十五発目 エロジジイと精霊
『ホッホッホ、さっきまでの威勢はどうした? わしに驚いて声も出んか?』
茶色く光る球体が俺に声をかけてくる。
やっぱり、俺の聞き間違いじゃないみたいだ。
「まあな。あんな方法で、ほんとに何か出てくるとは思ってなかったしな」
『素直な奴じゃな。まあ、わしもこんなに早く出てくることになるとは思っていなかったしのぉ』
茶色い光の玉は、俺の言葉で特に気を悪くした様子はない。
マイペースなジイサンと話している気分だ。
というか、こいつは何者なのだろう。
ここに来たってことは、このジイサン言葉の妖しい球体も、やっぱり精霊なんだろうか?
「俺はアルファ、アルファ・サファイアだ」
『わしは導きの精霊。力を求める者と精霊を引き合わせる者じゃ』
「じゃあ、やっぱりジイサンも精霊なのか!」
『ジイサンとはわしのことか?』
「ん? そうだぞ」
そう答えておいてなんだが、少し後悔する。
精霊に対し、気安くジイサン呼ばわりは不味かっただろうか?
『なかなか面白い呼び名だな。良かろう、これからは、お前の前ではジイサンと名乗るとしよう』
「…………」
俺としては、男性老人の総称の意味でジイサンと言ったつもりだったのだが、このジイサン言葉を使う精霊は名前を呼ばれていると勘違いしたらしい。
まあ、この際こいつの名前なんてなんでもいいが、呼び名はあったほうが確かに便利だな。
よし、OK。
こいつの名前はジイサンだ。
「ジイサン、力をくれるんだろ。早速くれ、今すぐくれ!」
『くれくれとうるさい奴じゃ。説明をするから少し待て』
「手短に頼む」
『うぉっほん、そもそも精霊とは古代より生き--』
「あ~、時間もないし、そういうのは飛ばしていいから」
壮大で遠大そうなジイサンの長話に付き合う時間はない。
「そこいらの説明はあとでいいから、精霊の力をくれ。すぐにでも助けに行かなきゃならない奴らがいるんだ!」
『本当に時間がないようじゃの』
切羽詰まった俺の様子が伝わったのか、導きの精霊ジイサンは話を切り上げてくれた。
『本来、精霊との対話は時間をかけた祈りが必要になるのだ。お前のその魔力量なら時間さえかければ大精霊、いや、その上の精霊王との対話も可能かもしれんのじゃがな』
「うん、そいつらが凄そうなのはわかった。でも俺が今必要としているのはオーク数匹をぶっ殺せる力だ」
『その程度で良いのか?』
「ああ」
俺は迷いなく答える。
別に世界征服する力も無双する力も必要ない。
今はただ、目の前で死にそうになっている俺の大事な奴らを助けられるだけの力があれば、それでいい。
『実に惜しいのう。精霊王との対話が出来る可能性のある者など数百年ぶりだというのに』
「ジイサン、本当に時間がないんだ!」
『わかっとるわい。わしが精霊との対話するための力を貸してやる。お前のその魔力量なら簡単な呼び掛けでも、数体の気紛れな精霊がやって来るじゃろう。その中から好きな精霊を選べば良かろう』
「よし、わかった。ジイサン、準備はいいか?」
『わしは良いが、お前がまだじゃな』
「?」
『その服を脱げ。精霊は人のありのままの姿を好む』
「おい、ジイサンお前も好むのか?」
『もちろんじゃ。じゃから、早う脱ぐがいい』
ジイサン的には、ただの儀式の前準備なんだろうが、何かこいつに見られながら服を脱ぐことに抵抗を感じる。
特に目の前の茶色の球体は目があるわけでもないため、俺の体のどこを見ているかわからんってのがキモい。
『ほれ、その森の木々で破れたスカートを早く脱ぐがよい』
うん、俺のことは、しっかり見えてはいるみたいだな。
いくら精霊でも、俺のようないたいけな美少女に面前で脱衣を求めるのはどうなんだろうか?
