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【イタ☆恋!】新・江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜☆現代ラブコメ・ファンタジー☆  作者: 綿野草空希
25 あじさい咲く渡り廊下

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25.2 シュラバ☆ダ☆バンバ2 SHULABA-DA-BAMBA2


 「――なあ、都子っ、何で急にデートはキャンセルなんだよっ!? 理由は何なんだよっ?」


 「――別に何でもいいでしょ! それと名前、呼び捨てにしないでくれない? わたし達、別に付き合っている訳でもないんだからっ」


 (うわぁ~、結構、強い調子で言い合っているなぁ。痴話(ちわ)喧嘩だろうか? でも今、付き合っていないと、聞こえたよな?)

 気になり、つい耳を澄《す》ましてしまう。


 「――何でだよ? この前までかなり乗り気だったじゃんよっ? お前、絶対に俺に気があるよなっ!? なぁ? なぁ! 都子っ!」


 (うわぁぁ、自分で聞くかぁ、それ?)

 何だろう? この旧式ヤンキー君は。


 イタすぎるぞ。


 「――はあぁ? 気なんて初めからないわよっ。気持ち悪いっ」

 芹園さんが、甲高い声で全否定する。


 「――あんたとはもう、どこにも行く気はないからっ! 今後、一切誘わないでくれるっ!?」


 「――なっ!? 気持ち悪いってなんだよっ!!! ふざけんなっ!!」


 「――ちょっとっ、大声出さないでよっ!? とにかくっ、嫌なものは嫌なのっ! ホント、しつこいわねっ! 最っ低っ」


 (あー、完全にキレてきたなぁ。芹園さんは良くも悪くも、自分の気持ちに真っ直ぐな人だから、他人に説得されても気持ちを変えたりはしないのに……)

 お馬鹿なヤンキー君だなぁ。


 「――都子っ、もしかして、あいつかっ!? あのキモ里が原因なんじゃねぇのかっ!? なぁ? なぁ! そうだろっ!?」


 (えっ!?)

 突然、数日前まで呼ばれていた、不本意な渾名《あだな》を聞いて、驚き戸惑う。


そぉっ……

 思わず顔を出して、覗き見る。


 二人は渡り廊下の中央付近の端、雨で濡れそうな柱の側にいた。


 旧式ヤンキー(磐田君)が正面から、芹園さんの細い肩を両手でガッチリと掴んで、迫っていた。


 「――ちょっ!? 痛いっ! 嫌っ! 放してよっ!」

 芹園さんは嫌がって、振り払おうとする。


 が、学業放棄と暴力を生業とするヤンキー君には、まるで歯が立たない。


 「――お前が学食でっ、キモ里とイチャついてたって、聞いたぞっ!」


 「――別にっ、あんたには関係ないでしょっ! それと、由比里君をキモ里なんて呼ばないでよっ! 腹立つわねっ」


 「――くそっ! その反応っ、やっぱりキモ里との浮気が原因かよっ!」


 「――はあぁぁ!? 浮気ぃぃ!? 彼氏気取りは、止めてよっ!」

 芹園さんの整った目が、吊り上る。


 「――何よっ! あんたの方が、何百倍もキモいわよっ! このキモ磐っ!」


 「――うっせえぇぇ!」

 旧式ヤンキー(磐田君)は、そう言いながらも、強引に両腕で抱き締める。


 芹園さんは腕の中で、必死に暴れる。


 「――なあっ、考え直せよ? 俺の方が全然イケてるだろ? あんな女みたいな情け無い顔したヤツより、俺の方がぜってーいいってっ。なっ?」

 一転して、猫なで声で、説得し始める。


 「――俺の女になれば、ガッコーで凄げぇ、幅利かせられるからよぉ、なっ?」


 「――放してっ!!」

 それでも芹園さんは、嫌だと暴れる。


ぐいいっ

 磐田君は芹園さんの背中を、強引に柱に押し付ける。


ススッ

 業を煮やしたのか? それとも抱き締めて発情したのか? どちらか知らないが、旧式ヤンキー(磐田君)は、自身の顔を、芹園さんの顔に近づけた……


 「――――!!」

ぱちんっ!

