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2023年 9月某日 残暑

2023年 9月某日編 (1/4)

連続エピソードになります。

じわじわとソレは大きくなり始めていた。

小さければなんてことの無いものだが、大きくなればなるほど災害と呼ぶほど、危険で厄介なソレは不敵に微笑んでいた。


9月に入っても消えぬ暑さに起こされ、目を開ける。アラームの時間より30分も早い起床だった。2度寝しようとしたが暑くて眠れそうにない。エアコンの温度を下げてから顔を洗いに向かう。冷たい水が心地いい。冷蔵庫に入れてある水のペットボトルを取り出してごくごく飲み干す。

「ぷはー」

思わずCMみたいな声が漏れた。寝ている間にコップ3杯分の汗をかいていると言われているけれど、今日はそれ以上に汗をかいている気がする。


「エアコン掛けてても暑いの、どうにかならないか?」

ボソボソ文句を言う。1人暮らしなので答えてくれる人はもちろんいない。

また、ため息が漏れた。


スッキリしない寝起きに、頭を掻きながら少し早めに朝ごはんの支度を始める。

最近、手のひらが光る夢をよく見る。手が光るのは吉兆のしるしらしいけど、一向に良いことは起こらないので、あまり考えないようになっていた。


食欲はなかったが、何も食べないわけにもいかない。

目玉焼きを焼き、食パンに載せてマヨネーズをかける。子供の頃からの好物だ。母がたまにしか作ってくれなかったせいで、今でも妙に特別感がある。


何とか麦茶と一緒にお腹の中へ押し込んでいく。

テレビの天気予報では今日の最高気温が発表される。体温よりも高い38度が表示され、げんなりする。


「もう9月だぜ…」


1人ぼやきながらのろのろ支度を進めた。



「おはようございます。」

車で出勤してすぐ、1つ下の後輩の成岡に声を掛けられた。


「おはよう成岡。今日マジで暑くない?」

「今日は流石にしんどいですね。訓練中倒れる人出そうな暑さですよ。」

「だよね、今朝暑くて起きたもんな…、朝から暑くて苦しいって相当だよね。」

「出動なんて言われたら、俺泣くかもしれません。」

「成岡、マジでフラグ立てないでよ…」

「まさか!まさか…ですよね……」

「ミーティングルームに行けば分かるよ。」

「なんか急に足取りが重くなった気がします……」

「ハハハ……」


成岡と2人で重い足取りで、更衣室からミーティングルームに向かった。


ミーティングルームでは班長も含め、みんなが談笑していた。これは訓練日のミーティング前らしい、いつもの風景だった。成岡と俺は見合わせて笑ってから、軽い足取りでミーティングルームに入った。


「今日のミーティングを始める。」

定刻になり、班長の村越がミーティングを始めた。今日の訓練内容の説明を始めた時だった。


プルルルルル…


ミーティングルームの電話が鳴り響く。

これは嫌な予感しかしない……


「はい……はい……わかりました、早急に向かいます。」


ガチャっと電話を切ると、村越はみんなを見渡して言い放った。


「今から緊急出動になった。出動ミーティングは大ホールで行う。至急移動する。」

「「「「はい!」」」」


どこか悲壮感のにじむ返事と共に、慌てて移動を開始した。

俺は移動中、隣を小走りする成岡を肘でつついた。


「見事なフラグ回収だったな。」

「あんまり言わないでくださいよ……」

「泣くなよ。」

「泣きそうです。」


2人でコソコソ言い合いながら急いで集合場所の大ホールへ向かった。

今回出動するエニグマが、少しでも涼しくなるような水のエニグマであることを祈りながら。



次回は 5月 6日 (水) 21時更新です。

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夏が好きな人はまだ生きやすいんだろうな。

今から夏も残暑も怖い……

次回もお楽しみ!

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