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幼馴染み優先で、私を雑に扱う婚約者は捨てることにしました。  作者: ぽんぽこ狸


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53 適任



 危険なめに遭っていたというのに父との再会に感動する暇も無く、ロミルダは身支度に追われていた。


 元々御前会議には参加する予定だったので、席はある。


 後は間に合うかどうかだが、書類を再度確認しつつ身支度を調えてもらう。

 

 少しお腹に物を入れて、小刻みに仮眠を取って、やっと準備が終わり、父の待っている馬車に乗り込んだ。


 そこにはすでに、ライツィンガー公爵とハイディそれから父が乗り込んでいた。


 驚いてぽかんとしてしまったが、このままでは、ライツィンガー公爵と打ち合わせをするタイミングがないような時間だったため、父が気を利かせてくれたのだとわかる。


 急いで乗り込み、馬車が王城へと向かって走り出す。


「ごきげんよう。ロミルダ君、なにはともあれ間に合って良かった」

「ロミルダ様のお話を聞いたときは肝が冷えました。無事で何よりです」


 ライツィンガー公爵とハイディはそれぞれロミルダに気持ちを伝える。


 彼らも当たり前のことだが心配してくれていたのだと思うと嬉しくて微笑みつつ「ありがとうございます」とお礼を言った。


 それから胸に抱えるようにして持っていた革の書類鞄を膝に置く。


「それよりも、ロミルダのもってきた情報を精査する方が先であろう。もう猶予はさほど無いぞ」

「その通りですね。それで、実際フェリベルト国王の意志を砕く方法とは一体なんなのでしょうか」


 父が急かしてロミルダはもちろんそのつもりだったので鞄を開いて、本と母が作ってくれたわかり理論の説明書、それから二つの小瓶を差し出した。


「経緯は省きますが、それは竜を鎮める力を利用した方法です。そもそも竜を――」




 あらかたの説明が終わったが、あっという間に王城だ。


 父は、ロミルダの説明と狙いを聞いて「筋は通る」と短く言った。

 

「ええ、私もそう思います。まさか竜を鎮める力がこんなふうに使うことが出来るとは」

「だが、大枠は理解できたが……テレーゼめ……もう少し簡潔に書けなかったのか」

「こちらは読むのに時間がかかりそうですが……」


 本を見せて、母の作った資料を見せて、実物を見せて、ロミルダの考えてあった筋書きを説明したが、肝心の母の作った理論説明をしっかりと読み込むにはどう考えても時間が足りない。


「しかし、衝突を避けられる唯一の方法であることは事実だろう。……ロミルダ」

「はい」


 ふと父は隣に座るロミルダを見やった。

 

「わしが切り出す。説明はお前が担え」

「……私が?」

「フェリベルト国王陛下の御前であり多くの貴族の前だ、少しのほころびや戸惑いも許されぬ。理解の浅い我々ではなく、お前が話し、ライツィンガー公爵はそれにあわせる方が無難だろう」


 たしかに、質問などがあったときに、すぐに答えられなくては信憑性が薄くなってしまう。

 

 それではせっかく情報を持ってきたのが台無しになる。


 しかし、まさかロミルダ自身が御前会議で直接フェリベルト国王の心を折る役目を担うなどまったく想像していなかった。


 ついに馬車が止まる。


 もう王城だ。


「……ここまでお前が手を尽くしたのだ。お前以上の適任はおらぬ」


 父の言葉を確認するように、ライツィンガー公爵とハイディを見やった。


 彼らは小さく頷いて、その通りだと示す。


 荷が重いという気持ちは確かにある。しかし、ここまで言われて、自分自身もここまでして、今引き下がるという選択肢はない。


「わかった。頑張ります」


 請け負って、扉が開き馬車を降りた。


 いよいよ御前会議だ。





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