↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【イタ☆恋!】新・江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜☆現代ラブコメ・ファンタジー☆  作者: 綿野草空希
25 あじさい咲く渡り廊下

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
105/162

25.3 シュラバ☆ダ☆バンバ3 SHULABA-DA-BAMBA3


ぶんっ!

 磐田君は話を聞く素振りさえ見せず、いきなり殴りかかってくる。


 (え? 一方的に怒鳴って問答無用で殴るの? 話し合いは無し?)

 この子は猿なのか?


ひょい……

 戸惑いつつも、軽く避ける。


 ピュア・シャイニングの圧倒的なスピードに比べたら、あまりにもスローだ。


 「チッ!」

ぶんっ! ぶんっ! 


 奇襲の一発目を空振りした磐田君が、さらに拳を振り回す。


ひょい・ひょい

 それを、軽く避ける。


 B.I.P.の親衛隊の技のキレに比べると、あまりにも稚拙《ちせつ》なパンチだった。


ぶんっ!

ひょい


 (あのぅ、殴る前に、いちいち[振りかぶって]拳を後ろに引くから、出所が丸見えだよ?)

 これでは、当たる方がむずかしい。


 アルバイト戦闘員時代でも、当然、戦闘訓練はやった。


 その際、まず[パンチは振りかぶるな]と教えられる。


 パンチは[振りかぶる]と、相手に軌道を読まれるし、なにより、無駄に力を分散させて、威力が弱まるのだ。


 パンチは構えた状態から、自然に[肩を入れる]ように振る。


 これが、基本だ。


ぶんっ!

ひょい


 それでも磐田君は、しつこく空振りを続ける。

 

 (まいったなぁ……これでは説得出来ないよ……)

 いっそ、殴り返した方が、早いかな?


 彼なら、触手を使うまでもなく、倒せるだろう。


 チラリと女子二人を見る。


 芹園さんは、突然の暴力に怯えてしゃがみ込み、手で目を覆《おお》って固まっている。


ウロウロ・ウロウロ

 一方、青浜さんは石化が解除されて、一人戸惑い、その場で右往左往していた。


 (青浜さんは、別に芹園さんの友達でもないのに、飛び出すなんて凄いよなぁ……)

 無茶なことは、しないで欲しいと思う。


 でも、こんな人だから、好きになったんだよなぁ、とも思った。


ぶおんんっ!

 磐田君の超大振りのスローパンチが、僕の米噛み(こめかみ)を狙って飛んでくる。


 (だから、当たらないって……)


ひょい……

 僕は無意識に、頭を下げて避けた……


ニヤ

 その時、磐田君の口元が吊り上がった。


ガシッ!

 突然、頭に衝撃が走り、頭皮に痛みを感じた。


 「えっ!?」

 僕は何が起きたのか、理解出来ない。


ぐいんっ!

 すかさず、今度は強制的に頭を下げられ、まるでお辞儀をするような体勢にさせられた。


 (!? コレって、僕は髪の毛を、掴《つか》まれているのかっ!?)

 ようやく、理解する。


 磐田君は、あの超大振りパンチの後、そのまま、僕の髪の毛を掴《つか》んだのだ。


 (いや、違うっ! 最初からコレが、狙いだったんだっ!)

 これはある意味、僕が昨日やった偽拳に似た手法だ。


 大振りパンチはブラフで、本命は空振りからの、髪掴みだったのだ。


ぐっぐっ!

 慌てて、頭を上げようとする。


 が、上から強く押さえつけられて、腰が曲がった状態では、想像以上に、力が入らなかった。


ぐっぐっ!

 引いて逃れようとしても、しっかりと髪を掴んでるせいで、頭皮に激痛が走り、ままならない。


 「へっ!! そのスカした顔を滅茶苦茶にしてやんよっ!!」


グンッ!

 突然、下から磐田君の膝《ひざ》が、僕の顔面に向かって、せり上がって来た。


 (ていっ)

 手で、膝《ひざ》を弾く。


 が、


ゴツ……

 鈍い音がして、顔に衝撃が走る。


 (痛て)

 顔面に膝蹴りを、喰らったようだ。


 向こうも体勢が不安定のせいか、膝蹴り自体に大した威力はない。


 が、同時に上から手で押し込む動作をするので、喰らってしまうのだ。


シュン……

 治癒能力が働き、痛みが消える。


 (こいつ、慣れてるな。ヤンキーくんって、卑怯な技を思いつくもんだね)


 治癒能力がある僕には、大した問題ではないのだが、一般的に、この体勢を続けるのは、とても不利なことに気がついた。


 (格闘技とかで、髪を掴むのが禁止されている理由が、良く分かったよ)

 しっかりと髪を掴まれると、掴まれた側にどれほど力があっても、満足に動けなくなるのだ。


 この不利な体勢に追い込まれると、有効な反撃も出来なくなる。


 つまり互いの能力の優劣に関係なく、ただ掴んだ方が有利となってしまうのだ。


グンッ!

