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新江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜  作者: 綿野草空希


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2.3 遥か国神の島3

 参戦しない代わりに、アルバイト戦闘員には別に大事な仕事がある。


 それは戦闘前と戦闘後に行われる、新規BIP協力者を募るビラ配りである。


 BIPには一般人の協力会員……平たく表現すればファンやサポーターと言ったところだろう……が、いる。


 彼ら会員からの会費や寄付金、会員向けBIPオフィシャルグッズの購入など、さらに[びー愛ぴーちゃんねる]という動画配信、クラウドファンディングなどがBIPの大きな財源になっている。


 よってBIPとしては、協力会員を一人でも多く増やしたいのだ。


 もちろん、ネットなどで常時、会員を募集している。


 が、やはり実際の戦闘を間近で見てから、戦闘員に対面で勧誘されるのとでは、反応がまるで違ってくるらしい。


 なので僕らが行うビラ配りは、とても重要な仕事なのだ。


 ちなみに今日は戦闘が予定されていないので、仕事はビラ配りではなく、アジト内警戒待機という名の雑用となる。


 余談だが、僕らがビラ配りや数合わせの戦闘でアジトの外に出る際、アルバイト戦闘員はBIP内で一番メジャーな[岩屋洞穴の秘密通路]から出撃することになっている。


 その他にも出撃口はあるらしいが、僕らのような末端には、これ以外の出撃口は知らされてはいない。


 そう、江ノ島には[岩屋の洞穴の先は富士山まで繋がっている]との伝説が古くからあるが、実際に繋がっているのは、富士山ではなくBIPの地下アジトなのだ!


 [岩屋洞穴の秘密通路]……通称[岩屋出撃口]は、出撃時以外の平時ではBIPの超科学力による[五次元カモフラージュ]で厳重に隠匿いんとくされている。


 その状態になると、おおよそ、その位置が分かっているBIP関係者ですら、決して入り口を見つけることは出来ない。


 なので[敵]も、岩屋内に出撃口があることに気がついてはいるだろうが、進入はおろか、発見することすら叶わないだろう。


 [敵]……そう、BIPには敵がいる。


 悪の秘密結社が世界征服を目指せば、当然、それを阻止する正義の組織が現れるのが、世の常だ。


 BIPに敵対しているのは、こちらも老舗の組織[湘南防衛機構サンシャイン]。


 BIP設立から数年経った頃に、正義の天才マット・サイエンティスト少年によって設立されたとの話だ。


 以来、半世紀に渡り[湘南防衛機構サンシャイン]は、対BIP戦闘に[ピュア・シャイニング]と呼称こしょうされる魔法少女を送り込み、BIPの世界征服の野望を阻止し続けている。


 (注。時代によっては、シャイニングメンという男性戦士が現れ、活動することもあったが、ここ数十年は確認されていない)


 ピュア・シャイニングは当然、魔法[少女]なので、通常は数年で引退して、メンバーが入れ替わる。


 現在のピュア・シャイニングはピンクとブルーの二人組みだが、基本的に人数に決まりはないようで、一人の時もあれば3、4人の時もあるそうだ。


 ご当地アイドルが流行っていた十数年ほど前は、ピュア・シャイニングは最大で16人まで増殖したそうだ。


 が、そのメンバーは戦闘はカラっきしで、ほぼご当地アイドル活動に専念していたそうだ……


………………


 ……アルバイト開始の時刻の五分前になり、更衣室を出て警戒待機室に入る。


 するとそこで指揮官から、今日はこれから総統閣下による緊急の訓示があるので、謁見の間である紫宸殿ししんでんに向かうように指示を受けた。


 こんなことは初めてだ。


 第三十三予備戦闘員大隊所属の各中隊から、シフトで警戒待機に入った12名が、いつもの如く、急造の二個小隊(半個中隊)を形成して、中隊長に続いてさらに地下深くへ降りる。


 BIPのアジトは、江ノ島の地下に網の目のように広がっていて、この広大なアジトの全容は、僕ら末端のアルバイト戦闘員には、うかがい知ることは出来ない。


 瓢箪形の巨大なホール……紫宸殿(謁見の間)の下段に入る。


 紫宸殿は、鍾乳石の様な奇怪な形をした柱が立ち並び、名状しがたい角度のついた尖石が、無数に壁から生えている。


 そのどれもが、人には理解し難い法則に則り、不気味な文様を描き出していた。


 瓢箪の上の部分にあたる場所は、見上げるほど高くなっていて、総統閣下の巨大で禍々しい玉座が鎮座している。


 玉座はまだ腰掛部分だけがなにもなく、ポッカリと空いている。


 今日は戦闘がないために、巨大な紫宸殿には人影がなく、ガランとしていた。


 不思議なことだが、普段アジト内では、第一・第二戦闘員大隊所属の戦闘員を、見かけることは少ないのだ。


 アジト内の訓練施設で多少見かけるだけで、平時に彼らがどこで、どんな任務に就いているのかは分からない。


 なので戦闘のない日のアジトは、いつも閑散としているのだ。


 僕らが紫宸殿の下段の隅に整列を始めると、第一・第二戦闘員大隊所属の戦闘員が、隊列を作って入室してきた。


 「シマァーーーー!!」


 僕らは姿勢を正して、挨拶する。


 「シマァーーーー!!」


 第一・第二戦闘員大隊の戦闘員も、挨拶を返してきた。


 この時、互いに[シマァーーーー!!]の奇声だけで、瓢箪のポーズは取らなかった。


 瓢箪のポーズとは、威嚇や力の誇示などの示威行動なので、味方との挨拶では行わないのだ。


 第一・第二戦闘員大隊の戦闘員が下段に整列する……が、数が異常に少ない。


 第一・第二共に一個中隊程度の人数しか揃っておらず、総数は50人を割っていると思われる。


 (う~~~ん? 総統閣下の訓示があっても、緊急だとこの数しか集まらないのか? やっぱり普段はアジトの中にいないんだなぁ……)

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 押すと、作者がシマァー!と叫びます。

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