8 第二夜
――俺は、車を走らせていた。
同じだ。昨日のことで、もしかしたら何か変わることがあるかと心配したが、またここに戻れた。
車は、同じ道を走り、時計は、18:56。
時間が大事だ。今日こそは雫からのSNSを開けるんだ。
あそこだ。前方のバス停になっている路側帯。今日はハザードランプをつけて減速した。前もってわかっていれば、スムーズに停まることができる。だが、その分、時間が昨日よりかかったかもしれない。車を路側に停めてすぐに後のカバンを取った。携帯を取り出し、SNSを立ち上げる。わずかにかかるその時間さえもどかしかった。もっといい携帯にしとくんだった。
雫の欄にタッチするとチャット欄が浮かび上がる。
雫のメッセージがそこにあった。
《今日はありがと、今度あったら聴いてほしいことあるんだ、いいかな》
俺は、その言葉を目に焼き付けた。あの時、見ることができなかったその言葉。
雫は、なぜかこのメッセージを取り消していたんだ。
ラジオの天気予報が終わった。
いつものように、そこで夢が途切れた。
――目覚めた俺は、自分の頬が濡れていることに気づいた。
泣いていた……。俺は頬を拭って起き上がる。
時計を見ると、まだ真夜中、十二時を少し過ぎたところだった。
今のはどういうことだ?
あの時、見ることができなかった雫の言葉を、今夜見ることができた。
これは俺の過去に無かったことだ。
なぜそんなことができる。
あれは本物なのか。単なる俺の願望なのか……。
でも、あまりにもリアルだった。
そして――これまでひと月、まったく同じ繰り返しだった夢が変わった。
なぜだ?
この夢は変えることができるということなのか。
今言えるのは、まずはあと二日、できることをやってみる。それだけだった。




