42 呼び出し
「ロミルダよ。国王との面会が決まった」
父はとある日、ロミルダを呼び出した。
竜のこともあり、これからのことを考え父の判断でタウンハウスから動いていなかったのだが、さっそくことが動いたらしい。
「……お母さまを呼ぶ?」
一応こういった場面ではブロムベルク辺境伯夫人が同行するか父一人で向かう場合が多い。
「いいや。名目としては魔獣増加を受け、対策と情報提供を求めるというものだ、わし一人で事足りるだろう」
「魔獣増加の話、か」
「ああ、だからこそお前もこい」
言われてロミルダはきょとんとしてしまう。今まで父が王族と会う機会があってもロミルダがその場にいることはなかった。
せいぜい、王城のパーティーに参加したときに挨拶をした程度。
そんな重要な面会に同席したことなどない。
「……」
「何を驚く。もし、ライツィンガー公爵家のように、若くしてお前が爵位を継ぐことになったとき。一族の代表として王族と話をするのはお前だ」
「それは……」
「経験などいくらあってもいい。それに名目通りの話し合いかどうかは、蓋を開けてみるまではわからぬだろう」
「……そうね」
父は名目通りの話し合いにはならないと踏んでいるようだった。たしかにライツィンガー公爵家のこともあり、竜のこともある。
もし、厄介な話を振られたとしたら、ロミルダもともに解決出来るように父ずてではなく直接話を聞いておくと言うのも大切なことかもしれない。
ハイディの言っていたことも気になる。
王族が何を企んでいるのか、これからの彼らの動きでわかると彼女は言っていた。
「気を抜くなよ。社交界では賢王ではないと言われていても、能はある」
父はハイディが国王を言い表したよりとてもわかりやすい表現を選んでいた。
実際フェリベルト国王は、先代先々代と比べられたとき、劣ると言われることが多く、大きな声では言わないもののフェリベルト国王を誹る声はわざわざ聞きに行かなくても聞こえてくる。
まぁ、それもブロムベルク辺境伯領ともなると聞こえにくくはなるのだが。
「うん。大丈夫」
「……大事ないことが一番だが……」
父は遠い目をして珍しく少し不安げな声を出した。
その声はまるで、何か波乱を予感しているみたいで、ロミルダも少し胸がざわめいたのだった。




