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<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- Another Episode  作者: 海道 左近


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85/88

SS『F』

(=ↀωↀ=)<今日はSSとなります

□【聖騎士】レイ・スターリング


 日本において、お盆シーズンに何があるか。

 まぁ普通ならば墓参りが筆頭に上がるだろう。

 だが、一部の人間はこう言う。

 『夏コミに決まってるでしょ』、と。

 身近な人間だと電遊研の同期にも一人、そのタイプがいた。夏ではなく冬だったが、売り子としてコミケに付き合わされもしたな。

 ……アイツ、電遊研の中だと唯一デンドロやってなさそうなんだよな。ソロゲーを作る側で、この前も新作出してたし。

 で、そこまで思い出してふと疑問に思った。


「そういえばデンドロって同人界隈どうなってるんだ?」


 こういうのに詳しそうなマリーに尋ねると、なぜか「あー」と呻いた後に答えてくれる。


「まぁ……MMORPGなのでプレイ日記系の漫画やレポの同人誌はそこそこありますね」


 図書館で見たデンドロ関連の出版物もレポート風だったな。


「そういえば、ふじのん達も何か描いてたよな?」

「……ええ、まぁ、はい。夏コミも出すつもりらしいですけど」


 それにあの三人はリアルで文芸部らしいからな。

 同人誌制作をしてても不思議はない。


「今度サークル名とか教えてもらおうかな」

「……レイさん、武士の情けって言葉もありますよ」


 なぜ情けの話に?


「……それはさておき、デンドロの同人は体験談を本にするタイプは多いんですね。けど、いわゆる二次創作的な薄い本は多くありません。元々少ないMMORPGジャンルの中でも少ない感じで」

