変えて、明後日来やがれっ、バカヤローーーーー!!」


 バカヤローーーー

 バカヤローー

 バカヤ……


 あたしの声が、腰越の路地に木霊する。


 あたしの見事な昭和頑固親父風の台詞にも、一切反応することなく、白浪の背中は闇の中に消えていった……






 「…………どしたの?」

 発光眼鏡の姿が溶けた暗闇を睨みつけていると、ふいに声をかけられた。


ぱっ

 声に反応して、顔を向ける――


 と、お隣の玄関前に、幼馴染のお姉ちゃん、本所撫子ちゃんと、腰越一の阿呆、蔵前大和が一緒に立っていた。


 撫子ちゃんは、キョトンとした顔でこっちを見ていた。


 「何かあった?」

ててててて

 撫子ちゃんがそう言って、傍まで歩いて来た……


第27章「湘南防衛機構サンシャイン」

終了まで、あと5話


☆本編のスピンオフ作品が完結してますっ☆


完結【1分コメディ】江の島裏通り

〜アレな高校生と悪と正義の不毛な日常〜

☆1st.Season☆

https://ncode.syosetu.com/n7667mm/


 未読の方は、是非、どうぞっ!

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