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七発目 10歳の俺と現状

 俺は今、屋敷にある自分の部屋で寛いでいた。

 5歳の誕生会から5年経ち、俺は10歳になっていた。

 年齢が上がるとともに、俺の美少女具合もガンガン上昇中だ。

 どれだけケアを怠っても荒れることのない自慢の金髪は太ももまで伸ばし、幼かった顔立ちもこの5年で、少し大人びてきた。

 まあ、この5年の間にもいろいろあったからな。


 作法の先生が、俺のあまりの物覚えの悪さに匙を投げたり。

 勉学の先生が、俺のバカっぷりに書き置き残して逃亡したり。

 魔法の先生が、桃尻メイドのバーバラさんと愛の逃避行に走ったり。


 3つ目に関しては俺はあまり関係してない気がするが、全く無関係という訳じゃない。

 美の女神の加護を持っている俺は、一応神の加護のおかげか、普通より多い魔力を持っているらしい。

 だが、いざ魔法を習ってみると、その理論の難しいことといったらなかった。

 あれなら、東大入試で満点をとる方が簡単なんじゃないかと本気で思ったほどだ。

 まあ、そっちはそっちで俺なんかには無理なんだけど。

 俺が初歩の初歩の自習問題で躓いてる中、時間の空いた先生は桃尻メイドのバーバラさんと愛を育んだらしい。

 と、少し話はそれたが、まだまだいろんなことがあった。

 その中でも、一番の話題は俺の母親レイシャが赤ん坊を妊娠出産したことだろう。

 珍獣のように出会うことの少ない父親だが、レイシャとやることはやっていたらしい。

 俺に9歳違いの弟が出来た。

 今、レイシャは俺の弟の面倒をみるため付きっきりだ。

 俺は名実ともにお姉ちゃんになったのだ。



 正直、俺は10歳になったことが嬉しい。

 日本と違い、成人と認められる年齢は15歳ということだが、義務教育のないこの世界では、もう一人前として、あっちこっち動けるようになる年齢らしい。

 ようやく敷地の外にも1人で出られるようになったのだ。

 普通は10歳になるとその家の経済状況にもよるが、大半の子が親の家業を手伝って働くか、大きな都市にある学園にいき学生になるかするらしい。

 中には、この年齢では珍しいが冒険者になって自立しようとする者もいるということだ。

 一方、俺はというと。

 俺は今のところ、この御嬢様生活を続ける予定だ。


 身の回りの世話をしてくれるメイドさんたちはいてくれるし、3食・オヤツ・昼寝付きのこの御嬢様生活をやめる理由は見当たらない。

 嬉しいエロハプニング(故意)もいっぱいだしな。



「アルファ様、また良からぬことを考えてますね」


「エミリー、俺はまた考えが顔に出てたか?」


「ええ、バッチリ」



 やばい、やばい、思考が顔に出るようじゃ、俺の御嬢様レベルもまだまだだな。

 と、まあそういうことだ。

 因みに、この俺を注意してくれたのは19歳となったメイドのエミリーだ。

 俺の5歳の誕生日に俺のお側係として俺自身が選んだ少女。

 19歳となった今も膝上丈のメイド服とニーソックスは健在だ。

 前は体の線の細い少女だったが、この5年で腰の辺りも丸みをおび、一部分を除いて女性らしい成長を遂げていた。

 そう、胸以外。

 一応、エミリーの名誉のために言っておくが、胸部も若干の成長はしているはずだ。

 ただ、変化の幅が小さいせいか、一緒にいる時間が長いせいか、俺自身エミリーの胸が成長しているという確信は持てないでいるだけだ。



「ほら、アルファ様、またなんか…………今度は私の悪口を考えてますよね」



 ドキッ!

 エミリーが頬を膨らませ、ジト目で俺を睨んできた。



「お前、俺のこととなると本当に鋭いよな」


「それはアルファ様のお側係として当然です。それに、そんなにマジマジと私の胸部を見てたら気付くなって方が無理ですよ」



 一応本人も気にはしていたんだな。

 エミリーが5年前とそう変わらない薄い胸部を隠すようにしながら、ため息をついている。

 そんなエミリーを俺はジト目で見つつ一言。



「お側係ねぇ……」


「あ~、アルファ様、なにか私に不満なんですか?」


「いや、別に」



 俺は不自然にエミリーから目を反らす。

 いや、エミリーに別に不満はない!