 芹園さんが、磐田君をビンタした。


 「――――!!」

 その目尻には、大粒の涙が溜まっているのが、ハッキリと見えた。


 (ぐっ!!)

 芹園さんの性格はアレだが、その表情を見た瞬間、僕は胸が締めつけられる思いがした。


 「――ぃて。…………このっくそ女っ!!」

 磐田君は一瞬呆けた後、大した痛みはないはずなのに、激昂《げっこう》して怒鳴った。


 おそらく、痛みよりも、恥をかいたことに、キレたのだろう。


ドンッ!

 芹園さんを乱暴に柱に押しつけ直し、大きく腕を振り上げたっ。


 (駄目だっ! これ以上はさすがに、見すごす訳にはいかないっ!)

ポイッ

 持ってた鞄を、ドアの裏に放り出す。


 「そこまでだっ! 旧式量産型、勘違いヤンキーくんっ!」

ババーーン!

 気がつくと僕は叫び、渡り廊下に飛び出していた。


ババッ!?

 磐田君と芹園さんが、弾かれたようにこちらを見た。


 「あ……」

 だが僕は、磐田君と芹園さんよりさらに遠く、向こう側にいる人と、バッチリ目が合ってしまった。


 (え? 何で、青浜さんが?)

ババーーン!

 目が合ったのは、僕と全く同じタイミングで渡り廊下の反対側のドアから、スカートをババンと翻《ひるがえ》して飛び出した、青浜さんだった。


ババーーン……

 手にカラフルな折り畳み傘を握った青浜さんは、僕を見つめてババンのポーズのまま、石のように固まっている。


 (もしかして、女の子なのに、一人で止めに入ろうとしたの?)

 何という勇気というか、無謀というか、青浜さんらしいというか……


 磐田君と芹園さんは、自分たちの背後に現れた青浜さんには、気がついてはいない。


 磐田君と芹園さん、そして青浜さんの三人の目が、一斉に僕に向けられている……


 「キモ里っ! てめぇ!」

 最初に反応を見せ、動いたのは磐田君だった。


 振り上げた手を下ろして、乱暴に芹園さんを突き放す。


 「何か用かっ、コラァ!!」

 阿呆の子のように、顔に皺を寄せて、上目遣いで睨《にら》んでくる。


 「ええと、あの、暴……」

 ババーーン……と、石化中の青浜さんを気にしつつ、返事をしようとするが、


 「てめぇキモ里っ! なに調子くれてんだよっ! ああんっ!?」

 磐田君は、聞く耳を持たずに怒鳴る。


 そして、芹園さんを放置し、顔に皺を寄せて、ヨタヨタとこちらに向かって来た。


 (ああ、コレは[ガン]ってヤツなのか。凄く変な顔になっているけどいいの? 磐田君)

 確かに少し怖い。


 けど、そこはかと無く、滑稽《こっけい》だ。


 ある種、ゆるキャラ的な可愛さすら感じた。


 (だってさ、僕、一年近くB.I.P.に所属して、昨日なんかは死線をくぐったんだよ?)

 昨日の今日で対峙するのが、ただのヤンキーではねぇ……


ババーーン……

 僕は目の前の磐田君より、反対側のドアで未だにカッチリと固まっている、青浜さんが気になって仕方がない。


 (いかんいかん、今はとりあえず、もう芹園さんに暴力を振るわないように、説得しなくては)


 チラリと芹園さんを見ると、彼女は青ざめた顔で柱に寄りかかりながら、こちらを見て震えていた。


 磐田君が1メートル近くまで迫って来た。


 「あのね、磐田君。芹園さんも嫌がって……」


 「くそザコがっ! 何スカした顔して、カッコつけてんだよっ!! いい気になんじゃねぇよっ!!」


ぶんっ!

 磐田君は話を聞く素振りさえ見せず、いきなり殴りかかってきた……

第25章「あじさい咲く渡り廊下」

終了まで、あと3話


【予告】

 いよいよ、1度目の学園バトル勃発!


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