 また、膝蹴りが来る。


バシッ!

 今度は力強くガードして、難を逃れる。


 「へへっ!」

 磐田君が、余裕の笑いを漏らす。


グンッ!

バシッ!


グンッ!

バシッ!


 ガードしても、執拗《しつよう》に顔面膝蹴(ひざげ)りを狙ってくる。


 僕はガードする以外に、コレといった反撃が出来ない。


 「へへへっ! おらぁぁ!」

 磐田君は圧倒的な有利を確信して、嬲《なぶ》るように蹴ってくる。


 (成る程ねぇ。確かにコレなら、ヘッポコヤンキーでも喧嘩に勝てるよねぇ)

 まあ、相手がナイフでも持っていたら、下からお腹を刺されて、一巻の終わりだが。


 腰の曲がった状態で、腹部に向けて拳を振っても、有効打にはならない。


 が、力を必要としない凶器なら、致命傷を与えるには、うってつけの体勢だ。


 卑怯な手は、さらに卑怯な手によって敗れる。


 [なんでもあり]の戦い方を選んだのなら、自身も[なんでもあり]の反撃に遭う覚悟をするべきだ。


 (さて。じゃあ、悪の組織の怪人らしく、卑怯な反撃でもしましょうかね)

 お猿(磐田君)を倒すことにした。


 (女子二人に、触手を目撃されると困るからね)

 無限触手《インフィニティ》の使用は止めて、右手の指触手を隠して伸ばし、偽拳を作り上げる。


グンッ!

 その間、また膝蹴りが来る。


バシッ!

 右手の偽拳は使わず、左手一本で膝を払う……


カツンッ! ガラッ・ガガ……

 瞬間、音を立てて、何かが渡り廊下のコンクリートに転がった。


 「あああっ!」

 音に目を向けて確認すると、それは僕のスマホだった。


 どうも無理に腰を曲げた姿勢を続けたせいで、ズボンのポケットに入れていたスマホが、転がり出てしまったようだ。


 「おほっ!? 良い物発見っ!」

 お猿(磐田君)が膝蹴りを止めて、嬉しそうな声を上げた。


(なんだ? スマホを奪う気か?)

 そう思っていると……


 「おらあぁぁ!!!」

バキッ!!

 お猿(磐田君)は、躊躇《ちゅうちょ》なく、汚い上履きでスマホを踏みつけた。


 「あああああああああっーーーー!!」

 何と、スマホの画面が割れてしまった。


 「何すんだよっ! この旧式量産型ヤンキーっ!」

 一気に怒りが沸騰して、怒声を上げる。


 「何だとっ!? キモオタクっ!! 舐めた口利くんじゃねぇよっ!!」

 見事な逆切れを返してきた。


バキッ!! バキッ!! バキッ!!


 「てめぇ、オタクのくせに、調子乗りすぎなんだよっ!!」

 猿はそのまま、何度も踏みつける。


 スマホは、一目で修理が出来ないと分かるほどに、粉砕されていく……


 「シューートッ! ってなっ!」

カンッ!

 猿は、最後のトドメとばかりに、渡り廊下の外へ、スマホを蹴り出した。


バシャン……

 よく見えないけど、スマホは水溜りに、落ちたようだ……


 「………………………………」


 …………もう彼には、一切の躊躇《ちゅうちょ》をするのも、馬鹿馬鹿しい。


とんっ……

 旧式量産型のお猿(磐田君)のお腹に、右手の偽拳をそっと添《そ》わす。


 さらに怒りに任せて、素早く左手も偽拳を作って、こちらもお腹に添《そ》わす。


 治癒能力があるので、ガードなんて、どうでもいい。


 (指触手はパワー不足だしね、手加減なしの、全力でいかせてもらうよ)

 大怪我したら……まあ、その時はその時だ。


 悪の怪人の僕が、そんなことを気にする訳もない。


 ゼロ距離から、磐田君の背中へ偽拳を突き抜けるイメージで……


 伸ばすっ!!

ズドドンッ!


 「がはっごぶっ!?!?」

フッ……

 磐田君の呻《うめ》き声が聞こえて、髪の毛を掴む力が、緩んだ。


 「おんりゃあああぁぁぁーーーー!!」

 と、同時に、なぜか気合の入った青浜さんの声が、耳に届いた……

第25章「あじさい咲く渡り廊下」

終了まで、あと2話



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。