表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/52

2023年 6月某日 コアを探して

2023年 6月某日編(5/5)

連続エピソードになります

「土砂崩れが起きた土の状態を確かめるぞ。」

村越のこの言葉が本当の仕事の始まりの合図だ。

一般人に見つかる前に何としても探し出すんだ――エニグマのコアを


「今崩れてきた土砂の水分量を確認して少なければ、二次被害が少ないものと考え、作業再開の合図を出せると思います。」

村越がレスキュー隊に説明している中、俺たちは水分計を持ってきて水分量を測り、問題ないことを確認した。

まあ、あれだけの火力で焼かれれば、土もカラカラに乾くだろうとは思った。


「班長。水分量問題ありません。」

「ありがとう。捜索活動の再開をお願いします!」


レスキュー隊が一斉に走って現場に戻って行く。

人命救助は彼らの専門だ。俺たちが手伝ったら足手まといになりかねない。要救助者の無事を祈りつつ俺たちは、先ほど倒したエニグマのコアを探す。


「ほんま、あっちゅう間に倒してしもたな……」

「あれが普通じゃないのか?」

「ちゃうちゃう。5人がかりやったけど、けが人も出さんとあの速さであのデカさ倒すんわ異常やわ……」

「そうなんだ。」

古賀が本部の兵員長、つまりヒーローのトップに呼ばれている人材であることを改めて思い出した。やっぱり凄い人なんだな……。


「せやって、あれが普通言うたら他の支部のヒーロー泣くで!」

「他支部応援行ったこと無いから知らなかった……。」

「こないなヒーローおるのに、何でツッキーが怪我してまで戦闘参加しとんのや?」

「そればっかりは、俺も聞きたい。」


そんな話を田中としながらエニグマだった土砂の頂上まで上がってきた。岩や木の枝も紛れているのが見えるがコアらしきものは見当たらない。

担いできたスコップを構え、下を確認しながら掘り進める。

推定4メートルほどのエニグマのコアだ、きっと大きいはずだ。そしてこうして倒されている以上、そのコアは砕かれているはず。

周りの土砂は可視化して他の業者が処理しても問題ないが、コアだけは回収しないと、エニグマがそこから再発しかねない。今回は一般人に見つからないように探すというミッション付きだ。


「ホント、報道が近くに居なくてよかったよ。」

「ほんまやな。」


見える人には、エニグマは画面越しでも見えてしまう。

画面越しなのでパニックを起こす人は少ないが、万が一エニグマの存在が知られては世間がパニックに陥る危険性がある。なるべくエニグマからテレビカメラは引き離したい存在なのだ。


「なんや、なかなか出てきぃひんな……」

「そろそろ、出て来ても良いころなんだけどな……」


体力がある俺らでも1時間の穴掘りは大変だ。でも、それをレスキュー隊員たちはずっと交代で行っている。要救助者も、コアも早く見つかってくれと願いながら手を動かし続ける。


カンッ


スコップの先に何か当たった。石か岩かと思い、よく見ると、紫色とうねった模様が禍々しい物が見えた。

――コアだ。

胸のマイクを使い小声で全員に報告する。


「こちら宮部。コアと思われる物体発見しました。」


近くに居た田中が駆け寄ってくる。


「うわ、でっかいな。これどないすんの?」

「砕いて運び出すしかないと思うけど、どうやって砕くかだよな。」

「せやな、機材持ってきてもええけど人目に付くしな……」

「んじゃあ、俺に頼むとかどう?」

「「うわ!!!」」

俺と田中の背後に立っていた古賀がいきなり話に入ってきた。

驚く俺と田中をよそに話を進める。


「村越聞こえる?宮部君たちがコア大きすぎるって言ってたから、俺、壊しちゃってもいい?」

古賀は、マイクに向かってまるでおもちゃで遊んでいいか聞く子供みたいに、村越に指示を仰いでいる。


「あんまり粉々にするなよ。」

「了解!!」


俺と田中は目配せしてその場を離れた。

古賀はコアを叩いた。


「このくらいの硬さね。OK♪」

古賀は俺にウインクをとばした。男からのウインクなんてという気持ちと、憧れのヒーローからという気持ちが拮抗して何とも言えない気持ちになる。


千蔓縛せんまんばく


古賀がコアを締め上げるとミシミシ音がして、やがて細かく砕け散った。


「これくらいの大きさで大丈夫?」

「ありがとうございました!古賀さん。」

「困ったときはお互い様だよ。」

そう言い残して、古賀は後ろ手を振りながら去って行った。

古賀に頭を下げて振り返ると、立石が大量の土嚢袋を抱えてやって来るのが見えた。

今日はこの袋にコアを入れて持ち帰るまでが俺たちの仕事となった。


下の方で声が響いた。

「要救助者発見、生存を確認!!救急車回せ!!道確保しろ!!!」


俺たちも胸を撫でおろした。

田中と三条を誘って今日は飲みに行こう。

そんな気持ちで最後の作業に取り掛かった。


朝の手が白く発光する夢のことなんて俺はすっかり忘れていた。


次回は 4月 19日 (日) 21時更新です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

田中と三条の絡みも書いてみたい。

いつか飲み会の話しも番外編で書きたいです!

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