「へぇ、何でだろうな」

「そりゃ、NPC(ティアン)とのイベントが軒並み再現性がないからですよ」

「あー……」


 そう言われて、納得する。


「……生きてる人間と変わらないもんな」

「はい。誰も追体験できませんし、話したことなくてどんなキャラクターか分からないって人も多い。ぶっちゃけ描いてもオリキャラ同人と大差ないです」

「……なるほど」


 普通のMMORPGならイベントや登場キャラ自体は概ね同じだが、デンドロはもう一つの世界なので千差万別の一期一会だ。

 二次創作同人誌は確かに描きにくいかもしれない。

 ていうかほぼナマモノ同人になるし、見方によっては身内ネタだ。


「何ならアバターメイキングで会う管理AIが一番普遍的ですらあります」

「言うこともそんなに変えてないらしいしな」


 デンドロにおいて、一番各人のイメージのすり合わせが出来ている存在かもしれない。

 ……チェシャのアクスタとか作って売ってる人もいるんだろうか。


「あとはまぁ、視覚もリアル・CG・アニメで異なりますし……」

「ああ、そういう仕様だっけ」


 ずっとリアル視覚だから逆に想像つかないんだよな。


「でも逆にそれを活かしてこっちでコスプレ衣装作り、リアル視覚で撮影してROM売る人とかもいますね」

「動画撮影したのをアウトプットしたりはできるもんな」


 ジーのときはそれで事件起こされて巻き込まれた。


「レイさんもよく動画を上げられてますよね」

「まぁな……」


 ジーの一件以外でも、これまでにいつの間にか撮られていた動画がネットに上がっている。

 以前同期達が言及していた悪魔喰らい動画などがそうだ。


「レイさんもすっかり有名プレイヤーですからねー。特にFって動画投稿者が頻繁に動画をアップしてましたよ」

「前に俺も見たことあるけど、そんなにか?」

「ええ。ギデオンの事件以降の主だった事件は大体動画がアップされてましたよ。皇国勢なんて戦争のときはそれで手の内を研究していたらしいですし」

「そこまで……?」


 どんだけ撮られてるんだよ……。

 ……いや待て、クランメンバーだってそこまでずっと俺と一緒には動いてないぞ。

 どこから撮ってたんだソイツ。


「……実はネメシスだったりするか?」

『いや、物理的に無理であろう』


 それはそうだ。

 じゃあ一体誰が…………あ。


 ◇◇◇


 □椋鳥玲二


「なぁ、Fってお前か?」


 その日の夜、ログアウトした俺は夕飯の席でフランチェスカ……フランクリンに問いかけた。


「……今さらデスか?」


 そして問われた当人は『え? まだ気づいてなかったの?』と困惑した様子で聞き返した。


「前にも『もしかして』とは思ってたけど、動画の本数考えたら他に候補いなくなった」


 頭文字だけでなく、これだけカバーできるのは改造モンスターで情報網築いてたフランクリンくらいだろう。


「そうデスね。元々は<UBM>を早期発見して素材集めするために皇国だけでなく周辺にも目になるモンスターを配してマシタ。けど、ギデオンの一件の後はアナタを重点的にチェックするようにした形デスね」

「うーん、王国の防諜ズタズタすぎる……」

「先代大賢者ありきのものが多過ぎて国中が機能不全デシタからね。それでもギデオンの中は忍者が飛び交うようになって見れなくなりましたケド……。今さらですけどあの忍者達ってどこから湧いてきたんデス?」

「なんかマリーが天地から呼んだらしいぞ」

『ギデオンの後から数日でどうやって……もしかして……』


 フランチェスカは何か考えている様子だったが、フランス語なので分からなかった。


「いや、話戻すけどさ、盗撮したもの勝手にアップしまくるなよ……」

「情報収集とアナタ(と閣下)への嫌がらせの一環でしたノデ」

「……さっき見たら戦争分も上がってたよな?」

「折角なので」


 こいつぅ……。


「まあまあ。出演料代わりではありませんけど、こうして度々夕飯をご馳走しているデショウ?」


 ……それはそう。


「……分かった。でも、今後はカルディナとかとぶつかる恐れもあるから、あまり同陣営の手の内をバラすような真似すんなよ」

「ええ」

『……現在進行形で敵じゃなければ本当に判定緩いわね。心配になるわ』


 だからフランス語で呟かれても分からないんだが……。


「じゃあ夏コミでこれまでの撮影データで作った不屈写真集を出す計画は止めマスね」

「何計画してんの!?」

「冗談デスよ、冗談。……データはまとめてたけれど」

「せめて許可取れよ……!」

「え? 求めたら許可下りるんデス?」

「下りねえよ!?」

「まぁジーが配信でやっているように別に許可要りませんけどね」


 うーん、存在が迷惑系な<超級>達……。

 というかモンスターの取引があるからか仲良さそうだなこいつら。


「……本当に止めろよ?」

「ハイハイ。では、これまでの盗撮のお詫び代わりにリクエストでも受け付けマショウか。何が食べたいデスか?」

「みたらし団子」

『……和菓子は挑戦したことないわね……』


 ◇


 後日、フランチェスカが差し入れしてくれた団子は普通に美味しかった。


 Episode End

(=ↀωↀ=)<デンドロの同人界隈の話と


(=ↀωↀ=)<これまでフランクリンがアップしまくっていた動画についての話


(=ↀωↀ=)<流石に王国と皇国が同陣営になったので情報漏洩は止めた


(=ↀωↀ=)<それはそれとしてレイ君の記録は続けている



◯留学生


(=ↀωↀ=)<文化祭後に乗り込んできた電遊研同期ラストワン


(=ↀωↀ=)<ゲームはやるより作る側

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― 新着の感想 ―
何処からどう見てももはや通い妻。 Google翻訳で「通い妻」をフランス語にすると一発目が「Femme qui fait la navette」になるのだけど、まさかタイトルの「F」ってそういう?(…
時々ボソッとフランス語でデレる隣のフランチェスカさん
そのうちレイ君もフランス語分かるようになってそう
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