口調も相まって変態エロジジイにしか思えない。
…………エロジジイか。
「ジイサン、お前やっぱりエロジジイって名前に呼び方変えていいか?」
『構わんよ。それでは、わしはジイサン改め、エロジジイという訳じゃな』
こうして導きの精霊エロジジイが誕生した。
エロジジイの前で、生まれたままの姿になる俺。
言葉だけで聞くととんでもない状態だ。
「今度こそ準備はいいか?」
『いつでもよいぞ』
「エロジジイ、いくぞ」
俺は大きく息を吸う。
そして叫んだ。
「俺と契りたい奴、出てこいっ!」
この際、言葉なんてどうでもいい。
誰でもいいから力を貸してくれ!
すぐに反応が現れる。
俺の前に大小さまざま、色とりどりの光の玉が出現した。
「はは、…………ほんとに、出た」
『時間がないのじゃろ? どいつを選ぶ?』
「そうだった。全部だ、俺は全部の精霊を選ぶ」
『なんじゃとっ!?』
俺の言葉にエロジジイが驚愕したような声を出す。
球体だから表情もないためわかりにくいが、精霊も動揺するっていうのは新しい発見だ。
「こいつらがどういう能力を持っているか知らんし、いちいち聞いている時間もない。全部と契約するという俺の考えが嫌なら、向こうが契約しなければいい」
『複数の精霊との同時契約など、そんなもの前代未聞じゃぞ』
「そうか? 俺の前にいた世界ではけっこうありふれていたぞ」
ゲームや漫画の中ではな、と俺は心の中で付け加える。
『型破りな奴じゃ。まあ、勝手にせい。あとは精霊とお前次第じゃ』
「俺は美の女神の加護を持っているから魔力も豊富らしいぞ。そんな俺に力を貸してくれる奴来てくれ!」
俺の呼び掛けに5つの光の玉が反応する。
光の玉は、真っ裸の俺の周囲を嬉しそうにクルクル回る。
闇の中、色とりどりの光に照らされる俺の体。
少しの間のあと、光の玉は俺の体の中に消えていった。
それと同時に精霊たちの情報が一気に脳内に流れてきた。
俺のことを気に入って力を貸してくれる精霊たち。
青の球体の水の精霊。
オレンジの球体の大地の精霊。
水色の球体の大気の精霊。
白の球体の糸の精霊。
グレーの球体の鏡の精霊。
最初の3つは比較的よくありがちな精霊かもしれないが、あとの2つは精霊といわれてもなんかピンとこない。
だって、糸も鏡も人工物だろ?
神社で鏡とかを御神体として奉ったりしているし、それに近い感じなんだろうか?
でも、これだけの精霊たちが力を貸してくれるっていうのは心強い。
「うん、精霊たちの能力は大体把握した」
精霊たちは俺の中にいて、呼べば力を貸してくれるらしい。
痛くもないし、特に変わった感じもないが、何か不思議な感じだ。
「エロジジイは一緒に来ないのか?」
『わしは導きの精霊。契約者と精霊の対話も終了した今、わしの役目も終わりじゃ。ここの精霊の祠で精霊と契約出来るのは、1回きりじゃが、他の場所にある精霊との語らいの場では、いまだ会っていない精霊と出会えるかもしれん。時間ができたら世界を回ってみるのもよかろう。その時はまた再びわしとも会えるじゃろ』
「わかった。これが全部片付いたらそういうことも考えてもいいかもな。世話になったエロジジイにもまた会いたいし」
『その時を楽しみにしておるぞ。成長した姿をわしに見せてくれ』
真っ裸の美少女にかける言葉として、適当かどうかはわからない言葉をかけるエロジジイ。
現代日本なら通報されているところだ。
「またな」
俺は扉を開けるため力を込めた。
精霊との契約のため真っ裸になったままだが、今は服を着ている時間も魔力も惜しい。
さあ、ここから反撃の時間だ。
とりあえず、年内の更新はこれで一旦終了しようかと思ってます。
…………とか言いつつ更新してたらすみません( ̄▽ ̄;)
ご都合主義のうえに文章力のなさを露呈する頭の悪い物語りですが、意外と読んでくれるかたもいて嬉しいです。
いつも読んでくれているかたありがとうございます。
ブクマも増えて自分では「おお~っ!」ってプチ感動しております。
新年も宜しくお願いします。
一応、よいお年を(^_^)/