 これは本当だ。

 俺自身が選んだわけだしな。

 ただ、このエミリーには5年前には気付けていなかった問題もあった。

 それは……。



「今日はアルファ様の大好物のカルバーンのケーキがありますよ」


「マジかっ! やったぁ」


「ふふ、アルファ様、ホントにここのケーキ好きですもんね」



 あそこのケーキはフワフワ食感で甘さ控えめのシフォンケーキみたいなケーキで、こっちの世界に転生してからの俺の大好物の1つだ。

 俺の無邪気に喜ぶ様子を見て、エミリーの機嫌も治ったようだ。



「アルファ様、ケーキに合うお茶をいれま……キャっ!」


「うおっ!」



 エミリーがお茶を運ぼうとして盛大に転倒する。

 空中を華麗に舞った陶器のポットが俺の目の前のケーキに優しくキャッチされた。

 ポットは無事だったが、傾いたポットからはチョロチョロチョロと温かい紅茶が流れ出す。

 俺の楽しみにしていたケーキがビショビショになってしまった。

 せっかくのフワフワ食感が台無しだ。



「おい、エミリー!」


「アルファ様、すみません」



 エミリーが申し訳なさそうに言ってくる。

 もう、これだけでわかってくれたかもしれないが、エミリーは実はドジ属性を持っていた。

 1日3回はドジをしないといけない体質のようだ。

 5年前の俺の誕生会でエミリーがお客様の前に出れなかったのは、実はメイド見習いじゃなく、このせいじゃなかったのだろうかと今では思わなくもない。

 因みに、お側係となったエミリーは以降の誕生会に出席してはいるが、俺の後方に控えておくというのが主な役割だ。

 失敗しようもないし、エミリーに合っている仕事だと思う。



「いいさ、エミリーがわざとやっているんじゃないっていうのはわかってるし、ケーキは諦めるから、その分うまい紅茶を用意してくれ」


「アルファ様、お許しくださりありがとうございます。すぐに代わりのお茶をお持ちしますね」



 エミリーが微笑み、代わりのお茶を貰いに調理場に向かう。

 エミリーは確かにドジではあるが、屋敷の中で人気がないわけではない。

 ドジも1日3回までという制限でもあるかのように、回数以上のドジはしないし、愛嬌も良いので男女問わず人気がある。

 女性の方の人気は、その明るさと人懐っこさという良い理由なのだが、一方で男性から人気の理由の1つに俺は少々頭を抱えたくなる。

 その理由は、エミリーを見ていたらすぐにわかるだろう。

 俺は、エミリーの後を追うように調理場に向かう。

 調理場では領民から納入された作物が積み重なっていた。

 今の時間は調理長を始め、みんな出払っているようだ。

 若い新入りの男が1人で土間部分に並べられた葉野菜をしゃがんで数えていた。



「すみません、お茶のおかわりを頂けますか?」


「ああ、エミリー。…………ちょっと待っててもらえるか、すぐに終わらせて用意するから」


「忙しそうですね」


「今年は野菜も豊作でね。たくさん持ってきてくれたんだが数えるのが大変で」



 何気ない話をしながら男のほうに近づいていくエミリー。

 エミリーの視線が、男の向かいにある木箱に向けられる。

 男に対して背を向けた形だ。

 エミリーが「良い出来の野菜たちですね」と前屈みで腰の高さまである木箱の中身を見ている。



「そうだ、お茶の準備をしてもらっている間、私も何か手伝いましょうか?」

「あー、エミリーも忙しいだろうし、いい……!?」



 いいよ、と断りかけた若い男の言葉が止まる。

 木箱の中のジャガイモの1つを手に取り、出来を確認しながら後ろ向きに声をかけるエミリーの方を見上げ、若い男の喉がゴクリと鳴ったのがわかった。

 あいつの位置からなら前屈みになったエミリーの白い太ももがバッチリ目に入ったはずだ。

 男の行動が急に怪しくなる。



「あー、じゃあ、そこのジャガイモを頼んでも良いかな? ただ、ここは通路になったりもして邪魔になったらいけないし、ちょっとこっちの奥でやってもらいたいんだけど」



 もっともらしい理由をつけて、若い男がジャガイモの木箱を今自分のいる土間から一段高い場所におく。



「ここなら大丈夫、ゆっくりで構わないよ」

「任せてください。お安いご用ですよ」



 エミリーは笑顔で了承する。

 ジャガイモの木箱はエミリーの腰の高さまであり、その箱の中身を1個1個数えていくエミリー。

 その体勢は、木箱の底に近づけば近づくほど必然的に前屈みになる。

 若い男や俺のいる場所より一段高いその場所で前屈みなんかしているから、遠く離れている俺の位置からでも、太ももはもちろん、スカートの奥まで見えそうだ。

 俺より近くにいる男からはエミリーの下着も丸見えに違いない。

 若い男はゆっくりお茶の準備をしながら、チラチラとエミリーの太もも観賞に忙しそうだ。

 エミリーはそのエロい熱視線に気付く気配もない。



「エミリーの奴、なんで俺以外のエロ目線には鈍いかな」



 不思議で仕方がない。

 でも、こんな感じでエミリーは、本人無自覚のままエロいちょっかいを出されることはあっても、これ以上の犯罪じみた実力行使に出られることはなく過ごせていた。

 一応、俺のお側係として、主である俺が目を光らせているからな。

 お側係と主で役割が逆な気もするが、まあ気にしない。

 さて、ボチボチ助けに入るか。



「おーい、エミリー、お茶はまだか?」


「!?」



 俺はわざと大きな声をかけ、男の覗き行為を止めさせる。



「アルファ様、わざわざ調理場まできてくれたのですか?」


「なんかあったらいけないと思ってな」


「…………」


「心配性なアルファ様、ふふ」



 エミリー、お前がもうちょい俺の時の10分の1でも男のエロさに対して鋭ければ、俺がこんな心配はしなくて良いんだけどな。




ようやくアルファを外の世界に出していく下地が整ってきた感じです。

評価やブックマークしてくださった方、ありがとうございます。

因みに、作中で体の一部分の大きさが……とか書いてますが、あれはあくまでアルファの考えであり、作者は小さいのには小さいのの良さと正義があると思っていますっ(涙)!



ゆるく、アホっぽい内容ですが、冒険もさせていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。



次回は2日後を目指して投稿したいです。

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