不運と不審者
そうして学校が始まった。...移動教室のたびに奔走する地獄の一日が。
「はあ!?3時限目音楽!?5限目体育!?今日の移動教室遠いし多い!」
「いいからお前は走れ!体育も音楽も遅刻のペナルティ―重いぞ!?」
「くっそシマすまねえ...!」
そして体育の時間。
「はあ...見学か...」
一人ぼやく。体育の見学ほど退屈なものはない。断言できる。
「おーい。」
シマが声をかけてくる。
「この辺にボール飛んできてないかー?」
「ああ、ちょっと待ってろー」
先ほど草むらに飛び込んできたボールを拾いに行く。意外と近いのでそれほど苦でもない。
「行くぞー」
おれがボールを投げようとした瞬間、あるものが目についた。
あれは...
見ると運動場の周りのフェンスに空いた穴から誰かが入ってきているのが見えた。間違いでなければ手に持っているのは...刃物!?
咄嗟に俺は《身体強化》を発動し、ボールを思いっきり投げる。ボールはグラウンドと平行に、一切スピードを落とさず怪しい人物の上にあるフェンスに当たる。
大きな音が鳴り、驚いたのか怪しい人物は姿を消した。
「おいヨシヒロ!お前どんな肩してんだよ!コントロールはまるでないけどあんな出鱈目な球なんて投げられたら野球部泣くぞ!?」
冗談めかしてクラスメートが俺に声をかける。
「おーいシマ!ちょっとこっち来てくれ!」




